全身薬物療法
お薬を使った治療で、肝がんの症状の進行を緩和する可能性が高まります。
肝切除やラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓療法が受けられない患者さんが対象で、肝機能がよく、がんの数が多い場合や、肝臓以外に転移がある場合に選択されます1)。
お薬の種類によってはさまざまな副作用があらわれる場合があります。
お薬の投与方法によって、以下の全身薬物療法と、肝動注化学療法(HAIC)(詳しくは肝動注化学療法(HAIC)をご参照ください)に分けられます。
全身薬物療法
注射薬または飲み薬を使った治療で、お薬が肝臓だけでなく体全体に影響します。
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注射薬による治療 -
飲み薬による治療
全身薬物療法で使われるお薬の種類
主に分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬が使用されます。がん細胞の増加やがんに栄養を送る血管がつくられるのを抑えることで、がんの成長を抑えるお薬です。
がん治療では、正常な細胞もがん細胞と同様に攻撃する「細胞障害性抗がん剤」が使われてきました。
しかし、肝がんでは、従来の抗がん剤とは作用が異なり、がん細胞を標的とする「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」などのお薬が使用できるようになってきました。
分子標的薬とは
がん細胞の働きの一つとして、自らが成長するために必要な栄養や酸素を運ぶ血管をつくることが挙げられます。分子標的薬は新たに血管がつくられることを抑えたり、がん細胞が成長するために必要な信号の伝達を抑えることでがんが大きくならないようにするお薬です。
免疫チェックポイント阻害薬とは
本来、私たちの体では、がん細胞が発生しても、免疫細胞が排除してくれています。しかし、がん細胞は、自らが成長するために免疫細胞の働きにブレーキをかける合図を出します。
その合図を受けた免疫細胞は、がん細胞への攻撃をやめてしまいます。
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が出しているブレーキの合図となる物質を阻害して、免疫細胞ががん細胞への攻撃をできるように促すお薬です。
● がんが免疫の攻撃を逃れるしくみ
● 免疫チェックポイント阻害薬のしくみの例
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1) 日本肝臓学会 編:肝細胞癌診療ガイドライン2025年版, 金原出版. P90, 2025.