白血病の検査と診断

監修:愛知医科大学 血液内科 教授 高見 昭良 先生

Q白血病の診断のために、どのような検査を受けなければいけませんか?

A白血病は、健康診断など血液検査の異常をきっかけに見つかるなど、無症状のこともあり、診察を受けるだけで診断されることはほとんどありません。白血病の診断には、血液検査骨髄検査が必要です。
血液検査では、血液細胞の数や種類などが確認されます。骨髄検査では、骨髄から骨髄液や組織が直接採取され、血液細胞の数や種類、形などが詳しく調べられます(骨髄検査は、患者さんが方法や目的などの説明を受け、同意が得られた場合に限り行われます)。さらに、白血病細胞の染色体や遺伝子に異常がないかなども調べられ、どの種類の白血病であるか診断されることになります。その他必要に応じ、レントゲン・CT検査といった画像検査や脳脊髄液(のうせきずいえき)検査なども行われます。このように、病気の進行度や性質を詳しく知ることではじめて治療方針が定まります。治療開始後も、治療効果を確かめるため、これらの検査が繰り返し行われることがあります。

急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病の詳しい検査・診断は、それぞれのページを参考にしてください。

主な検査の流れ

  • 問診

    いつからどのような症状があるかなど、なるべく起こった順にご説明ください。

    最近の健診結果をお見せになるのもいいと思います。

  • 血液
    検査

    赤血球、白血球、血小板の数、白血球の種類の内訳、未熟な細胞が出現していないかを確認 など

  • 骨髄
    検査

    血液細胞の数や形の変化、未熟な細胞の数、染色体や遺伝子の異常の確認、細胞表面のタンパク質の種類の確認 など

    多くの白血病は、骨髄検査で確定診断をします。

  • 必要に
    応じて
    行う検査

    CT検査  臓器やリンパ節のはれを確認

    脳脊髄液検査:白血病が中枢神経組織に広がっていないかを確認

    感染症検査 白血球が減ることによって感染症を合併していないかを確認

白血病の症状として、貧血・出血・発熱のほか、脾臓やリンパ節などの臓器のはれや、中枢神経系や皮膚、腎臓などのはたらきの低下がみられます。貧血・出血・発熱は造血障害によるもので、臓器のはれ・はたらきの低下は白血病細胞が増えること(増殖)によるものです。血液検査では、造血障害は好中球・赤血球・血小板といった血液細胞の減少にあらわれ、白血病細胞の増殖は白血球数増加だけでなく、白血球減少としてあらわれる場合があります(図)。
病気の面からみると、急性白血病では、正常な好中球や赤血球、血小板が減少し、貧血や出血といった症状が起こります。また、芽球(がきゅう)という未熟な細胞が増えることで、血液検査上の白血球数増加や、臓器のはれ・はたらきの低下が起こることがあります(図①)。なお、逆に血液検査上白血球数が減ることもあり、「白血病 = 白血球数が増える病気」ではありません(図④)。 
慢性白血病の初期では、好中球や赤血球、血小板は保たれ、白血球の増加のみがみられます(図②③)。そのため、貧血などの自覚症状はあまりみられません。

上述の白血病の症状と血液検査をチャートで解説
薄井紀子. Medical Practice 29(8): 1291-1294, 2012.より改変

医師からのメッセージ

骨髄検査について

骨髄検査は、通常腸骨に直接針を刺して骨髄血を採取する検査です。まずは、問診や血液検査で白血病の可能性が確かめられたのち、必要な方に行われます。骨髄検査は、局所麻酔薬を注射してから行われますので、通常強い痛みを感じることはありません(ただし、骨髄血採取の瞬間に多少の痛みを感じることがあります)。骨髄検査と聞いて不安な方もいらっしゃると思いますが、診断と治療上重要な検査です。気になる症状がある方は、病院を受診していただきたいと考えています。

白血病の骨髄検査

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