乳がんと診断された乳がんと診断された

乳房の再建
~方法やケア、合併症について~
乳房の再建
~方法やケア、合併症について~

人工物による再建

~先生からのメッセージ~

シリコンなどの人工物を、胸の皮膚の下に入れる方法です。
前処置(エキスパンダ―という器具を胸の筋肉の下に入れて皮膚を伸ばすこと)と再建(伸びた皮膚の下に人工物を入れる)の2つの工程で行われます。
手術の時間が短くて済むこと、乳房以外には傷をつける必要がないこと、術後の安静期間が短いことなど、自家組織再建に比べて患者さんの負担が小さい方法です。

人工物を挿入する方法

人工物はシリコン製のため安全性が高く、また乳房以外の部位に新たな傷をつけなくて済む方法です。

乳房切除後

切除創からエキスパンダーという器具を胸の筋肉の下に入れて、数か月かけて生理食塩水を少しずつ注入し、皮膚を伸ばしていきます。生理食塩水の量を増やしていくと、皮膚に痛みや圧迫感を感じることがあります。

(イメージ図)
乳房切除後に人工物を挿入する方法のイメージ図

参考:日本乳癌学会編:患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版, 金原出版, 2019, p105

皮膚の拡張後

エキスパンダーと人工物を入れ替えます。

(イメージ図)
皮膚の拡張後に人工物を挿入する方法のイメージ図

参考:日本乳癌学会編:患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版, 金原出版, 2019, p105

主な合併症

エキスパンダー・人工物のいずれも、挿入後に感染や血腫・出血、壊死・創の離開などの合併症が起こる場合があります。その結果、挿入した人工物の取り出しや入れ替えが必要になることがあります。

自家組織による再建と人工乳房による再建の比較表

※横スクロールにて全体をご確認いただけます。

自家組織による再建

人工物による再建

腹直筋皮弁法

穿通枝皮弁法

入院期間

最低2週間

最低数日

手術時間

4時間前後

6~8時間

エキスパンダー挿入、人工物への入れ替えともに30分~1時間

体への負担

大きい

小さい

傷跡

腹部に残る

腹部・太ももに残る

残らない(乳房切除時の傷のみ)

通院間隔

数週に一度

数週に一度、3~6か月間

難易度・実績

比較的簡単

非常に高度

近年、実施件数が大きく増えている1)

仕上がり

自然

やや硬い

長期の経過

左右バランスが悪くなる

放射線治療後の適応

可能

症例による

大胸筋欠損の適応

可能

不可

費用

保険適用

保険適用

※エキスパンダーへの生理食塩水注入のため

1)日本乳癌学会編:乳癌診療ガイドライン2018年版, 2018, 金原出版

参考:日本乳癌学会編:患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版, 2019, 金原出版, p106より作成

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