悪性リンパ腫の治療

監修 愛知県がんセンター 血液・細胞療法部 部長 
山本 一仁 先生

Q. 悪性リンパ腫の種類によって治療は異なるのですか?また、どんな治療法がありますか?

A. 悪性リンパ腫の治療には、主に抗がん剤分子標的薬と言われる種類の薬剤を使った薬物療法や、放射線療法造血幹細胞移植などがあります。治療選択の一つとして、経過観察を行うこともあります。これらの治療法から、リンパ腫の病型や病期予後予測の結果などに合わせて、最も適切な治療が選択されます。そのため、悪性リンパ腫の種類によって、治療方針は異なります。

悪性リンパ腫の種類には、大きく分類して「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」があり、また、非ホジキンリンパ腫は病気の進行の早さや症状の激しさ(悪性度)によって3つに分類されます。それぞれの詳細をご覧ください。

上述の悪性リンパ腫の種類をチャートで記載 ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫 低悪性度のリンパ腫 中悪性度のリンパ腫 高悪性度のリンパ腫
医師からのメッセージ
治療法の確認ポイント

治療が開始される前には、医師から治療方法の説明があります。治療には、効果だけではなく副作用などの欠点もありますので、わかりやすくまとめてみましょう。紙に書き出してみると、情報が整理されて、理解できたところとできていないところが確認できます。わからない点や不安な点は納得できるまで医師と話してから治療を始めるようにしましょう。

薬物療法は、悪性リンパ腫を含むがんを治す、進行を抑える、または、がんによる身体症状を緩和することを目的としています。がんの薬物治療に使われる薬剤には多くの種類がありますが、悪性リンパ腫治療では、主に抗がん剤や分子標的薬が使われます。薬剤の種類や組み合わせは悪性リンパ腫の種類によって異なります。

放射線は細胞のDNAに傷をつけることから、がんの病巣にあて、がん細胞を攻撃して治療します。放射線治療は、がんを治すことや症状を緩和することを目的に使われます。悪性リンパ腫治療では、造血幹細胞移植前に使用されることもあります。

骨髄、末梢血臍帯血のいずれかから血液細胞のもとになる造血幹細胞を取り出し、患者さんに移植する方法です。自家造血幹細胞移植では、まず、患者さんの末梢血から造血幹細胞を採取します。その後、強力な化学療法や放射線療法によって、リンパ腫細胞を減らします。同時に骨髄での正常な血液産生も妨げられますが、 採取しておいた患者さん自身の造血幹細胞を点滴で体内に戻すことで血液産生の回復を促進します。同種造血幹細胞移植では強力な化学療法放射線療法でリンパ腫細胞を減らし、移植される造血幹細胞を受け入れる環境を整えます。移植するための造血幹細胞は、白血球の型のひとつであるHLAが患者さんと一致した他人(ドナー)の 臍帯血や末梢血、骨髄から採取します。採取した造血幹細胞は、患者さんの体内に点滴で入れます。同種造血幹細胞移植では、血液産生の回復を促進するほか、ドナーから移植された細胞が患者さんの体内に残っているリンパ腫細胞を攻撃する作用が期待されます。悪性リンパ腫の病型によって、実施するタイミングは異なります。

上述の自家造血幹細胞移植と同種造血幹細胞移植をイラストで解説

永井正. 図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫, 2016, p173 法研

他の多くのがんでは、手術療法は治療の大きな柱になっていますが、悪性リンパ腫の治療において手術が必要なケースは、限られています。(例:B細胞リンパ腫が胃や小腸にできたときなど)

このページのトップへ