監修 近畿大学医学部 産科婦人科学 教授
松村 謙臣 先生
薬物療法:抗がん剤による治療が標準的です
卵巣がんは抗がん剤がよく効くと言われており、標準的に用いられる治療法で、卵巣がん全体の7割の患者さんでがんが縮小すると報告されています1)。
また分子標的治療薬※でも、卵巣がんに使用できるものがあります。
※特有の分子を狙い撃ちする薬剤
1)McGuire WP, et al.: N Engl J Med 1996;334:1–6.
抗がん剤による治療
卵巣がんに対する最初の化学療法としては、タキサン系抗がん剤と白金製剤を組み合わせた併用療法が推奨されています。
何らかの理由で併用療法を行えない患者さん、全身状態がよくない患者さん、高齢患者さんには、2剤を毎週分割して投与する治療法や白金製剤を単独で使う治療法が考慮されます。
分子標的治療薬による治療
がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えてしまう抗がん剤とは異なり、分子標的治療薬は、特有の分子だけに働くことで、がん細胞を狙い撃ちするように設計されています。お薬によって、標的とする分子は異なっています。
分子標的治療薬の一部は、保険診療の範囲内で卵巣がんの治療に使用することができます。抗がん剤との組み合わせで使うもの、単剤で使うものがあります。
日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, 2023, p170-172より作成