乳房再建後のケア
~先生からのメッセージ~
乳房再建術は病気の治療ではありませんが、手術に要する時間、入院期間ともある程度は長くなっています。それだけ体に負担のかかる治療ですから、退院後はきちんとケアを行い、美しい乳房を保つようにしましょう。
自家組織による再建の場合
手術から6か月で傷は安定します。傷が安定した後は生活上の制限は特にありませんが、それまでは以下のようなことに気をつけましょう。
- 手術直後は、移植した血管に血栓ができる可能性があるので、こまめに水分をとりましょう。また血管が安定するまでは、腕を振り回したり重いものを持ったりすることは控えましょう。
- 圧迫を避けるため、手術直後から、できれば3か月後くらいまではブラジャーはしないようにしましょう。
- おなかの組織を移植した場合は、おなかに力を入れる運動は、医師の指示があるまで行わないようにしましょう。トイレでいきむこともよくないので、便秘の場合は薬などで便通を整えます。
人工物による再建の場合
手術から6か月で、挿入した人工物は安定します。その後は生活上の制限は特にありませんが、定期的な受診が必要です。人工物の安定までは、以下のようなことに気をつけましょう。
- エキスパンダーに生理食塩水を注入して皮膚を伸ばす処置が始まると、痛みや圧迫感が出てくる場合があります。痛みがある場合は楽な姿勢で休むようにしましょう。ただしうつぶせ寝は避けましょう。
- 腕を激しく動かすと、エキスパンダーや人工物がずれてしまうことがあります。ただし肩関節のこわばりを防止するために、肩・腕のストレッチなど、適度に動かすことは必要です。
- 人工物が体内にあることで、感染しやすい状態になっています。体に傷がつかないようにし、体調を崩さないように注意しましょう。
- 再建術の段階によって、体に合う下着は異なります。手術の傷が落ち着くまではゆったりした締め付けのないもの、エキスパンダーをふくらませているときは普段より大きめのもの、人工物を入れてからは、その形に合わせたノンワイヤー、アンダーが幅広のものがよいでしょう。
- 人工物が体内で安定しても、破損などを定期的(1、2年に1回)にチェックする必要があります。