乳がんと診断された乳がんと診断された

乳がんの治療
~治療の流れとステージ・サブタイプ別の治療法~
乳がんの治療
~治療の流れとステージ・サブタイプ別の治療法~

~先生からのメッセージ~

初期治療とは、乳がんと診断されてから最初に受ける治療のことです。その目的は、局所治療(手術・放射線治療)と全身治療(薬物療法)を組み合わせ、再発を抑えながら乳がんを完全に治すことです。
いくつかの選択肢があるため、どの治療を選択するかは治療に対する患者さんの希望がとても重要になっていきます。
すべての希望が叶えられるわけではありませんが、ご自身の希望を医療スタッフに伝えることで、ぜひ積極的に治療に関わっていただきたいと思います。

治療の全体像

初期治療の標準的な流れは、ガイドラインで定められています1)
大まかに言うと、手術でがんをすべて摘出できる可能性のあるステージ(0期、Ⅰ期、Ⅱ期、ⅢA期)ではまず手術を行い、再発リスクに合わせて術後の追加治療を行います。
そのまま手術を行ってもすべてがんを摘出するのが困難なステージ(ⅢB・ⅢC期、Ⅳ期)ではまず薬物療法が行われ、患者さんの症状により手術や放射線治療を組み合わせます。

1)日本乳癌学会編: 患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版, 金原出版, 2019, p81-83

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手術療法

乳がんの手術では乳房の手術に加えて、乳がんが最も転移しやすい腋窩(わきの下)のリンパ節の手術を同時に行います。乳房の手術には、乳房を残す乳房温存手術と乳房全切除術の2種類があり、がんの広がりによって適切な術式が選ばれます。手術後の乳房がどのような状態になるかは、女性にとって最も気になることの一つです。術後の状態を医師に絵や写真で見せてもらい、どのようになるのかのイメージを持っておくことで、納得のいく手術になるのではないでしょうか。
術前にリンパ節に転移があることがわかっている場合は、乳房の手術と同時に腋窩リンパ節郭清が行われます。一方術前にリンパ節転移がないと思われる場合はセンチネルリンパ節生検が行われます。

※がん細胞が最初に転移するリンパ節のみを摘出して腋窩リンパ節転移の有無を確認すること

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放射線治療

放射線は、がん細胞の遺伝子にダメージを与えて増殖ができないようにすることで、がん細胞を死滅させます。乳がんでは、手術後の再発を防ぐための追加治療として、また手術の適応でないステージではがんによる疼痛の緩和などを目的に行われます。
部位や目的により異なりますが、放射線治療は外来通院または入院で数日連続で行われます。しかし、過去に治療したところに再び照射をすることは通常できません。

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薬物療法

薬物療法の目的は大きく分けて3つあります。
すなわち、手術前にがんを小さくして取りやすくしたり切除範囲を小さくしたりすること、手術後に体のどこかに隠れているがん細胞を攻撃して再発を抑えること、他臓器へ転移したがんを治療することです。
乳がんの薬物療法には、いわゆる抗がん剤のほか、分子標的治療薬、ホルモン療法薬が使われます。

※特有の分子を狙い撃ちする薬剤(例:抗HER2薬など)

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サブタイプごとの治療法

がん細胞の増殖因子と増殖の活発さを示すサブタイプは、個々の患者さんに適した薬物療法の選択に使用されます。
例えばルミナルAと呼ばれるサブタイプではホルモン療法が効果的ですが、ルミナルBではがんの増殖速度が速いため、ホルモン療法薬と抗がん剤の両方を使います。
個人に合わせた薬物療法を選択することで、不要な副作用をなるべく抑えて効率的に治療することができます。

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自分に合った治療を選ぶ

サブタイプによる薬物療法の選択に代表されるように、がんの治療では個人に合わせた最適・最善の治療というものが重要視されます。
乳がんの場合は、手術で乳房を温存するのか切除するのか、切除するのであれば乳房再建を行うのか、といった患者さんの希望も、治療の大切な要素です。
がんの状態や症状によりある程度の制約は避けられませんが、医師にご自身の希望をぜひ伝えてみてください。あなたが主体的に治療に関わることで、治療にかける時間がより意味のあるものになるかもしれません。

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このページの監修をしている先生

坂井 威彦 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺外科 医長

原 文堅 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺内科 医長