監修 独立行政法人国立病院機構
四国がんセンター 婦人科 手術部長
竹原 和宏 先生
子宮体がんに関するみなさんからよくある質問に、わかりやすく回答しています。
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子宮体がん みんなのQ&A
閉経後の不正出血は、半数近くが何らかの悪性腫瘍によるものだという報告があります1)。また閉経後の子宮体がん患者さんの9割に不正出血が認められたという報告があるため2)、必ず受診して出血の原因を確かめることが重要です。
子宮体がんは、糖尿病のほかにも動物性脂肪を多く含む食生活や肥満との関連が指摘されています。
糖尿病の患者さんでは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなっており、血糖値を下げようとするために膵臓から大量のインスリンが分泌されます。そのため、血中のインスリン濃度が高くなる高インスリン血症という状態になっています。この高インスリン血症は、子宮体がんⅠ型の発症に関与するエストロゲンの分泌を促進させると考えられています。
閉経前の不正出血には、排卵に伴うもの、ストレスや不規則な生活によるホルモンバランスの乱れが原因のものがありますが、がんなど重大な疾患が原因の可能性もあります。自己判断はせず、かかりつけの婦人科医を受診することをおすすめします。
子宮内膜が増殖し、がん化することで発症します。
詳しくは、「子宮体がんはなぜ起こるの?」をご参照ください。
多くの患者さんで、初期から不正出血が認められます。
詳しくは、「子宮体がんの症状は?」をご参照ください。
かかりつけの婦人科医で受けることが可能です。不正出血など気になる症状があったら、すぐに受診しましょう。
子宮体がんの検査は、婦人科の外来で受けることが可能です。通常の問診や内診に加え、子宮内膜の細胞を採取してがんの可能性を診る細胞診が実施されます。
自治体によっては、子宮頸がん検診と同時に子宮体がんの検査を行うところもあるようです。詳しくはお住いの自治体にご確認ください。
子宮体がんは早期治療で根治が期待できるがんですので、症状があったら速やかに検査を受けるようにしましょう。
子宮頸がん検診とは調べる部位や内容が異なるため、子宮体がんの発見を目的とした検査を受けましょう。
子宮頸がんの検査は、子宮入口の細胞を採取して調べたり、がんの原因となるウイルスの感染を確認するものです。一方の子宮体がんの検査は、子宮奥の子宮内膜にがんがみられるかを確認するものなので、2つの検査は異なります。
子宮体がんが心配な場合は、子宮内膜の検査を受けましょう。
子宮内膜症は子宮体がんと直接の関係はありません。月経困難症や不妊症と関連していると言われ、また別のがんに進行していく可能性があります。
子宮内膜症は、子宮の内面を覆っている組織が、何らかの原因で他の場所(卵巣、腹膜、膀胱、直腸、肺、皮膚など)に発生するものです。生理のある女性なら誰でもなる可能性のある病気で、月経痛が主な症状で不妊症と関連すると言われています。また卵巣にできた子宮内膜症を特にチョコレート嚢胞と呼び、卵巣がんの原因となることがわかっています。
子宮内膜増殖症は子宮内膜が過剰に増殖して分厚くなってしまう病気で、子宮内膜が子宮内腔以外の場所に発生する子宮内膜症とは別のものです。
子宮内膜増殖症は、異型細胞(正常細胞とは形態の異なる細胞)の有無により「子宮内膜増殖症」と「子宮内膜異型増殖症」の2つに分類されます。
「子宮内膜増殖症」の多くは自然に消えてしまいますが、「子宮内膜異型増殖症」は20%ほどの確率で子宮体がんに進行するとされています1)。
子宮内膜増殖症と診断されたら、婦人科で詳しい検査を行うことをおすすめします。
がんが強く疑われる細胞が発見された、ということを意味します。子宮体がんかどうかの確定診断は、次の精密検査を経て行います。
詳しくは、「組織診で子宮体がんの確定診断をします」をご参照ください。
子宮内膜増殖症、またはがんが疑われる細胞が発見された、ということを意味します。さらに精密検査を行い、がんかそうではないかの確認をします。
疑陽性であった場合は、組織診を行って子宮内膜異型増殖症またはがん細胞の有無を確認します。
