卵巣がんってどんながん?

卵巣がんとは

監修 近畿大学医学部 産科婦人科学 教授 
松村 謙臣 先生

卵巣ってこんな臓器

子宮の両脇に一つずつある、親指大の臓器です。
女性ホルモンを分泌し、卵子を作り出しています。

子宮・卵巣の構造を示したイラスト

卵巣は病気になっても自覚症状が出づらい

卵巣は親指大(2~3cm程度)と小さく、子宮体部から伸びるじん帯によって支えられ、周囲にもスペースがあります。そのため多少の腫れでは他の臓器などに圧迫感を与えることがなく、自覚症状が出づらいのです。

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卵巣がんとは?

卵巣は表面を覆う表皮細胞や卵胞、卵胞を取り囲む間質などで構成されており、さまざまな腫瘍が発生します。
卵巣がんとは、卵巣の表面にできた上皮性腫瘍のうち、特に悪性のものを指します。

卵巣における上皮性悪性腫瘍(卵巣がん)の発症イメージをイラストで解説

卵巣腫瘍は、腫瘍が発生する組織によって上皮性腫瘍、性策間質性腫瘍、胚細胞腫瘍の3つに分類され、そこからさらに良性・境界悪性(良性と悪性の中間)・悪性に分類されます。
悪性の上皮性腫瘍(いわゆる卵巣がん)は卵巣にできる悪性腫瘍のおよそ90%、性策間質性腫瘍は4%、胚細胞性腫瘍は5%を占めています1)。そして上皮性悪性腫瘍(卵巣がん)は、その顔つき(組織型)でさらに「高異型度漿液性がん」「低異型度漿液性がん」「類内膜がん」「粘液性がん」「明細胞がん」に分けられ、それぞれ抗がん剤が効きやすい・効きづらいといった特徴があります。

  • ※がん細胞の形状や状態

  • 1)日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん治療ガイドライン 第3版,
    金原出版, 2023, p149

専門医からのメッセージ

卵巣腫瘍は、上でご紹介したように、発生する組織、良性か悪性か、といったさまざまな指標で分類されます。そのため、卵巣腫瘍は人体で最も多種多様である、と言われています。
一言に「がん」というと、きっと「恐ろしい病気にかかってしまった」と思ってしまうでしょう。しかし、多様性という特徴を持つ卵巣がんの治療を受けるうえでは、がんの組織型に応じた適切な手段をとることが重要です。

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