どんな治療をするの?

手術療法

監修 慶應義塾大学医学部 産婦人科学教室 准教授・婦人科診療副部長 
阪埜 浩司 先生

手術療法:前がん病変、ステージⅠ・Ⅱに対する治療法です

がんの広がり方によって切除範囲は異なりますが、子宮の全摘出が基本的な手術内容です。

前がん病変(子宮頸部高度異形成、上皮内がん):CIN3

子宮頸部高度異形成は、HPV感染によってできた異型細胞が子宮頸部表面の上皮細胞の2/3以上を占めた状態、上皮内がんは、がん化した細胞が子宮頸部表面の上皮細胞内にとどまった状態で、がんになる前の段階の前がん病変と呼ばれるものです。

  • CIN:cervical intraepithelial neoplasiaの略で、子宮頸部上皮内腫瘍を指します。図のように異型細胞やがん細胞が上皮細胞に占める割合によって、CIN1~3に分類されます。

高度異形成が進行し上皮内がんとなる様子を示した前がん病変のイメージイラスト

これらに対しては、子宮頸部を円錐状に切り取る子宮頸部円錐切除術が行われます。切断した標本の切り口にがん細胞がなければ、治療は完了です。切り口にがん細胞がある場合、切除しなかった部分にがん細胞が残っている可能性が高い場合は、さらに子宮摘出手術を行います。また、ある一定の条件を満たせば、レーザー蒸散術という手術で治療することも可能です

子宮の構造をもとに子宮頸部円錐切除術を説明したイラスト。子宮頸部を円錐状に切除。所要時間は通常約30分以内。
  • 日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん治療ガイドライン 第2版,金原出版,2016,p.34

ⅠA期

がんが子宮頸部の間質にまで及んでいる状態です。ⅠA期についても、まず上記の子宮頸部円錐切除術が行われますが、これはがんが血管やリンパ管の中に入り込んでいるか(脈管侵襲)、切り口にがん細胞があるかを調べるためのもので、その結果によって手術の内容が異なります。
ⅠA1期(間質へのがんの浸潤の深さが3mm以内、かつ広がりが7mmをこえない)で脈管侵襲が陰性の場合、単純子宮全摘出術が行われます。ただし切り口にがん細胞がなく患者さんが将来の妊娠を望まれる場合は、子宮を温存するために円錐切除術以外の手術はせず、厳重な管理が行われます。
脈管侵襲が陽性の場合は、単純子宮全摘出術または少し切除範囲の広い準広汎子宮全摘出術に加え、骨盤リンパ節への転移を考慮して骨盤リンパ節の摘出が行われます。
患者さんが将来の妊娠を強く望み、さらに一定の条件を満たす場合は、広汎子宮頸部摘出術という手術を行うこともあります。詳しくは将来の妊娠・出産を希望する患者さんへの治療をご覧ください。

子宮の構造をもとに単純子宮全摘出術と準広汎子宮全摘出術の基本的な切除範囲と卵巣を温存する場合の切除部分を説明したイラスト
  • 日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん治療ガイドライン 第2版,金原出版,2016,p.39

ⅠB期

がんが子宮頸部にとどまっているものの、肉眼で見える状態、あるいは組織検査でⅠA期をこえる状態のものです。このステージでは、切除範囲が腟や卵管にまで及ぶ広汎子宮全摘出術が行われます。なおⅠB1期では放射線治療、ⅠB2期では放射線治療と化学療法を同時並行で行う同時化学放射線療法が、手術療法の代わりに行われることもあります。ⅠB1期で腫瘍が2cm以下など一定の条件を満たす場合は、妊よう性を温存するために広汎子宮頸部摘出術という手術が行われることもあります。詳しくは将来の妊娠・出産を希望する患者さんへの治療をご覧ください。

子宮の構造をもとに広汎子宮全摘出術の基本的な切除範囲と卵巣を温存する場合の切除部分を説明したイラスト
  • 日本婦人科腫瘍学会編:患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん治療ガイドライン 第2版,金原出版,2016,p.39

Ⅱ期

がんが子宮頸部をこえて広がりつつあるものです。このステージでも、広汎子宮全摘出術が行われます。なおⅡA1期では放射線治療、ⅡA2期、ⅡB期では放射線治療と化学療法を同時並行で行う同時化学放射線療法が、手術療法の代わりに行われることもあります。
またⅡA1期では、がんの状態によっては骨盤内の神経を残しながら子宮を摘出する方法が選択できる場合もあります。骨盤内の自律神経を損なわないことで、術後の排尿・排便機能への影響を抑えられる可能性があります。
いずれのステージも、手術後は、脈管侵襲の有無やがんのサイズなどで決定される再発リスクに応じて、追加の治療が行われます。

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専門医からのメッセージ

ほとんどの場合で子宮の全摘出が標準の手術方法となっているため、不安になる方も多いことでしょう。ですが、患者さんの負担をなるべく減らすために、ロボット支援手術や腹腔鏡による手術の取り組みが検討されています。不安や疑問点は医療スタッフによく確認しつつ、手術に臨んでいただきたいと思います。
将来妊娠を希望される患者さんの場合は、いくつかの条件を満たせば、妊娠できる機能を残す方法を検討することもできます。しかし、がんの広がり方によって適応となる治療法が異なりますので、治療法を決める際には、医療スタッフやご家族とよく話し合いましょう。

もっと知りたい! 子宮頸がん みんなのQ&A

進行子宮頸がんに対する治療

ステージⅢ・Ⅳが該当します。
Ⅲ期とⅣA期では、同時化学放射線療法、ⅣB期では、症状緩和を目的に同時化学放射線療法や化学療法が行われます。

進行子宮頸がん(ステージⅢ・Ⅳ)の治療の流れ
前述の進行子宮頸がんの治療の流れをチャートで解説。

進行子宮頸がんの治療

子宮頸がんは放射線治療の効果が出やすいがんです。高齢者、化学療法を望まない、合併症があって化学療法に耐えられないなどの患者さんには、放射線治療単独でも、一定の効果が期待できます。

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