リンパ腫治療の副作用

監修 愛知県がんセンター 病院長 
山本 一仁 先生

Q. リンパ腫治療に副作用はありますか?とても不安です…。

A. リンパ腫治療では、多くの人にみられる副作用や、副作用がみられる時期がわかっています。前もって、どんな副作用がいつごろ出るのかということがわかると対応しやすくなります。いつもと違う症状があらわれたら、我慢したり、治療に関係ないかも…と思わずに、医師や看護師、緩和ケア医などに伝えるようにしましょう。

どの治療法でも起こりやすい主な副作用とその対処法

  • 処方された吐き気止めの薬を服用することで予防になります。指示された飲み方を守りましょう。
  • 食事は無理をせず、気分の良いときに取るとよいです。
  • 抗がん剤投与当日の食事は控え目にし、乳製品や脂質の多いものなどの胃に負担になるものはさけるとよいでしょう。

  • 口の中を清潔にして、また、乾かないように気をつけましょう。
  • 香辛料のたくさん入ったもの、熱いもの、硬いもの、アルコールなどの刺激の強い食べものは控えましょう。
  • 虫歯や歯周病は、治療の前にできるだけ治療しておきます。
  • 痛みが強い場合には炎症を抑える薬剤や麻酔薬を含んだうがい薬や塗り薬を用いることができます。がまんせずに医師に相談しましょう。

  • 髪を短くしておくと、脱毛が始まったときに処理がしやすくなります。
  • 脱毛のある時期や髪が再び生え始める時期をあらかじめ確認しておき、心の準備をするとともに、ウィッグや帽子を活用するとよいでしょう。
  • 直射日光や乾燥に気を付け、髪を洗うときに地肌を強くこすらないなど、頭皮を保護しましょう。

薬物療法の主な副作用とその対処法

  • 点滴を受けているときに違和感、息苦しさ、血管の痛みなどを感じたときは、すぐに医療スタッフに知らせてください。
  • 初めて使う薬があるときは、特に症状の出現や変化に気をつけましょう。

  • あらかじめ、発熱したらどうするかを医師と相談しておくと安心です。

  • 症状は数日で改善する場合が多いです。痛みがあるときは、体を冷やさないように注意します。
  • 痛みによっては鎮痛剤を使用することもあります。

  • 疲れやすかったり、息切れしたりする場合には、無理をせずに休憩しましょう。だるさ、ふらつき、めまいなどの症状がみられた場合は、担当医に相談しましょう。
  • 貧血の程度によっては、輸血で対処することもあります。
  • 出血による貧血であれば、止血のための治療をします。

  • シャワーや入浴などで体を清潔にして、食事前やトイレ後などには必ず手を洗う習慣を身につけましょう。
  • マスクをつけて外出し、人ごみをさけましょう。帰宅後は手洗いとうがいを忘れずに。
  • 白血球が減少して感染を起こしやすくなっている時期には、入院治療を行って、感染しないようにすることもあります。
  • 急な発熱や寒気、排尿時の痛みなどの症状があれば、担当医に連絡しましょう。

  • ケガをしないように、転倒を避けたり体をぶつけないように注意しましょう。口の中も傷がつくと出血が止まりにくいので、柔らかい歯ブラシを使うとよいでしょう。
  • 知らないうちにあざができていたり、口の中で出血していたりしたら、医療機関を受診しましょう。
  • 脳出血や消化管出血を起こすリスクがある患者さんでは、血小板の輸血のために入院をすることもあります。

  • 薬物療法によってあらわれることがありますが、薬の使用を終了してから数カ月すると改善することが多いといわれています。
  • 口の中は清潔にして、乾かないようにしておきましょう。
  • 無理をせず、おいしいと感じられるものを食べましょう。味が感じにくい場合は、味つけを濃くしたり、はっきりした香りの薬味を取り入れてみましょう。

  • 口の中を清潔にして、保湿にも気をつけましょう。
  • 香辛料の強いもの、熱いもの、硬いもの、アルコールなどといった刺激の強いものは、できるだけ食べないようにしましょう。
  • 虫歯や歯周病は、治療の前に治療しておきましょう。
  • 痛みが強い場合には、薬で炎症を抑えたり、麻酔薬を含んだうがい薬や塗り薬を使うことがあります。がまんせずに、医師に相談してみましょう。

