再発・転移乳がん治療の全体像


~先生からのメッセージ~
最初の治療に比べて、再発・転移のときの治療はより辛さを感じることでしょう。特に遠隔転移されている場合は、患者さんが何かしらの決断をしなければならない場面が出てくる可能性もあります。
再発・転移がんの治療では、医療スタッフとのコミュニケーションがさらに重要になります。
医療スタッフは患者さんを全力で支えようと奮闘しながら、患者さんの治療に対する希望を叶えるためのサポートを心がけています。
治療の流れ
局所再発(最初にがんができた乳房およびその周辺のみに、同じ乳がんが再びあらわれたもの)
基本的には、治癒を目指して治療を行います。治療の内容について詳しくは、局所再発がんの治療法をご覧ください。

日本乳癌学会編:患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版, 金原出版, 2023, P144-145より作図
遠隔転移(最初にがんができた乳房から離れた臓器に、同じ乳がんがあらわれたもの※)
がんとの共存を目指して治療を行います。
下図のように、転移した部位やがんのサブタイプで、どのように治療が行われるかが異なります。
治療の内容については遠隔転移がんの治療法、使用するお薬についてはサブタイプによる治療法の分類をご覧ください。
※肝臓や肺に転移したがんは、肝臓がん、肺がんとは呼ばれません。最初の乳がんの細胞が肝臓や肺で大きくなったものなので、乳がんの肝臓転移、肺転移などと呼びます。
【ホルモン受容体陽性の場合】

Hortobagyi GN: N Engl J Med 1998;339:974-984.より改変
ホルモン受容体陽性乳がんでは、遠隔転移の場合でも最初の治療はホルモン療法が中心となります。しかしホルモン療法に耐性ができて効果がみられなくなった場合は、化学療法に移行します。
またホルモン受容体陽性乳がんでも内臓転移が進んでいる場合は、化学療法から開始する場合もあります。
【HER2陽性の場合】

Hortobagyi GN: N Engl J Med 1998;339:974-984.より改変
HER2陽性乳がんの場合は、ホルモン受容体が陽性・陰性のどちらであっても、化学療法と抗HER2療法を併用した治療が行われます。
【トリプルネガティブの場合】

Hortobagyi GN: N Engl J Med 1998;339:974-984.より改変
ホルモン受容体、HER2ともに陰性であるトリプルネガティブ乳がんは、化学療法による治療を行います。がん細胞のタイプによっては、免疫チェックポイント阻害剤を併用することもあります。