監修 独立行政法人国立病院機構
四国がんセンター 婦人科 手術部長
竹原 和宏 先生
子宮体部のはたらき
子宮体部とは、子宮の上部2/3を示します。
出産までの約10カ月間、「胎児を育てる部屋」の役割をしています。
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子宮全体は中が空洞で、西洋梨のような形をしています1)。大きさは縦が約7cm、横が約4cm、重さが約50gで、ちょうど鶏卵くらいのサイズです。
下腹部の骨盤に囲まれており、横から見ると、子宮をはさんで前には膀胱、後ろには直腸があります。
- 1)日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん
治療ガイドライン 第3版,金原出版,2023,p.14
子宮体がん
子宮体がんは、子宮体部の内側(内膜)に発生するがんです。
40歳代から発症し女性ホルモンが関与するⅠ型と、閉経後に多く発症し女性ホルモンが関与しないⅡ型があります。
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Ⅰ型は子宮体がんの80~90%を占めており1)、子宮内膜異型増殖症という病気を経てがんに進行します。一方のⅡ型は、前がん病変(がんになる前段階の状態)がなく発症するものです。Ⅰ型とⅡ型は、がんの顔つき※(組織型)、悪性度(分化度)にも違いがあります。
- ※がん細胞の形状や状態
- 1)Colombo N, et al.: Ann Oncol. 27: 16–41, 2016
※横スクロールにて全体をご確認いただけます。
特徴 |
I型 |
II型 |
|
---|---|---|---|
好発年齢 |
40歳代~閉経前後 |
閉経後 |
|
エストロゲン(女性ホルモン)の関与 |
あり |
なし |
|
腫瘍像 |
主な組織型 |
類内膜がん |
漿液性がん、明細胞がんなど |
分化度 |
高分化が多い |
低分化が多い |
|
転移 |
少ない |
多い |
|
進行 |
緩やか |
速い |
|
前がん病変 |
子宮内膜異型増殖症 |
不明 |
|
予後 |
良好(Ⅲ期の5年生存率:83.6%2)) |
不良(Ⅲ期の5年生存率:54.8%) |
- 日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん
治療ガイドライン 第3版,金原出版,2023,p.80を参考に作成
- 2)宮本強ほか:子宮体癌タイプ1とタイプ2の発生機序・分子生物学的特徴・臨床的特徴の違いは何ですか?
鈴木直編著. 婦人科癌診療Q&A 一つ上を行く診療の実践, 中外医学社, 2014, p114-7