  • 便秘しやすい薬の場合、多くは緩下剤(緩やかに排便を促す薬)などを使って対処します。
  • 水分と食物繊維を多めに摂取して、軽い運動も生活に取り入れましょう。生活習慣を改善して排便のリズムを整えるとよいでしょう。

  • しびれ感やピリピリ感が手足の指先にあらわれたり、手足の痛み、手足が熱い、指先の冷えなどがみられたら、早めに医師に相談しましょう。また、手足の感覚だけでなく、味覚や聴覚などに変化があらわれることもあります。
  • 運動神経や感覚神経が鈍くなると、熱さに気づきにくくなり、危険をよける動きもしにくくなるので、けがややけどに注意しましょう。

  • 肺の間質というところで炎症が起き、発熱や息苦しさといった症状がみられることがあります。
  • 原因となった薬をやめたり、ステロイド薬で炎症を抑えたりする必要がある場合もあるので、症状があらわれたら、我慢せずに早めに医師に相談しましょう。

  • 帯状疱疹やウイルス性肝炎などのウイルス性疾患が重症化しやすくなることがあります。そのために、予防薬が処方される場合があります。
  • 肝炎にかかっている場合や、過去に肝炎にかかったことのある場合は、治療前に必ず担当医へ伝えましょう。

放射線療法の主な副作用とその対処法

放射線治療の副作用には、放射線を照射した部位に起こるものと全身にあらわれるものがあります。また、放射線治療中または終了してすぐにみられる副作用がある一方で、治療後半年から数年後に起こる2次発がんなどの副作用がみられる場合もあります。

  • 皮膚の赤み、かゆみ
  • 皮膚を清潔に保ち、刺激をさけましょう。
  • 低刺激性のボディーソープなどを使う、紫外線をさける、ゆったりした衣服を選ぶ、などの工夫が役立ちます。

造血幹細胞移植の主な合併症とその対処

造血幹細胞移植では、大量の抗がん剤投与と放射線照射による前処置でリンパ腫細胞をできるだけ減少させます。また、同種幹細胞移植では特有の合併症がみられることがあります。合併症をさけるためには、前処置時の副作用・感染症対策、移植後の免疫抑制対策、感染症対策が重要です。近年では、移植時の化学療法や放射線照射を軽減した方法で移植を実施することもあります。

合併症 主な症状 出現する時期
治療関連毒性
(RRT)
皮膚障害、脱毛
胃腸の障害、口内炎
出血性膀胱炎など
移植日前~移植後1ヵ月頃
急性GVHD
(移植片対宿主病)
皮膚(紅斑)
肝障害(高ビリルビン血症)
胃腸障害(下痢)
移植後2,3週~100日頃
慢性GVHD 皮膚(乾燥、萎縮、硬化、色素沈着)
肝障害(胆汁うっ滞)
sicca症候群(眼、口腔)
肺疾患
慢性下痢(吸収障害)
自己抗体
移植後100日頃~
肝中心静脈閉塞症
(VOD)
急激な腹水貯留、進行性の黄疸 移植日~移植後20日頃
血栓性微小血管障害
(TMA)
下痢、溶血性貧血、血小板減少
精神神経症状、腎障害
移植日以降
感染症
(細菌・真菌・ウイルス
・カリニなど)
肺炎、腸炎、出血性膀胱炎、
帯状疱疹
移植日前後~

永井正. 図解でわかる 白血病・(悪性)リンパ腫・多発性骨髄腫, 2016, p175 法研

医師からのメッセージ
セカンドオピニオンをご存知ですか?

現在の主治医の意見とは別に、ほかの医療施設の医師に治療方針などについて意見を聞くことができます。

※これをセカンドオピニオンといいます。セカンドオピニオンを希望する場合には、それまでに説明を受けた診断や治療方針、そのほかの治療選択肢などについて、担当の医師の説明を理解しておきましょう。セカンドオピニオンを実施している病院の情報については、地域のがん診療連携拠点病院の相談支援センターで入手することができます。

※セカンドオピニオンの目的はあくまで別の医師の“意見を聞くこと”です。そのため、セカンドオピニオンを行うことで、担当医の変更や、転院ができるわけではありません。

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