詳しくは、「組織診で子宮体がんの確定診断をします」をご参照ください。
不正出血が続く場合は、その後も定期的な検査や組織診を受けるようにしましょう。
子宮内腔は直接観察できない場所で、病巣を的確に同定できません。早期の病巣は子宮内膜のごく一部に発生するので、経過をみていくことで診断がつくこともまれではありません。
親子や兄弟姉妹に大腸がん、尿管がん、腎臓がん、子宮体がんの方がいる場合、遺伝性のがんである可能性があります。
遺伝性大腸がんのひとつであるリンチ症候群では、大腸がんや子宮体がん、卵巣がんなどを発症する可能性が高くなります。リンチ症候群の女性では、20~60%が生涯に子宮体がんを発症する、と言われています1, 2)。
少なくとも3人の血縁者が大腸がん、子宮体がん、腎盂・尿管がん、小腸がんを発症している場合はリンチ症候群の可能性がありますので、担当の医師にご相談ください。
同じ子宮のがんですが、がんのできる部位、原因、好発する年齢など、全く異なるがんです。
子宮体がんは子宮奥の子宮内膜にできるがんで、多くは女性ホルモンのエストロゲンが発症に関与しています。また、食生活や生活習慣との関連もあると言われており、閉経前後の50歳代に多いですが、40歳代を中心に増加傾向にあります。
一方の子宮頸がんは、子宮入り口の子宮頸部にできるがんです。原因はヒトパピローマウイルス(HPV)への感染であり、発症のピークは30歳~40歳代ですが、近年は20歳代に急増しています。
[子宮頸がんと子宮体がんの違い]
子宮頸がん | 子宮体がん | |
---|---|---|
明らかとなって いる原因 |
ヒトパピローマ ウイルス (HPV) |
女性ホルモン の乱れ 食生活の欧米化 |
発症年齢 | 20歳代から 急増 |
40歳代から 増加 |
自覚症状 | 初期は無症状 | 不正出血 |
早期発見の ポイント |
検診 | 不正出血で受診 |
脂肪細胞が、子宮内膜増殖の原因であるエストロゲンを産生するためです。動物性脂肪の多い食事やアルコール摂取量の多さは、子宮体がんの発症リスクとされています1)。
同様に、肥満も子宮体がんのリスクとされています。特に閉経後は、それまで卵巣で産生されていたエストロゲンが主に脂肪細胞で産生されるようになるため、不健康な食生活や肥満があることで、子宮体がんを発症する可能性が高くなると考えられます。
子宮内膜異型増殖症の段階か、がんを発症していても子宮の筋肉に浸潤していない、ごく早期の、かつ組織型と悪性度が基準を満たす場合、妊娠・出産機能を残して治療することが可能です。
妊娠の可能性(妊よう性)を残す治療が適応となるためには、下記の条件を満たす必要があります。(①または②)
- ①子宮内膜異型増殖症である
- ②子宮内膜に病巣が限局している子宮体がんのステージⅠA期で組織型が類内膜がん、分化度が高分化型
上記の条件を満たしていれば、子宮・卵巣を温存して、高用量プロゲステロン剤を内服するホルモン療法を行うことが可能です。
治療中のホルモン療法の効果を確認するために定期的に子宮内膜全体を採取する処置(子宮内膜全面掻爬[そうは])などを行わなければならないことから、ホルモン療法は経験が十分な医療機関で治療を受ける必要があります。
ホルモン療法の実施については、治療前にご家族、そして医師や医療スタッフと十分に話し合う機会を持ちましょう。
がんの広がり方によって5年後の生存率は異なりますが、ごく初期に発見されれば、5年後の生存率は約9割です。
2020年の日本産科婦人科学会腫瘍委員会の報告1)によると、子宮体がんの広がり方(進行期)ごとの5年生存率は下記のとおりです。
- Ⅰ期(がんが子宮体部だけに留まっている状態):94.1%
- Ⅱ期(がんが子宮頸部の間質[表層よりも下の組織]に広がっているが、子宮をこえてはいない状態):89.2%
- Ⅲ期(がんが子宮外に広がるが、小骨盤腔をこえていない状態、またはがんにつながるリンパ節に転移している状態):73.6%
- Ⅳ期(がんが膀胱や腸粘膜に転移している状態、肝臓や肺などの遠くの臓器にまで転移している状態):25.8%
症状があったら速やかに受診し、がんの早期発見に努めることが大切です。
