乳がんの治療を受けている乳がんの治療を受けている

乳がん手術後の生活乳がん手術後の生活

~先生からのメッセージ~

乳がんという重大な病気の手術を受けられ、心身ともにお疲れのことでしょう。
退院後は、無理をせずに少しずつ体の調子を戻していくようにしましょう。放射線治療や薬物療法が予定されている方は、次のステップに備えて、ゆっくりとご自身をいたわってくださいね。
最近では、乳がんの手術を受けられた方向けの下着も充実しているようです。気持ちが明るくなるような、お気に入りのものを見つけてみてはいかがですか。

乳がん手術後に気をつけること

手術が終わって退院するころには、身の回りのことはほとんどできるようになっています。しかしまだ元通りの体ではありませんので、無理は禁物です。
家事や仕事に特に制限はありませんので、ご自身の体調に合わせて、医師や職場の方と相談しながら少しずつ元の生活に戻していくとよいでしょう。
ただし手術創に異常がある場合は、自己判断せずに医師に相談してください。

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乳がん手術後の下着

乳がん手術後の下着には、手術創を保護する役割があります。必ずしも乳がん専用のものである必要はありません。肌ざわりやすてきなデザインを楽しんだりすることもよいでしょう。
一般に、手術直後・痛みが軽快するまでの間・元の生活に戻るとき、の3段階に分けて、そのときどきに適した下着やパッドを選ぶとよいようです。

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リハビリをしましょう

腋窩リンパ節郭清を行った場合は、リハビリとして腕や肩を積極的に動かすようにしましょう。手術創がつっぱるからといって腕や肩を動かさないでいると、肩関節がうまく動かなくなってしまうかもしれません。
手術直後から入院中、また退院後も継続してリハビリを行うようにしましょう。リンパ浮腫(むくみ)の予防も期待できます。

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乳がん手術の合併症~上肢リンパ浮腫

腋窩リンパ節は乳房内のリンパの流れの中継点であるだけでなく、上肢のリンパの流れの中継点でもあります。そのため乳がんの手術後は、上肢のリンパ液が腕に溜まってしまう上肢リンパ浮腫が起きることがあります。
上肢リンパ浮腫とは、腋窩の手術や放射線治療によって上肢のリンパ液が滞り、腕が腫れた状態になることです。左右の上肢の太さの違い、手の甲のむくみ、腕の重さ、曲げづらいといったつらい症状があらわれる場合があります。すでにリンパ浮腫を発症してしまった場合は、医療機関での治療が必要です。担当の医師に相談し、自己判断でマッサージなどを行わないようにしましょう。

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乳がん手術の合併症~痛み

胸や上肢にかけてのきりきりした痛みや鈍痛が、術後数年経っても消えない場合があります1)。これは乳がんの再発などとは全く関連がありませんが、日常生活の妨げになるようであれば、担当の医師に相談しましょう。

1)参考:日本乳癌学会編: 患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版, 金原出版, 2019, p100

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手術後の検診について

乳がんは、術後5年を過ぎても再発の可能性が残ります。そのため手術後の定期検診は、10年を区切りに行われています2)。定期検診では、手術創(傷)の周囲の触診と、年に1回のマンモグラフィ検査が推奨されています。
また、手術後もセルフチェックは有効です。いちど乳がんになった方は反対側の乳房にもがんができやすいため、月1回の頻度でセルフチェックをするようにしましょう。

2)乳がんの治療をこれから受ける方のために:がん研有明病院 乳腺センター
https://www.jfcr.or.jp/hospital/department/clinic/disease/mammary_gland/pdf/nyuugan20201022.pdf
(2022年9月閲覧)

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このページの監修をしている先生

坂井 威彦 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺外科 副部長

原 文堅 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺内科 副部長