子宮筋腫

監修

近畿大学医学部 産科婦人科学教室 教授

松村 謙臣 先生

子宮・卵巣にまつわる病気

子宮筋腫

子宮の壁や筋肉の中にできる良性腫瘍です。腫瘍ができる原因はまだ明らかになっていませんが、卵巣から分泌される女性ホルモンが影響するとされています。

子宮筋腫が発症する場所をイラストで解説。漿膜下筋腫では、腫瘍が大きくなるまで症状はほとんどないことが多い。筋層内筋腫では、小さいものでは症状がないが大きくなると過多月経や流・早産の原因となることがある。粘膜下筋腫では、過多月経や不妊症の原因になることがある。

子宮筋腫の症状

生理痛、過多月経、過長月経、腹部のしこり、貧血など。
腫瘍が大きくなると、子宮周囲の臓器を圧迫するために頻尿、排尿困難、便秘などが起こります。

子宮筋腫の疫学

婦人科でみられる腫瘍のうち最も発生頻度が高いもので、子宮がん検診を受けた20,951人のうち、11.3%の2,371例に子宮筋腫があったという報告があります1)。また30歳代の女性の約20~30%、40歳以上の約40%に子宮筋腫があるとされています2, 3)

子宮筋腫の発症頻度は30歳代の女性の約20~30%、40歳以上の約40%

子宮筋腫の検査

内診と超音波検査で診断します。MRI検査を行うこともあります。

子宮筋腫の治療

症状がなく小さいもの(こぶし大以下)であれば、治療はせずに定期的に診察を受けて経過を観察します。
大きいものや症状のあるものは、手術か薬物による治療を行います。
手術では子宮全摘出術か、妊娠を考えている方には筋腫のみ切除する核出術を行います。
薬物療法では卵巣での女性ホルモン産生を抑えるお薬を使い、筋腫を縮小させます。しかしこの治療は長期継続ができず、またお薬を止めるとまた筋腫が大きくなってしまいます。そのため閉経が近い方か、手術の前治療として行われることがほとんどです。
なお子宮筋腫と区別が難しい病気に、子宮肉腫という悪性腫瘍があります。子宮肉腫については「子宮肉腫」の解説ページをご覧ください。

上述の子宮筋腫の治療の流れをチャートで解説
  • 1)小田瑞恵ほか.:産婦の実際 51:423-426, 2002

  • 2)Hendrickson MR, et al.:Surgical Pathology of the Uterine Corpus, WB Saunders, Philadelphia, 1980.

  • 3)Persons L, et al.:Gynecology, 2nd ed, WB Saunders, Philadelphia, 1978.

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