原因不明の高熱が続く(不明熱)場合に
考えられる病気

監修 愛知県がんセンター 血液・細胞療法部 部長 
山本 一仁 先生

発熱の原因は多様に存在する

発熱する原因には、さまざまなものがあります。原因がわからない高熱が続いたり、熱が上がったり下がったりするときには、重篤な病気の可能性も考えて、早めに病院を受診するようにしましょう。

不明熱とは

「不明熱」は正式な病名で、原因不明の高熱が続く状態を指します。不明熱は、その臨床的な状況によって、古典的不明熱、好中球減少状態での不明熱、院内発症の不明熱、HIV感染患者にみられる不明熱の4つに分類されます1)。それぞれの定義は表のとおりです1)。病院で不明熱と診断された場合は、原因となる病気について精査していきます。

不明熱の定義
1. 古典的不明熱
38.3℃以上の発熱が3週間以上持続
3回の外来あるいは3日間の入院精査でも原因不明
2. 院内不明熱
入院時に感染症が存在しない
入院中に38.3℃以上の発熱が数回出現
2日間の培養検査も含め、3日間での入院精査でも原因不明
3. 好中球減少性不明熱
好中球500/μL未満または一両日中に500/μL未満となる38.3℃以上の発熱が数回出現
2日間の培養検査も含め、3日間での入院精査でも原因不明
4. HIV関連不明熱
HIV陽性
38.3℃以上の発熱が数回出現
外来で4週間以上、入院で3日間以上持続
2日間の培養検査も含め、3日間での入院精査でも原因不明

1) 日本臨床検査医学会 ガイドライン作成委員会編:臨床検査のガイドライン JSLM2015,

“第2章 症候 発熱”, p111-116, 日本臨床検査医学会, 2015

不明熱の原因となる病気

「感染症」「膠原病」「悪性腫瘍」が主な原因と考えられており、感染症が30%前後、悪性腫瘍が15-25%、膠原病が20%前後とする報告が多くみられます1)
感染症では、膿瘍骨髄炎感染性心内膜炎胆道系感染症尿路感染結核(特に粟粒結核)などが原因とされています。
膠原病では、全身性エリテマトーデス(SLE)、成人スティル病過敏性血管炎リウマチ性多発筋痛症(側頭動脈炎)結節性多発動脈炎などが原因とされています。
悪性腫瘍では、悪性リンパ腫、白血病(MDS等)、腎細胞癌、肝細胞癌等が挙げられています。
不明熱の原因を確認するためのアプローチとしては、比較的早めの診断・治療が必要となる感染症を中心に診断を勧めます。感染症に対しては、血液培養を行い、可能性のある感染症に特異的な検査項目を確認し、高齢患者さんでは結核感染の確認もします。
その他、超音波検査、生検、上下部消化管検査、FDG-PETなども用いて、膠原病や悪性腫瘍についても検査を行います。

1) 日本臨床検査医学会 ガイドライン作成委員会編:臨床検査のガイドライン JSLM2015,

“第2章 症候 発熱”, p111-116, 日本臨床検査医学会, 2015

熱が上がったり下がったりする場合

発熱したときの体温の変化にはいくつかのパターンがあり、病気によって、特徴的なパターンを示すことがあります。
熱が平熱まで下がらないまま上がったり下がったりするパターンを弛張熱といいます。1日の体温の変動の差は1℃以上になります。敗血症、化膿性疾患、ウイルス疾患、悪性腫瘍などでみられます。
発熱している状態と平熱の状態が不規則に交代であらわれるパターンを波状熱といいます。ホジキンリンパ腫、ブルセラマラリア、腎結石、胆道閉塞などでみられます。
その他、発熱の原因として、たとえば、抗生物質の服用を自分の判断で止めてしまうなど、発熱の原因となる病気の治療を中断してしまったときや、免疫機能や体力の低下、ストレスなども考えられます。

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