リンパ腫ってどんな病気?

監修 愛知県がんセンター 病院長 
山本 一仁 先生

Q. リンパ腫ってどういう病気なの?

A. リンパ腫は「血液の悪性腫瘍」で、がんの仲間の一つです。細菌やウイルスから体を守る働きをしている白血球のうち、リンパ球というタイプの血球ががん化(悪性化)して増殖し、リンパ節などに腫瘤(しこり)をつくる病気です。体の様々な部位に生じる可能性があります。
風邪などの感染症に反応してリンパ節が一時的に腫れることがありますが、これは体の正常な反応であり、リンパ腫とは区別されます。
血液疾患を専門とする内科(血液内科など)、血液疾患に詳しい医師による治療が勧められます。

人間の血管の中には血液が流れていますが、そこには、組織に酸素を運ぶ赤血球、出血を止める血小板、体内の細菌やウイルスと闘う白血球などが含まれています。白血球はさらに単球、好中球、好塩基球好酸球、リンパ球に分けられます。リンパ球にはB細胞T細胞があり、そのほかにNK(ナチュラルキラー)細胞があります。
これらの血液細胞はすべて骨の中の骨髄中の造血幹細胞が成長(分化)して生まれてきます。

図1造血の仕組み
多能性造血幹細胞が血液細胞を作り出す過程を図解。多能性造血幹細胞はリンパ系前駆細胞と骨髄系前駆細胞に分化する。そこからさらに白血球を構成する単球、好中球、好塩基球、好酸球、リンパ球などが作り出されていく。

山田幸宏 監修. 看護のための病気のなぜ?ガイドブック, p248-249, 2016, サイオ出版を参考に作成

リンパ管とは全身に広がる血管のような管のことで、ところどころに小さい豆のような形をしているリンパ節があります。リンパ管には、血管には入れない大きな分子を運ぶはたらきがあり、各種臓器に炎症が起こった場合、原因となる異物も流れてきます。また、免疫をつかさどっているリンパ球も数多くあります。
リンパ節は、正常な人で全身に300~600個あります。リンパ節は、免疫の中心的な役割をしています。リンパ節は、炎症などで腫れない場合は、触ってもほとんど気づきません。

図2リンパ組織
リンパ組織のイメージ図。リンパ液は体の外側から中心に向かって、一方通行で流れ、鎖骨の下あたりで静脈に流れ込みます。

廣田彰男 監修:看護師・理学療法士のためのリンパ浮腫の手技とケア 学研メディカル秀潤社, 2012を参考に作成

図3リンパ球のはたらきと役割
NK細胞
NK細胞(イメージ)

体の中を常に見回り、ウイルスに感染した細胞や癌化した細胞を攻撃する頼もしいガードマンです。

T細胞・キラーT細胞
T細胞とキラーT細胞(イメージ)

病原体がみつかると出動する強力な特殊部隊です。
病原体の情報をもとに指令を出す細胞(ヘルパーT細胞)と、指令を受けて病原体と戦う細胞(キラーT細胞)がいます。

形質細胞
形質細胞(イメージ)

病原体に合わせた武器である「抗体」を作り出す器用な職人です。

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