再発・転移の症状
~先生からのメッセージ~
日本乳癌学会による乳がん診療ガイドライン2023年版1)によると、再発患者さんの約3/4が再発の徴候を自覚しているといいます。
あまり意識したくはないこととは思いますが、万が一に備えて、再発・転移でよくみられる症状を確認しておきましょう。
気になる症状があれば医師に相談し、必要な検査を受けるようにしてください。
局所再発の症状
局所再発とは、すでに手術した側の乳房、または周辺の組織、リンパ節周辺に再びがんがあらわれるものです。
最初のがんで乳房を温存したか、全切除したかによって症状のあらわれる場所が異なります。
乳房・周辺組織にあらわれた再発がん
- <部分切除の場合>
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- 乳房のしこり
- 皮膚の状態の変化
- 乳房の皮膚の炎症、赤み
- <全切除の場合>
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- 胸壁のしこり
- 手術後周辺の皮膚の変化(厚くなるなど)
リンパ節周辺にあらわれた再発がん
- リンパ節周辺(わきの下、鎖骨のあたり、首など)のしこり・腫れ
遠隔転移の症状
遠隔転移は、最初のがんと同じがん細胞が、骨、肝臓、肺など乳房から離れた臓器で増殖したものです。
どの臓器にがんが転移しているかによって、自覚症状は異なります。
- 肺:初期の症状はあまりなく、進行すると咳、血痰、息苦しさなど
- 骨:ひじから先の腕、ひざから先の脚を除き、数日続く痛み、手足のしびれや麻痺、骨折など
- 脳:頭痛や嘔吐、ふらつき、けいれん、手足の麻痺症状、意識障害、性格の変化など
- 肝臓:初期の症状はあまりなく、進行すると腹部膨満感、上腹部痛、背部痛、食欲低下など
症状のあらわれる時期は?
再発の時期や症状には個人差があり、明確な時期を示すことは困難です。
4000人以上の乳がん患者さんを20年以上追跡し、その間の再発率などを分析した海外の研究1)では、治療後はじめの5年の再発率が最も高くなっています。しかし治療から20年以上が経過してから再発した例もわずかにありました。
治療後の再発を過剰に恐れることはありませんが、上に挙げたような症状にすぐ気づけるよう、普段から自分の身体をいたわってあげましょう。