肺がんを知る

肺がんの種類

監修 東邦大学医療センター大森病院 呼吸器内科
教授 岸 一馬 先生

小細胞肺がんと非小細胞肺がん

がんは、その性質によって症状の出方や治療の方法などが異なります。肺がんではがん細胞の大きさや形、がん細胞が集まっている状態などから「組織型」によって分類されています。
肺がんを組織型で分類すると10種類以上にのぼりますが、頻度が高いものは「小細胞がん」「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」であり、その他はまれです。また、肺がんは治療の効きやすさ、進行速度の違いによって「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の大きく2種類に分けられ、治療方針が大きく異なります。

図:肺がんの分類
小細胞肺がんには、小細胞がんが含まれ、非小細胞肺がんには腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどが含まれます。

日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック 2019年版. p18金原出版.より作図

組織型によって、発生しやすい部位や、病気の特徴が異なります。

表:肺がんの組織型とその特徴

※横スクロールにて全体をご確認いただけます。

組織型分類 多く発生する場所 病気の特徴
小細胞肺がん 小細胞がん 肺門部・肺野部
  • 増殖が速い
  • 転移しやすい
  • 喫煙との関連が大きい
  • 薬物療法(抗がん剤)や放射線療法併用の薬物療法、免疫療法に対する感受性が高い
非小細胞肺がん 腺がん 肺野部
  • 肺がんの中で最も多い
  • 症状が現れにくい
扁平上皮がん 肺門部・肺野部
  • 咳や血痰などの症状が現れやすい
  • 喫煙との関連が大きい
大細胞がん 肺野部
  • 増殖が速い
  • 小細胞肺がんと同じような性質を示す場合もある

渡辺俊一他監修:国立がん研究センターの肺がんの本. 小学館クリエイティブ. p11.2018より改変

図:組織型別・肺がんの発生部位
肺がんの発生部位でみると、肺門部では小細胞がんと扁平上皮がんが多く発生し、肺野部では小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんが多く発生します。

小細胞肺癌は、英語で言うとSmall Cell Lung Cancer。この頭文字をとって「SCLC」と略されます。
非小細胞肺癌は、Non Small Cell Lung Cancer。これを略して「NSCLC」と呼ばれます。
小細胞肺癌は、「大細胞癌」と同じように「肺」を省略して「小細胞癌」と呼ばれることもあります。

肺癌の種類は10種類以上

癌細胞の集まりである「癌組織」を、顕微鏡を用いて研究する学問を「病理組織学」と言い、肺癌では病理組織学による分類が用いられています。肺癌の病理組織分類には、世界保健機関(WHO)の分類や、日本肺癌学会の分類がありますが、いずれの分類でも、肺癌は10種類以上に分けられています。
「小細胞癌」と、「非小細胞肺癌」の「腺癌」「扁平上皮癌」「大細胞癌」の4種類以外は、頻度が低く特殊な肺癌です。
特殊な肺癌の中でも、「腺様嚢胞(せんようのうほう)癌」「粘表皮(ねんひょうひ)癌」「カルチノイド」については、発症早期に発見して早期に治療を開始することで、経過が良いとされる癌です。

参考文献
  • 日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック 2019年版. 金原出版. 2019
  • 渡辺俊一他監修:国立がん研究センターの肺がんの本. 小学館クリエイティブ. 2018
  • 坪井正博監修:図解 肺がんの最新治療と予防&生活対策. 日東書院. 2016

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