悪性リンパ腫の治療高悪性度リンパ腫には
どんなものがありますか?

監修 愛知県がんセンター 血液・細胞療法部 部長 
山本 一仁 先生

Q. 高悪性度リンパ腫にはどんなものがありますか?

A. 高悪性度リンパ腫は、高度アグレッシブリンパ腫とも呼ばれ、日~週単位で急速に進行します。ほかのリンパ腫と異なり、入院を必要とする強力な化学療法の対象となります。代表的な病型としては、バーキットリンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫などがあります。

バーキットリンパ腫(BL)

特徴
小児と30~40歳代の若年成人でみられることが多く、また、男性に多く発症する傾向があります。症状は発生部位によって異なります。急に大きくなったしこりなどから発見されることが多いとされています。
治療
バーキットリンパ腫は、進行が速いリンパ腫ですが、適切な治療を行うことで治癒をめざすことができる病型でもあるため、初回治療では治癒を目指すことが目的となります。基本的な治療は、大量の抗がん剤を中心とした化学療法で、いくつかの薬剤を組み合わせて用います。

<難治性・再発した場合>

救援化学療法となります。標準的な治療はまだ確立されておらず、初回と異なる化学療法や、化学療法と分子標的薬の併用療法などが使われることがあります。

もっと詳しく知りたい方はこちら 国立がん研究センター がん情報サービス 「それぞれのがんの解説
バーキットリンパ腫」
[2020年11月14日閲覧] (別ウィンドウで開きます)

急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫(ALL/LBL)

特徴
未熟なリンパ球ががん化した細胞(白血病細胞)が増殖する病気です。白血病細胞が骨髄で増殖したものを急性リンパ性白血病、リンパ節などリンパ組織で増殖したものをリンパ芽球性リンパ腫と呼びます。
治療
急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫は、いずれも病状の進行が速いため、早期に発見・診断し、早期に治療を開始することが重要です(⇒急性リンパ性白血病のページへ)。

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)

特徴
成人T細胞白血病/リンパ腫は、HTLV-1(human T-lymphotropic virus type-Ⅰ)というウイルスに感染した細胞がT細胞に接触し、感染したT細胞からがん化した細胞(ATL細胞)が増殖する病気です。HTLV-1ウイルスに感染した場合に、必ず発症するというわけではありません。しかし、他の白血病やリンパ腫に比べてさまざまな病状がみられ、根治が難しい場合もあります。
分類
成人T細胞白血病/リンパ腫は、「急性型」「リンパ腫型」「慢性型」「くすぶり型」に分類され、症状は病型によって異なります。
症状

<急性型>

血液中のATL細胞の増殖に伴って白血球数が増加します。皮膚の発疹やリンパ節の腫れがみられ、便秘、全身倦怠感、意識障害、溶骨病変等を伴う高カルシウム血症が起こることがあります。また、肝臓や脾臓の腫れによって全身症状が起こります。また、白血球のT細胞ががん化しているため、免疫の働きが低下しています。そのため、健康なときには害がないような弱い細菌や真菌、ウイルスなどによる感染症(日和見感染症)もみられます。

<リンパ腫型>

ATL細胞の増殖はみられませんが、急性型と同じように重症化を起こしている場合が多くあります。大きなリンパ節の腫れや皮膚病変などがみられます。
急性型とリンパ腫型にみられる皮膚病変は、1cm以上のかたまりの増殖がみられる結節腫瘤型や体の表面積の80%以上に紅斑性の病変がみられる紅皮症型といった重症であることが多いとされています。

<慢性型>

主に皮膚に病変があり、慢性的に症状が経過します。皮膚が赤くはがれやすくなる剝脱性皮疹がみられることが多いです。皮膚の病変以外では、症状はほとんどありません。

<くすぶり型>

皮膚や肺に病変がある場合以外では、症状はほとんどありません。

治療

<急性型、リンパ腫型、予後不良因子をもつ慢性型>

早急な治療が必要となります。治療はまず化学療法を行います。分子標的薬の使用が可能な場合もあります。全身状態やドナーの条件が合えば、同種造血幹細胞移植も行うことができます。また、高カルシウム血症や日和見感染症といった合併症に対する治療が必要とされます。

<予後不良因子のない慢性型、くすぶり型>

皮膚症状がある場合には、紫外線療法や放射線治療、副腎皮質ステロイド剤の塗布により症状を緩和させます。治療効果が十分にみられない場合には、細胞障害性抗がん剤単剤の化学療法を行うことが検討されます。
皮膚症状がなければ経過観察となり、観察中に急性型に移行した場合は急性型に対する治療を行います。

もっと詳しく知りたい方はこちら 国立がん研究センター がん情報サービス 「それぞれのがんの解説
成人T細胞白血病/リンパ腫」
[2020年11月14日閲覧] (別ウィンドウで開きます)

造血幹細胞移植は、移植前治療の種類・患者さんとドナーとの関係性・移植に使用する細胞などによって分類することができます。
骨髄破壊的移植(フル移植)と骨髄非破壊的移植(ミニ移植)は、移植前治療の種類による分類です。
フル移植は、大量化学療法や全身への放射線治療などにより強力な治療を行った後に、造血幹細胞を投与する治療法です。ミニ移植は、フル移植よりも移植前の治療の強度が弱い治療法です。
フル移植では、強力な移植前治療による副作用や合併症が起きやすいため、通常では、治療対象が、50歳から55歳以下で、全身状態が良好な患者さんのみに制限されます。
ミニ移植では、移植前治療を弱めることで高齢者や臓器に障害がある患者さんでも実施できる場合があります。一方で、ミニ移植では、移植されたドナーのリンパ球が患者さんのリンパ腫細胞を攻撃する移植片対白血病効果(GVL効果)を利用しますが、抗腫瘍効果や免疫抑制効果がフル移植と比較すると弱いことが考えられています。

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