対談記事
ユージさんと考える「乳がん」のこと。
検診・治療・その後の生活まで
対談記事
ユージさんと考える「乳がん」のこと。
検診・治療・その後の生活まで

ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで のインタビュー風景写真。

ユージさん

モデル、タレント、俳優。出身はアメリカ・フロリダ州。2009年からファッション雑誌の専属モデルを務め、その後、ドラマやバラエティ番組などで幅広く活躍。2016年には、史上最年少で「ベスト・ファーザー賞」と「イクメン オブ ザ イヤー」を受賞。2023年にも「第13回イクメン/男性育休オブザイヤー2023」を受賞した。現在、4児の父親として育児にも奮闘中。

坂東 裕子 先生

筑波大学医学医療系教授として乳腺・甲状腺・内分泌外科を牽引。都立駒込病院勤務を経て、乳がん診療・研究に精通し、検診から術後ケアまで包括的に支援。2002年UICCフェローシップ受賞、米国MD Anderson研修など国際的実績を持つ。日本乳癌学会評議員ほか学会活動に加え、NPOつくばピンクリボンの会理事、茨城乳腺疾患研究会代表世話人として啓発に尽力。2010年あけぼの会Best Doctor of the Year受賞。


企画:「わたしたちのヘルシー~心とからだの話をはじめよう in Mar.2026」
主催:ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会
配信日:2026年3月8日
場所:東京都内

本記事は「わたしたちのヘルシー~心とからだの話をはじめよう in Mar.2026」の採録記事です。

「乳がん1)」という病気を耳にしたり、気にしたことがある人は多いはず。
今回は、この病気の検診内容や治療法などについて、
4人のお子さんのパパでもあるタレントのユージさんと一緒に考えます。
自分のためだけでなく、
家族やパートナーを支える意味でも知っておきたい情報が満載です。

日本の乳がん検診受診率は約50%
なんとなく後回しにしがち……?

「妻や母は乳がん検診に行っています」と話すユージさん。
一方で、乳がんは「女性の病気」というイメージが強く、
男性同士ではあまり話題にしないようです。
だからこそ、パートナーを支える立場として男性も正しく知ることが大切であり、
男性の乳がんリスクがゼロではないことも踏まえて
“自分ごと”として学ぶ必要があります。

ユージさん

乳がんは女性の病気というイメージがありますが、パートナーがその病気になる場合に備えて、自分も知っておく必要があると思っています。

男女別のがん検診受診率の推移を示した棒グラフ。縦軸は受診率(%)で、青色が男性、赤色が女性を示す。対象年は2013年、2016年、2019年、2022年。各がん種について、過去1年または2年以内に検診を受けた人の割合を比較している。2022年の受診率は、胃がん(40~69歳)で男性47.5%、女性36.5%、大腸がんで男性49.1%、女性42.8%、肺がんで男性53.2%、女性46.4%。女性では乳がん47.4%、子宮頸がん43.6%。

坂東先生

乳がん発症率の99%以上は女性が占めるため「女性特有のがん」とも言われています。ただし、日本の乳がん検診受診率は低いのです。「仕事や家庭のことで毎日忙しく、検診に行く時間がなかなかとれない」「まだ若くて、家族にがんになった人はいないから何となく大丈夫だろう」などの声があり、受診率は50%前後となっています。

ユージさん

一般的に2人に1人が検診を受けていると思うと、十分のように思えますが……。ただ本来は100%、全員に受けてほしいなと思うと、まだ半分か、という少ない印象ですね。

2021年における女性の乳がん罹患率を年齢階級別に示した折れ線グラフ。年齢別で人口10万人あたり何人乳がんと診断されるかを表している。30代後半から急増し、40代後半から70代前半で特に多く診断される。
2021年の女性の部位別がん罹患率を示した棒グラフ。乳がんが人口10万人あたり153.2人で最も多く、次いで大腸105.9人、結腸75.5人、肺64.8人、胃55.9人。乳がんは女性で最も多いがんであり、生涯で乳がんに罹患するリスクは11.4%、約9人に1人とされている。

坂東先生

そうなんです。乳がんとは、母乳を作り出す“乳腺”という場所に発生するがんです。罹患者は30代から増えていき、40代後半と60代後半に多いことがわかっています。女性がかかるがんのなかで最も多く、日本人女性の9〜10人にひとりが、一生のうちに乳がんになると言われています。

ユージさん

9〜10人にひとりが乳がんになるとは、めちゃくちゃ多いですね。

定期検診が大切というけれど……
乳がん検診では、どんなことをするの?

