多発性骨髄腫と
診断されたあなたへ

監 修 | 京都府立医科大学 血液内科学 教授 黒田 純也 先生

Q.多発性骨髄腫と診断され、不安でたまりません。どうすれば良いですか。

A.

多発性骨髄腫と診断されたときは、誰であっても衝撃を受け、しばらくは不安や落ち込みが続くかもしれません。しかし、そういった不安な気持ちがあらわれたり、場合によっては眠れなくなったり、食欲がうせてしまったり…という状態になっても、多発性骨髄腫の診断を受けた方が感じる自然な気持ちや反応ですので、がまんしたり、無理をしたりしないようにしてください。時間がたつにつれて、治療についてや、この先に自分がすべきこと、したいことを少しずつ考えられるようになるでしょう。多くの患者さんが、同じような時期を乗り越えて前向きに治療をしながら社会生活を送られています。決して、あなたは一人きりではありません。それでも、どうしても落ち込みが強く、つらい状態が続く場合もあるかも知れません。そのような時には、精神科・心療内科や、「精神腫瘍科医」といったがん患者さんの精神的ケアを専門とする医師による治療が有用なこともあります。激しい落ち込みや不安があってつらいときには、早めに相談してみるのもよいでしょう。

医師からのメッセージ

気持ちが落ち着いたら、まずは情報を集めましょう。

気持ちが落ち着き、じっくりと病気のことを考えられるようになったら、まず多発性骨髄腫について正しい情報を集めてみましょう。とくに、担当の医師にいろいろと聞いてみてください。このとき、ご家族などに同席してもらう、事前に聞きたいことをまとめておく、当日はメモを取るなどの工夫をしておくと、大切なことを聞き漏らしにくくなります。経済的なことや、薬や食事といった療養生活全般については、担当医のほか、看護師、メディカルソーシャルワーカー、薬剤師、栄養士などのそれぞれの専門家に相談することもできます。一部のWebサイトや人づてなどで集めた情報の中には、時には古い情報や個人の主観が入ったものなどもあり、必ずしもあなたにとって有益で正しい情報かどうかは分からない時もあります。収集した情報は担当医や医療スタッフに聞くなどして、有益な正しい情報を適切に選ぶことが重要です。
正しい情報が集まってくると、多発性骨髄腫に対して自分がどう向き合うのかを考えるヒントになります。多発性骨髄腫とどのように向き合っていくかの考え方は、人それぞれです。ご自分なりの答えを見つけていくことになります。そして、医療スタッフや家族といった周囲の方々に、ご自分の気持ちを伝えて、信頼関係を築きながら治療をうけていけると良いと思います。
その他、仕事のことや社会保障制度など、わからないこと、不安なことは「がん相談支援センター」などを利用して相談することができます。病気のことや治療のことについては、場合によっては、他の病院でセカンドオピニオンを受けることもできますので、遠慮をせずに、活用してください。

がん相談支援センターで相談できることの詳細や、お近くのがん相談支援センターの検索は(https://ganwith.jp/consult.html(別ウィンドウで開きます)[2020年11月2日閲覧])をご参照ください。

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