子宮肉腫

監修

近畿大学医学部 産科婦人科学教室 教授

松村 謙臣 先生

子宮・卵巣にまつわる病気

子宮肉腫

子宮を構成する組織から発生した悪性腫瘍で、ほとんどが子宮体部にできます。
子宮体がんが子宮内膜腺からできる悪性腫瘍であるのに対し、子宮肉腫は子宮内膜腺以外の組織からできるもので、まったく異なる疾患です。

肉腫:骨や軟部組織(脂肪、筋肉、神経など)から発生する悪性腫瘍の総称

子宮肉腫が発症する場所をイラストで解説し、上述の子宮体がんとの違いを説明

子宮肉腫の症状

不正出血。
子宮内膜間質から発生する肉腫では、過多月経がみられることがあります。

子宮肉腫の疫学

1年間に新たに診断される子宮肉腫の患者数は約800人と推測されており1)、また子宮体部にできる悪性腫瘍の約8%を占める2)、非常にまれな疾患です。
子宮肉腫は発生する組織によって大きく3つに分類されており、最も多いがん肉腫は全子宮肉腫の46%、次いで平滑筋肉腫36%、内膜間質肉腫13%となっています3)
発生年齢のピークは、がん肉腫が60歳代前半、平滑筋肉腫および内膜間質肉腫が50歳代前半とされています3)

※腫瘍の中にがんと肉腫が混在するもの

子宮肉腫は子宮体部にできる悪性腫瘍の約8%

子宮肉腫の検査

子宮肉腫は手術前に診断することが難しいため、まずは画像検査の結果で判断します。
手術で子宮を全摘出したのちに、病理検査で肉腫かどうかを判定します。

子宮肉腫の治療

がん肉腫とそれ以外の肉腫で治療の流れは異なります。
がん肉腫の性質は子宮体がんに近いため、進行度の判定・治療は子宮体がんにならって行われます。
手術が可能な状態であれば子宮、卵巣・卵管の摘出を行い、肉腫の広がりに応じて骨盤内リンパ節なども切除し、手術ができない場合は化学療法や放射線治療が行われます。
平滑筋肉腫や内膜間質肉腫の進行度は独自の基準で判定されます。両者とも、まず子宮、卵巣・卵管の摘出を行うことは共通ですが、追加治療は肉腫の種類や進行期に応じて、化学療法、ホルモン療法、放射線治療などを組み合わせて行われます。

上述の子宮肉腫の治療の流れをチャートで解説
  • 日本婦人科腫瘍学会 編:子宮体がん治療ガイドライン 2018年版, 2018, 金原出版, P34-35より作図

このページのTOP