乳がん検診には、マンモグラフィ検査と超音波検査の2種類の方法が。
それぞれの特徴を、先生が詳しく教えてくださいました。

乳がん検診の主な検査方法を紹介する図。マンモグラフィ検査は乳房全体を撮影し、初期の病変発見に役立つ。超音波検査は痛みや放射線被ばくの心配が少なく、妊娠中でも受けられる。左にマンモグラフィ装置、右に超音波検査を受ける女性のイラストを配置している。

坂東先生

マンモグラフィ検査とは、X線で乳房を撮影し、乳房内の石灰化やしこりを確認する検査です。石灰化は、しこりになる前の早期の乳がんで見られることがあります。そのため、早期発見することが非常に重要です。一方で、乳房を圧迫するため痛みを感じる方もいます。また、わずかですが放射線を使用するため、妊娠中の方などは避ける必要があります。そして、乳腺の密度が高い「デンスブレスト」の方は画像が白く写りやすく、異常を見つけにくくなるため、乳腺が発達している40歳未満の女性にはあまり適した検査とは言えません。もうひとつの超音波検査は、乳房に超音波を当てて、しこりの有無、形、輪郭を調べることができます。痛みがほとんどなく、マンモグラフィ検査が適さない方でも受けられる検査です。

ユージさん

妻は、以前マンモグラフィ検査を経験する前日に、「嫌だな~、怖いな~、痛いらしいんだよね~」と言っていました。ただ、実際に受けたところ、「多少は痛かったけど、想像していたほどつらくなかった」と言っていました。一方で、痛みは人によってはすごく痛いと感じることもあり、個人差がありますよね。

坂東先生

そうですね。乳房を圧迫すると痛みが出がちとされていますが、「思ったより痛くなかった」とおっしゃる方はいます。ただ、生理前に胸が張る方の場合、生理が終わったあとのほうが乳房は柔らかいので、時期を選ぶといいと思います。

ユージさん

検診には「すぐ行く」ことも大事ですよね。「いつか行こう」ではなくて。

坂東先生

そうです。早期に見つかれば、乳がんは治癒する確率が高いので。しかし進行すると、リンパ節や骨、肺、肝臓など、乳房以外の臓器にがん細胞が転移しさまざまな症状を引き起こし、治癒が難しくなってしまいます。

ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで のインタビュー風景写真。

自分の身体に興味をもつことで、
変化に気づき、早期発見につながることも!

ブレスト・アウェアネスの4つのポイントを示した図。①自分の乳房の状態を知る、②乳房の変化に気をつける、③変化に気づいたらすぐに医師へ相談する、④定期的に乳がん検診を受ける。

検診に行くのはもちろん、「日頃から自分の身体に触れ、興味をもち、
向き合うことが大切です」と、坂東先生はおっしゃいます。
乳房を意識する「ブレスト・アウェアネス」という習慣があり、
①自分の乳房の状態を知る
②乳房の変化に気をつける
③変化に気づいたら、すぐに医師へ相談する
④定期的に乳がん検診を受ける
以上を心がけることが重要だとか。

坂東先生

そして、しこりや乳房の皮膚のくぼみや引きつれ、乳頭から分泌物が出ている、乳頭や乳輪のびらん(ただれ)などが見られたら、自己判断で「大丈夫だろう」と考えず、病院やクリニックを受診してください。さらに、受診は1回で終わりにせず、定期的に検診を受けましょう。40歳になったら2年に1回は乳がん検診を受けて、自分の人生と自分の身体は自分で守る! という意識が大切です。

ユージさん

うちの妻は、検診を受けてから2年以上が経っているので、今日お聞きしたことをもう一回話してみます。それから、4人の子どものうちの2人は女の子なので、まだ小学生ですが、将来のためにも一緒に話したいです。

もし「乳がん」と診断されたら――
仕事・家族・生活、どんなサポートがある?