子宮体がんには、発症にエストロゲンが関与するⅠ型と関与しないⅡ型があり、Ⅰ型の方が予後良好とされます1)。また同じⅠ型でも、がんの顔つき(組織型)によって、再発リスクが異なります。また分化度(悪性度)によって、がん細胞の増殖の度合いが異なります。
Ⅰ型とⅡ型の特徴については、「子宮体がん」をご参照ください。
子宮体がんの組織型には、主に類内膜がん、漿液性がん、明細胞がん、粘液性がんの4つがあり、子宮体がん全体での内訳は下図のようになっています。
子宮体がんの多数を占める類内膜がんは再発リスクが低く、予後良好とされています。また粘液性がんも、予後は比較的良好とされます。一方で漿液性がんと明細胞がんは再発リスクが高いことが知られています2, 3)。
悪性度は、細胞が成熟して活発な増殖がみられない高分化型、細胞が未成熟で増殖が活発な低分化型、これらの中間にある中分化型に分類されます。
臨床進行期のことで、術前の検査から推定されたがんの広がり、または手術でわかったがんの広がりを表しています。広がりの程度によって、大きく4つに分類されています。
詳しくは、「子宮体がんの進行期とは?」をご参照ください。
がんが子宮体内に留まっている状態です。この段階では、高い確率で完治を期待することができます。
Ⅰ期は、さらにⅠA期、ⅠB期の2つに分類されます。
ⅠA期 |
がんの浸潤が子宮筋層の1/2未満のもの |
|
---|---|---|
ⅠB期 |
がんの浸潤が子宮筋層の1/2以上のもの |
ⅠA期の治療
組織型が類内膜がんでかつ分化度が高分化または中分化の場合、再発の危険性は低いため子宮と卵巣・卵管の摘出を行い、その後は経過観察となります。妊よう性温存手術が可能なのは、子宮筋層に浸潤をしていないⅠA期のがんです。
上記以外のⅠA期に対する治療はⅠB期の治療に準じます。
ⅠB期の治療
子宮および卵巣・卵管の摘出に加え、お腹のリンパ節の摘出とお腹の中に悪性細胞がいるかどうかの検査を行います。がん細胞の活発さ(分化度)やがんの顔つき(組織型)によって、手術後に化学療法・放射線治療を行います。また、がんの広がり方によって、子宮の切除範囲も広くなることがあります。
がんが子宮の入り口の間質(表層よりも下の組織)にまで広がった状態です。
Ⅱ期の治療
子宮および卵巣・卵管の摘出に加え、お腹のリンパ節の摘出とお腹の中に悪性細胞がいるかどうかの検査を行います。がん細胞の活発さ(分化度)やがんの顔つき(組織型)によって、手術後に化学療法・放射線治療を行います。
がんが子宮をこえて周辺にまで広がっている状態です。
Ⅲ期は、さらにⅢA期、ⅢB期、ⅢC1期、ⅢC2期に分類されます。
ⅢA期 |
子宮の外側の膜や卵巣・卵管にまで広がっているもの |
|
---|---|---|
ⅢB期 |
膣や子宮周囲の組織にまで広がっているもの |
|
ⅢC1期 |
骨盤リンパ節に転移しているもの |
|
ⅢC2期 |
傍大動脈リンパ節に転移しているもの |
Ⅲ期の治療
子宮および卵巣・卵管の摘出に加え、お腹のリンパ節の摘出とお腹の中に悪性細胞があるかどうかの検査を行います。また転移がんを可能な限り摘出する腫瘍減量術が行われる場合もあります。がん細胞の活発さ(分化度)やがんの顔つき(組織型)によって、手術後に化学療法・放射線治療を行います。
がんが膀胱や腸の粘膜、あるいはさらに腹腔内や遠くの臓器にまで転移している状態です。
Ⅳ期は、さらにⅣA期、ⅣB期に分類されます。
ⅣA期 |
膀胱や腸粘膜にまで広がっているもの |
|
---|---|---|
ⅣB期 |
腹腔内播種、ならびに/あるいは鼠径リンパ節を含む遠隔の臓器に転移しているもの |
Ⅳ期の治療
手術で病巣を摘出できる場合は手術を行います。病状により薬物療法、放射線療法、緩和ケアを行います。
手術をしても、骨盤リンパ節への転移がある場合、転移はなくても脈管侵襲(がんが血管やリンパ管の中に入り込むこと)陽性の場合などは、再発する可能性が高くなります。
再発とは、治療によって目に見える大きさのがんがなくなった後に、再びがんが現れることをいいます。子宮体がんでは、再発リスクが低い場合は術後の追加治療は行わず経過観察を行いますが、治療から5年以上経って再発する場合もある1)ため、5年以上の長期間にわたって定期的に検査を行って再発の早期発見を目指します。再発子宮体がんの治療について、詳しくは「再発子宮体がんに対する治療」をご覧ください。
