監修 愛知県がんセンター 病院長
山本 一仁 先生
- 中悪性度リンパ腫にはどんなものがありますか?
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中悪性度リンパ腫は、アグレッシブリンパ腫とも呼ばれ、週~月単位で進行するため、診断された時点で治療が必要になります。代表的な病型としてはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫などがあります。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
- 特徴
- 日本での非ホジキンリンパ腫の30~40%を占め1)、最も発生頻度が高いとされています。全身の臓器から病変が発生する可能性があるため、病変ができた部位によって異なる症状があらわれます。通常は、リンパ節などに急に大きくなるしこりとして発見されることが多いです。
- 治療
- びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療は、基本的には分子標的薬と化学療法の併用と、放射線治療の組み合わせです。
<限局期>
巨大な病変があるかどうかで治療方針が異なります。巨大な病変がない場合には、分子標的薬と化学療法の併用と放射線治療、または分子標的薬と化学療法の併用のみが行われます。巨大な病変がある場合は、まず分子標的薬と化学療法を併用投与し、その後に放射線治療を追加する場合もあります。治療によってリンパ腫細胞が認められなくなった場合(完全奏効)は、無治療の経過観察に移行します。病変が残ったものの縮小し、また、新たなリンパ腫細胞が認められなくなった場合(部分奏効)は、残っている病変に放射線治療を追加します。病変の大きさが変わらなかったり、大きくなったときは、基本的には救援化学療法を行います。救援化学療法ができない場合には、放射線治療を追加します。
<進行期>
標準的な治療は、分子標的薬と化学療法の併用療法です。治療で完全奏効が得られた場合は、無治療の経過観察に移行します。巨大な病変があったところに放射線治療を追加する場合もあります。部分奏効で、残存している病変が1カ所の場合は、放射線治療が追加となります。それ以外の部分奏効や病変が変わらない・大きくなったときは、救援化学療法を行います。65歳以下の患者さんであれば、救援化学療法で病変の縮小がみられた場合、造血幹細胞移植を行うこともあります。
再発した場合は救援化学療法を行います。さまざまな抗がん剤の組み合わせが用いられます。救援化学療法で奏効が得られ、自家造血幹細胞移植が適応となる場合は実施します。
また、リンパ腫がリンパ節以外の臓器から発生した節外性リンパ腫が認められることがあります。この場合には、発生部位によって治療法が異なります。
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国立がん研究センター がん情報サービス
「それぞれのがんの解説
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」
[2023年10月10日閲覧]
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マントル細胞リンパ腫(MCL)
- 特徴
- 日本での発症頻度は低く、リンパ腫の3%程度と報告されています1)。高齢者に多く見られ、男性の割合が高いとされています2,3)。
発見された時には進行期に入っていることが多く、半数以上の患者さんで骨髄への浸潤が認められます3)。 - 治療
- マントル細胞リンパ腫の治療では、標準治療が確立されておらず、臨床試験で検討が行われています。
<限局期>
病変のあるリンパ節に放射線治療を行います。化学療法が併用される場合もあります。
<進行期>
化学療法と分子標的薬の併用療法が用いられます。臨床試験も選択肢となります。治療をせず経過観察をすることがまれにありますが、その指標は明らかになっていません。観察中に病気の進行が認められた場合、化学療法を行う場合もあります。化学療法後、65歳以下の患者では造血幹細胞移植を行うこともあります。
<難治性・再発した場合>
初回治療とは異なる薬剤の組み合わせを使って救援化学療法を行います。
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国立がん研究センター がん情報サービス
「それぞれのがんの解説
マントル細胞リンパ腫」
[2023年10月10日閲覧]
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末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)
- 特徴
- リンパ腫の約7%程度(日本では10%弱)を占め1)、非特定型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫(ALK陽性ALCL)、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫(ALC陰性ALCL)の4つの種類があります。
- 治療
- 比較的若い患者さんで発症して予後が良好とされているALK陽性未分化大細胞リンパ腫と、それ以外の場合で治療方針が分けられています。
<ALK陽性未分化大細胞リンパ腫>
抗がん剤を複数使った化学療法が基本的な治療です。限局期の場合では、放射線治療を追加します。
<非特定型末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫>
抗がん剤を複数使った化学療法が基本的な治療ですが、まだ標準治療が確立されておらず、新規治療薬や造血幹細胞移植などの臨床試験に参加することもあります。
<難治性・再発した場合>
初回の化学療法で部分奏効以下の効果であった難治性の場合や、再発がみられた場合には救援化学療法を行います。再発または難治性の未分化大細胞リンパ腫の一部においては、細胞表面マーカー検査や遺伝子検査によって特定の分子が陽性の場合には、分子標的薬が使用可能になりました。
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国立がん研究センター がん情報サービス
「それぞれのがんの解説
末梢性T細胞リンパ腫」
[2023年10月10日閲覧]
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節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKL)、鼻型
- 特徴
- 日本ではリンパ腫の約1%を占め1)、診断時の年齢は主に40~60代で2)、他のリンパ腫に比べて、やや若年者での発症が多いとされています2)。
- 症状
- 初期には鼻腔またはその周辺に病変が認められ、鼻づまりや鼻出血、鼻汁が起こります。その後、隣接した鼻咽頭や副鼻腔、眼窩、口腔などに病変が広がり、それぞれに症状があらわれます。進行すると全身に病変が広がり、全身症状もみられるようになります。
- 治療
- 鼻腔や隣接する臓器や頸部リンパ節までの広がりにとどまる限局期と、それ以降の進行期で治療方針が異なります。また、限局期と進行期では予後に著しい差がみられるため、早期発見・早期診断が重要になります。
<限局期>
放射線治療と化学療法を同時に開始します。臨床試験を選択する場合もあります。
<進行期や難治性・再発した場合>
抗がん剤の多剤を併用した化学療法を行います。多剤併用療法が実施できない場合には、別の抗がん剤を用いた化学療法を行います。
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国立がん研究センター がん情報サービス
「それぞれのがんの解説
節外性NK/T細胞リンパ腫」
[2023年10月10日閲覧]
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