多発性骨髄腫の治療中の
生活

監 修 | 京都府立医科大学 血液内科学 教授 黒田 純也 先生

Q.日常生活で気を付けることはありますか?

A.

多発性骨髄腫では骨に病変ができると、骨の強度が低下し、重たいものを持ったり、体に強いねじりを加えたり、ぶつけたりすると、通常では骨折しないような力でも骨折が起きることがあります。日常の動作でも病変のある部位に強い力が加わらないよう気をつけるようにします。中腰になる、重いものを持ち上げる、体を強くねじるといった姿勢や動作は、骨に負担がかかるので、できるだけ避けます。また、立ち上がる時の負担を減らすために、イスやベッドを利用するとよいでしょう。ベッドから起き上がるときなども、横を向いてからゆっくりと体を持ち上げるなど、背骨に大きな負担がかからないようにすることが重要です。首の骨や背骨に病変がある場合には、コルセットやカラーを利用することもあります。

また、骨や骨の周りの筋肉の働きが低下しないように、散歩などの適度な運動を行うことが勧められます。この時、どのくらいの運動をするとよいかは医師と相談するようにします。転倒による骨折にも気をつけましょう。

この他、骨の病変に対する治療で使う薬では、その投与中に虫歯や歯周病などがあったり、抜歯などの歯科治療を受けたりすると、まれに歯肉やあごの骨の壊死が生じることがあります。そのため、この薬による治療を受けるときは事前に歯科のチェックを受け、投与が始まってからも口腔内を清潔に保つためのケアを行います。歯科を受診するときは、必ず担当医の許可を得るようにしましょう。
「口の中の痛み、特に抜歯後の痛みがなかなか治まらない」、「歯ぐきに白色あるいは灰色の硬いものが出てきた」、「あごが腫れてきた」、「下くちびるがしびれた感じがする」、「歯がぐらついてきて、自然に抜けた。」といった症状がみられる場合には、速やかに担当医に相談しましょう。

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