乳がんの疑いがある乳がんの疑いがある

乳がんは遺伝する?
~遺伝性乳がんについて~
乳がんは遺伝する?
~遺伝性乳がんについて~

~先生からのメッセージ~

近しい家族に乳がん患者さんが多くいる場合、乳がんの原因がご両親から伝えられた遺伝子にあることがあります。近年では科学技術の進歩により、乳がんの原因となるリスクのある遺伝子を持っているのかどうかが検査でわかるようになりました。
どのような人が遺伝性乳がんの可能性を考えて検査を受けるべきなのか、正しく理解することがあなたの助けになるかもしれません。

遺伝性乳がんって?

乳がんを発症した人の5~10%は、その原因が遺伝子にあることがわかってきました1)
発症に何らかの遺伝子変異が関与する乳がんを遺伝性乳がんといい、その大多数がBRCA1または2という遺伝子の変異によるものです。
BRCA1/2の異常は乳がんのほかに卵巣がんの発症にも関わっているため、このようながんを遺伝性乳がん卵巣がん症候群(hereditary breast and ovarian cancer:HBOC)と呼びます。

1)新井ほか:日本臨床 75(Suppl 3);72-79, 2017

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遺伝性乳がんの検査

遺伝性乳がんの可能性があるか、検査を受けたほうがよいか、は患者さんの年齢、家族のがんの発症状況などによって変わってきます。そして遺伝子検査はすべての医療機関で受けられるわけではなく、認定を受けたカウンセラーや専門医がいる施設に限られます。
まずはあなたの担当の乳腺専門医に聞いてみることが必要です。
そして、本当に検査を受ける必要があるのか、HBOCであった場合にどう対処していけばいいのかをじっくり考えてもよいのではないでしょうか。

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遺伝性乳がんと診断されたら?

遺伝子検査で乳がんの原因遺伝子であるBRCA1/BRCA2に異常が見つかった場合の対処法は、いくつかの研究によってわかってきました2)
HBOCでは生涯のうちに乳がんや卵巣がんを発症するリスクが高くなるため、予防的に乳房や卵巣を切除することも選択肢の一つとなります。また、切除を選択されなかった場合も、早期発見のための画像検査が保険適応で受けられるようになりました。
どちらが自分らしい生き方につながるのか、担当医の先生やご家族と一緒によく考えてみましょう。どちらの選択も、誤りではありません。

2)厚生労働科学研究がん対策推進総合研究事業「わが国における遺伝性乳癌卵巣癌の臨床遺伝学的特徴の解明と遺伝子情報を用いた生命予後の改善に関する研究」班編:遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き2017年版

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このページの監修をしている先生

坂井 威彦 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺外科 副部長

原 文堅 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺内科 副部長