監修 慶應義塾大学医学部 産婦人科学教室 准教授・婦人科診療副部長
阪埜 浩司 先生
子宮頸部のはたらき
子宮頸部とは、子宮の下部1/3を示します。
子宮体部と腟をつなぐ役割をしており、出産のときには胎児が通過する産道となります。
子宮全体は中が空洞で、西洋梨のような形をしています1)。大きさは縦が約7cm、横が約4cm、重さが約50gで、ちょうど鶏卵くらいのサイズです。
下腹部の骨盤に囲まれており、横から見ると、子宮をはさんで前には膀胱、後ろには直腸があります。
なお子宮の上部2/3である子宮体部は、出産までの約10カ月間「胎児を育てる部屋」となります。
1)日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん治療ガイドライン 第3版,
金原出版,2023,p.14
子宮頸がん
子宮頸がんは、子宮の入り口付近に発生するがんです。
検査で見つけやすい場合が多く、早期に発見すれば比較的治療がしやすく予後が良いとされるがんです1)。
1)国立がん研究センター がん情報サービス 子宮頸がん
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html(別ウィンドウで開きます)(2023年8月参照)
子宮頸がんは、がんが発生する細胞別に、2つに分類されます。一つは子宮頸部の腟側にある扁平上皮細胞に発生する「扁平上皮がん」、もう一つは子宮側にある円柱上皮細胞に発生する「腺がん」です。
子宮頸がんの約2割が腺がんで1)、扁平上皮がんに比べて診断、治療ともに難しいとされています2)。
1)日本産科婦人科学会 婦人科腫瘍委員会:日産婦誌;69(3):1171-1216, 2017
2)日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん
治療ガイドライン 第3版,金原出版,2023,p.15