肺がんの治療肺がんの治療法

分子標的治療薬とは

がん細胞をターゲットとして作用する分子標的治療薬

分子標的治療薬は、がんの発生や増殖、転移に関わるがん細胞の特定のタンパク質や遺伝子を標的として作用し、がんの増殖を抑える薬です。従来の抗がん剤(細胞障害性抗がん剤)が、正常な細胞にも影響を及ぼしてしまうのに対し、分子標的治療薬はがん細胞をターゲットとして作用すると言う特徴があります。ただし、分子標的治療薬は従来の抗がん剤では見られない特有の副作用を生じることがあります。どのような副作用が出やすいかは薬ごとに特徴が異なります。

<図>従来の抗がん剤と分子標的治療薬の違い(イメージ)
<図>従来の抗がん剤と分子標的治療薬の違い(イメージ)

Ⅳ期(ステージⅣ)の非小細胞肺がんや、再発・転移の非小細胞肺がんで、遺伝子変異や融合遺伝子があることが確認された場合に、その遺伝子やタンパク質を標的とした分子標的治療薬による治療が行われます。
分子標的治療薬は、1剤のみで治療が行われるものもあれば、従来の抗がん剤(細胞障害性抗がん剤)と併用される場合もあります。また、最初の治療から使用する薬剤もあれば、再発したときや、最初の治療が効かなくなってきたときの治療に用いられることもあります。

<表>現在使用されている分子標的治療薬 (2020年4月現在)
分類 薬剤数 投与方法
血管新生阻害薬 2剤 点滴
抗EGFR抗体 1剤 点滴
EGFR阻害薬 5剤 経口
ROS1/ALK阻害薬 1剤 経口
ALK阻害薬 4剤 経口
BRAF阻害薬 1剤 経口
MEK阻害薬 1剤 経口
ROS1/TRK阻害薬 1剤 経口

日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック 2019年版. p181. 金原出版. より改変・作表

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分子標的治療薬治療によって起こる特有の副作用

がん細胞を標的として作用する分子標的治療薬は、従来の抗がん剤と比べて正常な細胞への影響が少ないため、従来の抗がん剤のような副作用はあまり起こらないといわれています。しかし、薬によっては従来の抗がん剤では見られなかったような副作用が起こることがあります。治療を開始する前に、どんな副作用がいつ起こりやすいのか、医師にしっかり確認しておきましょう。

<表>主な分子標的治療薬治療によって起こる特有の副作用
EGFR阻害薬

皮膚の症状

  • ニキビのような皮膚炎・かゆみ
  • 皮膚の乾燥
  • 爪の周囲がはがれる(爪囲炎)
  • 化膿性爪囲炎

間質性肺炎など肺の障害など

ALK阻害薬

肝機能障害

視覚障害

  • かすむ
  • ちらつくなど
血管新生阻害薬

高血圧

タンパク尿

鼻出血など

治療はいつまで続ける?

分子標的治療薬の治療は、一定の治療効果が認められる間は継続することが勧められています。治療の効果が認められなくなってしまったら、別の治療法を検討します。同じ遺伝子変異や融合遺伝子に対して複数の治療薬がある場合には、別の治療薬に変更することで効果を得られる可能性があります。

遺伝子変異と癌治療

参考文献

日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック 2019年版. 金原出版. 2019

渡辺俊一他監修:国立がん研究センターの肺がんの本. 小学館クリエイティブ. 2018

坪井正博監修:図解 肺がんの最新治療と予防&生活対策. 日東書院. 2016

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