治療後、すぐに妊娠を目指してもいいの?


~先生からのメッセージ~
妊娠には年齢の影響が大きいため、治療後はすぐに妊娠を目指したい、と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし安全な妊娠のためには、治療の影響を考慮して適切な時期を選択したいものです。
治療中の妊娠について
ホルモン受容体陽性早期乳がんにおいては、妊娠を試みるためにホルモン療法を一時お休みしても、短期間の再発リスクには影響しないことが分かっています1)。
ただし、妊娠の時期によってお薬が胎児に影響を及ぼす可能性がありますので、妊娠を希望される場合は、自己判断せずに、医師に相談しましょう。
1)日本がん・生殖医療学会、乳癌患者の妊娠・出産と生殖医療に関するガイドライン改訂委員会:
乳癌患者の妊娠・出産のためのタモキシフェン内服中断、そして最終投与からの望ましい
避妊期間についてのステートメント. 2024年10月30日.
https://www.j-sfp.org/wp-content/uploads/2024/10/6c9754a2067817dd5a97f42fcb5505ba.pdf(別ウィンドウで開きます)
(2025年11月12日閲覧)
治療後は妊娠を目指すことが可能です
ただし数回の月経を経過したのちに妊娠するのがよいと考えられています。お薬の種類によっても異なるため、詳細は医師に相談しましょう。
ホルモン受容体陽性早期乳がんではホルモン療法がおこなわれますが、5∼10年と長期にわたるため、ホルモン療法が終わるのを待っていると、妊娠を希望される方にとっては加齢の影響が気になるところです。
そこで、術後のホルモン療法をお休みしてその間に妊娠することが再発リスクにどう影響するかを調べる試験が実施されました。その結果、ホルモン療法を途中で2年以内と限定してお休みしても、休薬から3年以内の再発リスクには影響がなく、妊娠・出産を行える可能性があることが分かりました2)。妊娠を希望される患者さんにとって朗報となるでしょう。
2)Partridge AH, et al.: N Engl J Med. 2023;388:1645-56.