肺がんを知る肺がんの種類

小細胞肺がんとは

喫煙との関連が大きい小細胞肺がん

小細胞肺がんは、肺がん全体の約10~15%を占め、肺がんの組織型としては3番目に多いタイプです。喫煙との関連が大きいがんのひとつでもあります。

図:小細胞肺がんは喫煙との関連が大きい
喫煙者の隣で副流煙を嫌がる人物のイラスト

癌細胞の形が小さい「小細胞肺癌」

小細胞肺癌の癌病変を顕微鏡で観察すると、非小細胞肺癌の病変に比べて、癌細胞の形が小さく、密集して広がると言う特徴が見られます。

「限局型」と「進展型」とは

小細胞肺がんは進行が速く転移しやすいため、進行度によって「限局型」と「進展型」に分けられています。がんが片方の肺や胸部にとどまっているものを「限局型」、限局型より広い範囲に広がっているものを「進展型」としています。

放射線で治療ができる小細胞肺がん「限局型」

「限局型」は、がん病変の範囲が狭く、放射線で治療ができる範囲内にとどまっている状態です。

  1. (1)最初にがんができた部分(原発巣)と同じ側の肺に病変がとどまっている
  2. (2)原発巣と同じ側のリンパ節か反対側の縦隔リンパ節への転移までに限られている
  3. (3)悪性の胸水や心嚢水がみられない

と言う場合に「限局型」と診断されます。

図:限局型小細胞肺がんの病変の範囲
がんができているのが片側の肺にとどまっている場合、放射線での治療が可能

放射線での治療が難しい小細胞肺がん「進展型」

「進展型」は、放射線で治療ができる範囲を超えて、がんが広がっている状態を言います。がんが広範囲に広がっていると、放射線治療や手術でがんを完全に取り除くことができません。そのため、進展型の小細胞肺がんに対しては、薬物療法が行われます。抗がん剤を全身にいきわたるように投与する従来の治療に加え、最近では、免疫チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法が行われます。

図:進展型小細胞肺がんの病変の範囲
がんが原発巣とは反対側の肺のリンパ節や、肺以外の臓器に転移していたり、胸のまわりに水がたまっている胸水や、心臓のまわりに水がたまる心嚢水のような症状がみられる場合も、放射線で治療ができる範囲を超えて癌が広がっている進展型小細胞肺がんの状態です。

小細胞肺癌は放射線治療や薬物療法が効果的

小細胞肺癌は、薬物療法が効果的な癌のひとつです。また、放射線による治療も同様に効果的なことから、「限局型」の小細胞肺癌では、薬物療法と放射線による治療を併用して治療を行います。
「進展型」で転移がある場合も、薬物療法で症状が改善することがあります。最近では、進展型の小細胞肺癌の治療に保険適応のある免疫チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法も行われています。薬物療法で改善しない場合や、改善しないと予想される場合には、「進展型」でも症状を和らげる目的で、放射線による治療が行われることもあります。

参考文献
  • 日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック 2019年版. 金原出版. 2019
  • 渡辺俊一他監修:国立がん研究センターの肺がんの本. 小学館クリエイティブ. 2018
  • 坪井正博監修:図解 肺がんの最新治療と予防&生活対策. 日東書院. 2016

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