腟がん

監修

近畿大学医学部 産科婦人科学教室 教授

松村 謙臣 先生

子宮・卵巣にまつわる病気

腟がん

子宮頸部と外陰部をつなぐ腟にできるがんです。ほとんどの腟がんは、子宮頸がんと同様に、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染によって発症します1)

膣がんの発症する場所をイラストで解説
  • 1)Vinokurova S, et al.: J Natl Cacer Inst 2005;97:1816-1821

腟がんの症状

月経と関係なく起こる、または閉経後の出血やおりもの。
ほかに性交痛、排尿痛、下腹部痛、腟内のしこり、便秘など。
初期症状はないことが多いですが、他疾患(子宮頸がんなど)の検診で発見されることがあります。

腟がんの疫学

大変まれながんで、女性生殖器癌の約1~2%を占めるにすぎません2)。10万人あたりの1年間の発症頻度は、腟がんと合わせても0.7人です3)。米国の調査では、前がん病変である腟粘膜腫瘍(VAIN)の発症年齢中央値は58歳、浸潤がん(広がり始めたがん)では68歳でした4)

  • 2)Siegel R, et al.: CA Cancer J Clin 63:11-30, 2013.

  • 3)国立がん研究センターがん対策情報センター:
    厚生労働省委託事業「希少がん対策推進事業」希少がん対策ワークショップ報告書 平成26年3月

  • 4)Wu X, et al.; Cancer 113:2873-2882,2008.

膣がんは女性生殖器癌の約1~2%

腟がんの検査

内診で腟、子宮頸部・体部、卵管・卵巣、直腸を調べ、病巣部の細胞を採取する細胞診を行います。細胞診でがんが疑われた場合は、組織を採取して調べる組織診に進みます。

腟がんの治療

まれながんのため標準的な治療は確立されていませんが、浸潤がんに対しては放射線治療が第一選択とされています。また化学療法や同時化学放射線療法も行われますが、子宮頸がんの治療法に準じて実施されます。

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