万が一罹患した場合の、仕事や育児、生活全般への変化についても、
ユージさんは気になる様子。

ユージさん

妻が乳がんになったら、まずは治療や通院で時間がとられると思います。我が家では自分が仕事、妻が家のことという役割分担なので、妻の時間が減ると自分は仕事をセーブする必要が出てくるかもしれません。さらに、治療費などお金の面も気になります。治療と生活を両立するのは難しいのでしょうか?

坂東先生

今は医療が進歩していますし、治療と仕事と生活の両立が可能になっていますよ。入院期間をなるべく短くするとか、日常生活にすぐに戻れる治療も考えられるようになっています。具体的な治療としては、手術では乳房をできるだけ残す乳房温存療法や、乳房全切除術の場合でも再建手術を選べるケースがあります。薬物療法も、薬の種類や投与方法、通院の頻度など、生活に合わせた多様な治療スタイルが整ってきています。

また、「治療をしながら変わらず働く」ことへの支援も広がっているのだそう。
治療と仕事を両立するためには、患者さんと職場、医療機関との連携が重要だとか。

坂東先生

患者さんが会社に病気のことを申し出たあとに、主治医の意見書などを提出して、スムーズに両立できる支援が行われています。治療には副作用が伴う場合もあるので、先生と相談しながら副作用のマネジメントをして、治療と仕事を両立することも大切です。

ユージさん

治療中はやはり、治療費などのお金も結構かかるイメージですけど……。

坂東先生

たとえば、1ヶ月に支払った医療費の自己負担額が一定金額を超えた場合、その分を払い戻しされる「高額療養費制度」があります。

ユージさん

そういった支援が、ちゃんとあるんですね!

そして、最後に、「乳がんのことでもうひとつお伝えしておきたいことがあります」と、
坂東先生。それは、「妊孕性(にんようせい)温存2)」という治療法についてだとか。

ユージさん

にんようせい……???

坂東先生

がん治療は、生殖機能に影響を及ぼすことがあり、若い方が治療を受けると、将来お子さんを授かることが難しくなる可能性があります。最優先したいのはがんの治療ですが、状況によっては、将来の妊娠と出産の可能性を残す治療法、妊孕性温存を検討できます。お医者さんや大切な人と充分に話し合って、決定していただきたいです。

ユージさん

今日お聞きした内容は家族に伝えて、家族の安心にもつなげたいです。乳がん検診は後回しにするのではなく、命を守るために受ける。しかも1回ではなく、定期的に受けることが大切!
このことは、女性に限らず、結婚している、していないに関わらず、みんなに知ってほしいですね。

坂東先生

乳がんは早期発見が重要です。ですので、検診を受けて「ブレスト・アウェアネス」を心がけていただきたいです。そして乳がんと診断されても、皆さんの今の生活を守りながら治療ができる時代です。医療者の先生と相談しながら、前を向いて歩いていっていただければと思います。

  1. 1)厚生労働省研究班監修:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「乳がん」 https://w-health.jp/carcinoma/breastcancer/(2026年3月閲覧)

  2. 2)厚生労働省研究班監修:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ https://w-health.jp/fetation/fertility_preservation/(2026年3月閲覧)

中外製薬株式会社協賛オンラインイベントを開催

~ ユージさんと坂東裕子先生が乳がんについて話し合いました ~

「女性の健康週間」(2026年3月1日~8日)と
「国際女性デー」(2026年3月8日)に合わせて、
女性の心とからだの健康についてゲストと一緒に考える
『わたしたちのヘルシー 心とからだの話をはじめよう』が
開催されました。

10th year わたしたちのヘルシー 心とからだの話をはじめよう

「女性が健やかに輝き続ける社会へ ~Women’s Health Action~」とは?

ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会では、国や自治体、医療・教育の現場や職場・家庭・地域など全て一丸となって、現代日本における女性の健康推進の必要性とその課題について考えるための取組みをおこなっています。

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