子宮体がんってどんながん?

原因と症状

監修 独立行政法人国立病院機構
四国がんセンター 婦人科 手術部長 
竹原 和宏 先生

子宮体がんはなぜ起こるの?

子宮内膜が異常に増殖してがん化することで起こるとされています。
子宮内膜の増加には、女性ホルモンであるエストロゲンが関与しています。

子宮内膜が正常な状態と、子宮内膜が厚くなった状態

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子宮内膜は卵巣から分泌されるエストロゲンに反応して増殖しますが、妊娠しなかった場合ははがれ落ちて体外に排出されます(月経)。しかし、卵巣の機能低下や閉経などによって排卵が乱れると、ホルモンバランスが崩れてエストロゲンが持続的に、また、過剰に分泌され、子宮内膜が異常に増殖してしまいます。この状態を「子宮内膜増殖症」と呼びますが、まれに、増殖した子宮内膜内に発がん性の異型細胞が含まれることがあり、この場合は「子宮内膜異型増殖症」という病気に分類されます。子宮内膜異型増殖症の一部は、子宮体がんに進行すると言われています1)
一方、エストロゲンが関与しないⅡ型の子宮体がんでは、子宮内膜の異常増殖はみられず、がんの発生機序は明らかになっていません。

  1. 1)Kurman RJ, et al.: Cancer 1985;56:403-12.
上述の子宮体がんが発症するしくみをイラストで解説
  • 参考:よくわかる最新医学 子宮がん 主婦の友社, 2018, p.58

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女性ホルモンバランスがくずれやすい閉経前後の50~60歳代の女性に加え、40歳代の女性でも月経不順、妊娠・出産経験が少ない、肥満などにより、子宮体がんを発症する人が増えています。

子宮体がんの主なリスク2)

  • 閉経が遅い人
  • 前がん病変(子宮内膜異型増殖症)のある人
  • 月経不順、不妊症
  • 妊娠・出産経験がない、または少ない人
  • 肥満の人
  • 高血圧の人
  • 糖尿病の人

これらが複雑に絡み合って発症してきます。

  1. 2)日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん
    治療ガイドライン 第3版,金原出版,2023,p.80

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専門医からのメッセージ

Ⅰ型(エストロゲンの過剰産生による子宮体がん)の発症要因として、「閉経が遅いこと」、「月経不順や不妊症などの女性ホルモンの異常」、「妊娠・出産経験がない・あるいは少ない」ことが挙げられます。
閉経の遅さや月経周期の異常は、自分では改善しづらいものです。しかし、生活習慣の改善で回避できそうなリスク因子として肥満が挙げられます。これはエストロゲンが脂肪細胞からも産生されるためで、BMIが27以上だと、子宮体がん発症のリスクが統計的に高まるという研究結果もあります3)
肥満解消は他の生活習慣病の予防ともなりますので、ぜひがん予防という観点からも、生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

  1. 3)Kawachi A, et al.: Eur J Cancer Prev. 2019;28(3):196-202.

子宮体がんの症状は?

不正出血が代表的な症状です。
月経時以外の出血、閉経後の出血には特に注意しましょう。

子宮体がんの主な症状をイラストで解説。初期症状として不正出血、進行するとおりものに異常、下腹部の痛み、排尿痛などが代表的な症状です。これらの症状を感じたらすぐに婦人科を受診しましょう。

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月経時以外の不正出血は、子宮体がん患者さんの多くにみられる初期症状です。出血量に関わらず、不正出血があれば受診するようにしましょう。点状のわずかな出血である場合もあります。がんが進行してくると、おりものの異常(量が増える、匂いがある、茶褐色になっているなど)や下腹部痛、排尿痛、性交痛、脚のむくみといった症状があらわれます。 

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専門医からのメッセージ

子宮体がんは40歳代から閉経前後に多く発症しますが、その年代は更年期にもあたり、ホルモンバランスが崩れやすいために不正出血が起こることが多くあります。その不正出血が問題のないものか、がんによるものなのかは検査をしなければわかりません。
子宮体がんは、早期に発見できれば予後の良好ながんです。検査は外来で行うことが可能ですので、「更年期にはよくあることだから」と自己判断せずに、婦人科を受診するようにしましょう。

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