卵巣は、子宮のがんが非常に転移しやすい臓器であるためです。
がんが体の中に残ってしまうことがないように、卵巣を摘出します。なお将来妊娠を希望する場合は、初期であることを確認して子宮・卵巣を残すことのリスクについて十分な説明を受けて納得されている場合、温存することを選択できます(「Q.子宮体がんと診断されました。妊娠・出産はあきらめるしかないのでしょうか?」をご参照ください)。
従来の子宮体がんの手術は基本的に開腹手術のため、約2週間の入院が必要です。遠隔転移がない、がんが子宮体部に留まっているなどの条件を満たせば、入院期間の短い腹腔鏡下手術やロボット支援下手術も可能です。
腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術では手術創が小さくて済むため、体への負担が開腹手術に比べて小さく、入院期間を短縮することができます。腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術に対応している医療機関の場合、ご自分が対象になるかどうかは、主治医にご相談ください。
手術後の再発を予防するためです。術後に治療するかどうかは、がんの広がりの程度や分化度、組織型によって決まります。
化学療法、放射線治療の内容について詳しくは、「薬物療法:再発リスク中・高の場合および、手術ができなかった場合に行います」「放射線治療:全身状態などを考慮し何らかの理由で手術ができなかった場合に行われます」をご覧ください。
複数の抗がん剤を組み合わせた併用療法が行われます。治療間隔や投与方法は使用する抗がん剤により異なります。通院して受けられるものと、入院が必要なものがあります。
実際に点滴する際は、抗がん剤以外に吐き気止めや水分補充のためのお薬も一緒に投与します。また点滴終了後にも吐き気止めや熱が出た場合の飲み薬が処方されることもありますので、医師・薬剤師の指示を守って服用するようにしましょう。
子宮体がんに対する化学療法の主な副作用には、脱毛、手足のしびれ、免疫力の低下、吐き気・嘔吐などがあります。
副作用が辛い場合は、お薬の量を減らしたり、一時的に休薬するなどの対処法がありますので、医師・薬剤師に相談しましょう。
また化学療法の内容や投与スケジュールは、患者さんの状態によって変更される場合があります。
更年期のような症状が出たり、脂質異常症や骨粗しょう症の危険性が高まります。女性ホルモンを補充するホルモン補充療法が、症状改善に有用だとされています。
女性ホルモンを分泌する卵巣を摘出すると、閉経と同じように女性ホルモンが減少し、心と体にさまざまな変化が生じます。中でも、のぼせやほてり、発汗などのホットフラッシュ、肩こり、腰痛、頭痛、性交痛、また抑うつや不安・イライラなどの更年期障害に似た症状が、卵巣欠落症状として知られています。また脂質異常症や骨粗しょう症になりやすくなるため、心臓の病気になる危険性が増加したり骨折しやすくなるなど、将来の健康に対する影響も考えられます1)。
このような症状に対して有用とされるホルモン補充療法では、飲み薬、貼り薬、塗り薬のいずれかを状況に応じて使用することができます1)。最近では子宮体がん治療後のホルモン補充療法も状況に応じて実施されています。辛い症状がある場合は医師に相談してみましょう。
術後に起きる可能性の高い腸閉塞、リンパ浮腫に備えることが必要です。
腸閉塞
腸閉塞とは、腸が何らかの原因でふさがってしまうことでさまざまな症状があらわれる病態で、イレウスともいいます。発症時期や主な症状、治療法にはさまざまな種類がありますので、詳しくは医師の説明を受けてください。
イレウスを確実に予防できる手段は、今のところありません。自宅では、自分の体をよく観察し、症状に応じて救急受診することが重要です(下図参照)。
また、バランスのとれた食事を腹七・八分目程度にゆっくり食べる、消化の悪いものは控えめにする、水分を十分にとる、便秘に気をつけるなど腸を守る食生活を送ることも大切です。
大至急、救急受診が必要な症状1)
- 突然起こる反復性の激しい腹痛
- 痛む時間より痛まない時間の方が長い(間欠的な痛み)
- 痛む場所が移動していく
