乳がんの疑いがある乳がんの疑いがある

胸のしこりや痛みは乳がんとは限らない?
~乳腺症・乳腺炎など胸の病気について~
胸のしこりや痛みは乳がんとは限らない?
~乳腺症・乳腺炎など胸の病気について~

~先生からのメッセージ~

「乳房のしこりと言えば乳がん」というのが、多くの方のイメージではないでしょうか。
しかし実際は、乳がん以外の病気でも乳房にしこりができることがあります。
いたずらに不安にならないために、これらの病気についても覚えておきましょう。ご自分の乳房の状態を知ることにも、役立つかもしれません。

乳がんでなくても、しこりはできるものです

乳がん、乳腺症、乳腺線維腺腫が、乳腺の3大疾患であると言われています。このうち悪性疾患は乳がんのみで、あとの2つは良性のものです。どの疾患でも乳房にしこりができますが、その特徴は疾患によって微妙に異なるようです。
そのため、しこりがあるからと言って過度の心配は不要ですが、自己判断で良性のものだ、と決めつけるのは危険です。セルフチェックなどでしこりを発見したら、乳腺外科を受診しましょう。

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乳腺症:乳腺の良性変化

ホルモンバランスの中で起こる乳腺の様々な良性変化をまとめて、乳腺症といいます。乳腺の中に液体がたまる嚢胞、乳管の壁がもこもこと盛り上がる乳管内乳頭腫などがあり、それがしこりとして認識されることがあります。
このような乳腺の変化には女性ホルモンが大きく関与しており、閉経後にホルモン分泌が低下すると、自然に消失するとされます。

乳腺線維腺腫:乳房にできる腫瘍だが、良性

乳腺線維腺腫によるしこりは、触れるとコロコロとよく動くことが特徴です。良性腫瘍であるため特に治療は不要です。乳がんに進行するようなこともありません。しかし乳がんと区別するために精密検査を行う場合があります。

乳腺炎:乳房の炎症

母乳が乳房内にたまったり、乳腺が細菌に感染したりすることで、乳房内に炎症が起きるものです。乳房が赤く腫れて痛み、熱を持った感じになります。化膿して膿が出てしまうこともあり、その場合は皮膚を切開して膿を出す処置が行われます。多くは乳がんとは関係ないものですが、痛みがないのに乳房が腫れる場合は、炎症性乳がんというまれなタイプの乳がんである可能性があります。

葉状腫瘍:悪性の可能性もあるまれな腫瘍

乳腺線維腺腫に似た腫瘍ですが、急速に大きくなることが多くあります。
手術で摘出することが必要ですが、再発を避けるために、腫瘍周囲の正常な部分も含めて摘出します。そのため、乳房全体にかかるほど大きな腫瘍では、乳房をすべて切除しなければならない場合もあります。

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このページの監修をしている先生

坂井 威彦 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺外科 副部長

原 文堅 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺内科 副部長