どんな治療をするの?

薬物療法

監修 独立行政法人国立病院機構
四国がんセンター 婦人科 手術部長 
竹原 和宏 先生

薬物療法:再発リスク中・高の場合および、手術ができなかった場合に行います

抗がん剤による治療が基本で、複数のお薬を組み合わせた併用療法が行われます。
ほかに補助的な治療として、女性ホルモンを薬で補う内分泌療法が行われることがあります。

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手術後の再発リスクは、摘出した腫瘍を検査してわかったがんの顔つき(組織型)、分化度(悪性度)、周囲臓器のどこまで広がっているかなどを総合的に判断して評価されます。
高リスク群は化学療法が推奨されますが、中リスク群では化学療法の有用性はそこまで明らかになっていないため、オプションとして提案する、とガイドラインで定められています1)

  1. 1)日本婦人科腫瘍学会編:子宮体がん治療ガイドライン2023年版,金原出版,2023,p.107
子宮体がんの術後再発リスク分類

低リスク群

組織型が類内膜がんで、分化度がG1(高分化型)あるいはG2(中分化型)で、筋層浸潤が1/2未満

子宮頸部への浸潤なし

脈管侵襲なし

遠隔転移なし

中リスク群

組織型が類内膜がんで、分化度がG1(高分化型)あるいはG2(中分化型)で、筋層浸潤が1/2以上

組織型が類内膜がんで、分化度がG3(低分化型)で、筋層浸潤が1/2未満

組織型が漿液性がん、明細胞がんで筋層浸潤なし

子宮頸部への浸潤なし

脈管侵襲あり

遠隔転移なし

高リスク群

組織型が類内膜がんで、分化度がG3(低分化型)で、筋層浸潤が1/2以上

組織型が漿液性がん、明細胞がんで筋層浸潤あり

子宮付属器・漿膜・基靱帯への進展あり

子宮頸部への浸潤あり

腟壁への浸潤あり

骨盤内あるいは傍大動脈リンパ節への転移あり

膀胱・直腸への浸潤あり

腹腔内播種あり

遠隔転移あり

  • 日本産婦人科学会・日本病理学会編:子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版,金原出版,2022,より作成

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専門医からのメッセージ

子宮体がんにおいて抗がん剤による治療を行うのは、手術で取り切れなかったがんがあるなど、再発リスクが高い場合です。抗がん剤によって、取り切れなかったがんを小さくしたり、なくしたりするという効果が期待できますが、同時に副作用の懸念も出てきます。代表的な副作用は吐き気・嘔吐、脱毛、手足のしびれや免疫力の低下です。
なお、子宮体がんに対して行われる併用療法には、通院で受けられるものと入院が必要なものがあります。家族の介護や仕事があるなどの事情がある場合は、通院で可能な治療法を選択するなど、ご自分にとって利便性の高い方法はないか医師に相談してみるとよいでしょう。
手術後は、家庭のことや仕事のことなど、考えなければならないことがたくさんあることでしょう。まずはきちんと通院して、確実に治療を行うことが何よりも大切です。生活面で支障があるようであれば、遠慮せずに医療スタッフにご相談ください。

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