- 次第に腹部膨満や吐き気・嘔吐が起こる
リンパ浮腫・リンパ嚢胞
リンパ節を摘出したことにより、術後に浮腫(むくみ)や嚢胞(骨盤内にリンパ液の溜まった袋ができること)があらわれるものです。リンパ嚢胞はほとんどが経過観察で問題のないものですが、リンパ浮腫は発症すると治すことは難しく、生活に支障のあるものです。リンパ浮腫の予防法は特にないため、日常生活の中でできる対処法を行い、生活に支障のない状態を保つことが重要です。
下図は一般に考えられるリンパ浮腫への対処法ですが、自分に何が必要か、また詳しいやり方については、医師の指示を受けてください。
※リンパ液・血液の循環が悪い状態で感染を起こすと、蜂窩織炎(炎症によって皮下の組織にたんぱく質と水分がたまり、そこで固まってしまうこと)を起こす可能性があります。
排尿障害
広汎子宮全摘出術などで子宮とともに骨盤内の自律神経を切除した場合は、一時的に、あるいは永続的に尿意を感じなくなったり、自分で排尿がうまくできなくなったり、無意識に尿がもれたりするなどの症状が出ることがあります。この場合は、時間を決めて自分でカテーテルチューブを尿道から膀胱に入れ、尿を体外に出す処置(間欠的自己導尿)が必要になります。
近年では、このような処置がなるべく不要になるよう、骨盤内の神経を損なわないような手術法の研究が急速に進んでいます。
十分に体力が回復し、術後の傷の状態が安定すれば性交渉は可能です。
ただし、手術後は、性交に関わる合併症が認められることが多くあります。具体的には膣の乾燥、性交痛、満足度の低下など、また心理的には性行為に対する興味の低下などです。
性交渉を持ちたいという希望がある場合は、主治医に確認するとともにパートナーとよく話し合い、二人にとって無理のないやり方を探してみてはいかがでしょうか。
がんは担当の医師だけでなく、他の医療職を含めたチーム体制で治療を行います。チームの中心は患者さんですから、気になることや悩みを自分だけで抱え込まず、そばにいるスタッフを頼ってください。
がん治療にあたるチームには、主治医以外には看護師、薬剤師、リハビリに関する専門職などが加わります。また心の問題を扱う精神科医や心療内科医、臨床心理士が加わる場合もあります。これらのスタッフが患者さんを中心に協働し、患者さんを支えていくことがチーム医療です。ですから何かサポートが必要なとき、不安や心配事があるときは、ぜひ周囲のスタッフに話してみてください。
また、「がん相談支援センター」を活用することもできます。「がん相談支援センター」は、全国のがん診療連携拠点病院などに設置されている、がんに関する相談窓口です。他の病院にかかっている場合でも、患者さんやご家族も含め無料での利用が可能です。がんの診断から治療、治療後の生活や社会復帰など、がん治療に関わるあらゆる疑問や不安をご相談いただけます。相談は面談のほか、電話やメールでも可能です。また、匿名での相談も受け付けています。
お近くのがん相談支援センターは、こちら(https://hospdb.ganjoho.jp/kyoten/kyotenlist)(別ウィンドウで開きます)[2023年9月閲覧]から検索できます。
がん相談支援センター(「Q.治療のことや症状のことなど、いろいろ話したいのですが相談相手がみつからなくて…」参照)では、活用できる助成金や支援制度のご紹介も行っています。社会保険の手続きなどについても相談することができますので、ぜひご活用ください。
病気や治療のことをよく理解し、納得して治療にあたるために、セカンドオピニオンを利用するとよいでしょう。
セカンドオピニオンとは、診断や治療について、現在の主治医とは違う医療機関の医師に第二の意見を求めることです。転院することではありません。
セカンドオピニオンを受ける際には、まず主治医の意見(ファーストオピニオン)をきちんと理解できていること、その上で、なぜ自分がセカンドオピニオンを受けたいのかをしっかり考えることが重要です。
セカンドオピニオンを受け付けている医療機関がわからない、主治医にセカンドオピニオンのことを言い出しづらいなどの問題がある場合は、がん相談支援センター(「Q.治療のことや症状のことなど、いろいろ話したいのですが相談相手がみつからなくて…」参照)に相談してみるとよいでしょう。