監修 東邦大学医療センター大森病院 呼吸器内科
教授 岸 一馬 先生
小細胞肺がんと非小細胞肺がん
がんは、その性質によって症状の出方や治療の方法などが異なります。肺がんではがん細胞の大きさや形、がん細胞が集まっている状態などから「組織型」によって分類されています。
肺がんを組織型で分類すると10種類以上にのぼりますが、頻度が高いものは「小細胞がん」「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」であり、その他はまれです。また、肺がんは治療の効きやすさ、進行速度の違いによって「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の大きく2種類に分けられ、治療方針が大きく異なります。
組織型によって、発生しやすい部位や、病気の特徴が異なります。
表:肺がんの組織型とその特徴
※横スクロールにて全体をご確認いただけます。
組織型分類 | 多く発生する場所 | 病気の特徴 | |
---|---|---|---|
小細胞肺がん | 小細胞がん | 肺門部・肺野部 |
|
非小細胞肺がん | 腺がん | 肺野部 |
|
扁平上皮がん | 肺門部・肺野部 |
|
|
大細胞がん | 肺野部 |
|
小細胞肺癌は、英語で言うとSmall Cell Lung Cancer。この頭文字をとって「SCLC」と略されます。
非小細胞肺癌は、Non Small Cell Lung Cancer。これを略して「NSCLC」と呼ばれます。
小細胞肺癌は、「大細胞癌」と同じように「肺」を省略して「小細胞癌」と呼ばれることもあります。
肺癌の種類は10種類以上
癌細胞の集まりである「癌組織」を、顕微鏡を用いて研究する学問を「病理組織学」と言い、肺癌では病理組織学による分類が用いられています。肺癌の病理組織分類には、世界保健機関(WHO)の分類や、日本肺癌学会の分類がありますが、いずれの分類でも、肺癌は10種類以上に分けられています。
「小細胞癌」と、「非小細胞肺癌」の「腺癌」「扁平上皮癌」「大細胞癌」の4種類以外は、頻度が低く特殊な肺癌です。
特殊な肺癌の中でも、「腺様嚢胞(せんようのうほう)癌」「粘表皮(ねんひょうひ)癌」「カルチノイド」については、発症早期に発見して早期に治療を開始することで、経過が良いとされる癌です。
参考文献
- 日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック 2019年版. 金原出版. 2019
- 渡辺俊一他監修:国立がん研究センターの肺がんの本. 小学館クリエイティブ. 2018
- 坪井正博監修:図解 肺がんの最新治療と予防&生活対策. 日東書院. 2016