こんな女性は、要注意です!乳がんの予防を意識しましょう
~先生からのメッセージ~
いくつかの研究の中で、肥満や喫煙、過度の飲酒など生活習慣上の問題が乳がん発症のリスク因子となることについて述べられています1)。
乳がんの確実な予防法はありませんが、これらの要素を避けることは、結果的には乳がんの予防になると考えられます。
また肥満や喫煙は、さまざまな生活習慣病のリスク因子でもあります。
健康的な生活を送ることが、乳がんをいちばん遠ざけてくれるのかもしれませんね。
乳がん発症との関連が確実な因子2)
- 肥満:
- 特に閉経後の肥満は乳がん発症に大きく関わるとされていますが、閉経前の女性でも乳がん発症リスクを高める可能性が指摘されています。
- 飲酒:
- 飲酒量が多いほど、乳がん発症リスクも高くなります。
- 大豆食品:
- 大豆食品を積極的に摂ることは、乳がん発症のリスクを低くすることがわかっています。
乳がん発症との関連がほぼ確実な因子2)
- 喫煙:
- 肺がんだけでなく、乳がんについても発症リスクを高める可能性があることがわかっています。
- 運動:
- 閉経後の女性では、定期的な運動が乳がん発症のリスクを低くするはほぼ確実です。閉経前の女性では、運動と乳がん発症との関連はわかっていません。
乳がん発症と関連する可能性がある・不明である因子2)
- イソフラボンのサプリ:
- イソフラボンのサプリによる乳がん発症リスク低下は証明されていません。一般に、サプリや健康食品で乳がんの発症リスクは下がらないとされています。
- 乳製品:
- 乳がん発症リスクを下げる可能性が指摘されていますが、どのような乳製品をどれくらい摂ればよいのかは不明です。
- ストレス:
- 乳がん発症リスクを高めるかどうか結論は出ていません。
日本乳癌学会によるガイドラインで紹介されているリスク因子のうち、ご自身で対処可能なものを確からしさごとに配置したものが上の図です。
ほかにも糖尿病の患者さんでは、糖尿病がない人に比べて乳がん発症リスクが1.2~1.3倍高いとされていますが3)、糖尿病の治療は長期にわたりますので、糖尿病患者さんは定期的に乳がん検診を受けるようにするとよいでしょう。
「乳がんの原因」で解説した女性ホルモンやHER2タンパク、初潮年齢や出産経験などは、ご自身ではどうしようもない、変えることのできないものでした。
一方このページでは、ご自分で対処可能な乳がんのリスク因子をご紹介しています。自分の力で乳がんに対しアクションを起こすことができる、と知ることで、少し気持ちが楽になったのではないでしょうか?
ただ、あまり我慢してばかりでも毎日の楽しみがなくなってしまいますので、窮屈になりすぎない範囲で取り組んでいただければと思います。
何かを新しく始めることは、心をウキウキさせてくれます。体形が気になっていた方はダイエットに挑戦してみたり、お酒が好きな方はそれに代わる何かを探してみたり、お料理が好きな方は新しいお豆腐料理のレシピを考えてみたりなどしてはいかがでしょうか。