Q急性骨髄性白血病(AML)とはどんな病気なのか、教えてください。
A急性骨髄性白血病(AML)は、未熟な血液細胞ががん化(悪性化)する白血病の1つです。白血球や赤血球、血小板のもとになる骨髄芽球(こつずいがきゅう)という細胞ががん化して白血病細胞となり、無秩序に増えてしまう病気です。急性非リンパ性白血病と呼ばれることもあります。慢性骨髄性白血病では、未熟な細胞だけでなく、成熟した細胞までが増えますが、急性骨髄性白血病では未熟な細胞だけが増えることが知られています。
図1造血の仕組み
山田幸宏 監修. 看護のための病気のなぜ?
ガイドブック, p248-249, 2016, サイオ出版を参考に作成
急性骨髄性白血病には、病期(ステージ)はありません。FAB分類と言われる分類を用いて、「細胞が分化していく中の、どの細胞ががん化(白血病化)しているか」、「白血病細胞の形」、「染色体や遺伝子の異常」などによって8種類に分けられます(FAB分類、表1)。最近では、特定の遺伝子異常などでさらに細かく分類する方法も使用されています(WHO分類、 表2)。
表1急性骨髄性白血病のFAB分類
※横スクロールにて全体をご確認いただけます。
| M0 | 急性最未分化型骨髄性白血病 |
|---|---|
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| M1 | 急性未分化型骨髄芽球性白血病 |
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| M2 | 急性分化型骨髄性白血病 |
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| M3 | 急性前骨髄球性白血病 |
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| M4 | 急性骨髄単球性白血病 |
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| M5 | 急性単球性白血病 |
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| M6 | 急性赤白血病 |
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| M7 | 急性巨核球性白血病 |
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- *1:ペルオキシダーゼ染色
特殊染色の1つ。通常は骨髄性白血病細胞で染まり、リンパ性白血病細胞では染まらない。 - *2:t(8;21)染色体異常
切断された8番目の染色体と21番目の染色体が相互に結合する異常。 - *3:t(15;17)染色体異常
切断された15番目の染色体と17番目の染色体が相互に結合する異常。 - *4:inv(16)染色体異常
16番目の染色の異常。このタイプは好酸球の増加を伴う。一般的に予後良好といわれている。
永井正. 図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫, 2016, p53 法研
表2急性骨髄性白血病のWHO分類
| 特定の遺伝子異常を有するAML |
|---|
| t(8;21)(q22;q22.1);RUNX1-RUNX1T1を有するAML |
| Inv(16)(p13.1q22) or t(16;16)(p13.1;q22);CBFB-MYH11を有するAML |
| PML-RARAを有するAPL |
| t(9;11)(p21.3;q23.3);MLLT3-KMT2Aを有するAML |
| t(6;9)(p23;q34.1);DEK-NUP214を有するAML |
| Inv(3)(q21.3q26.2) or t(3;3)(q21.3;q26.2);GATA2,MECOMを有するAML |
| t(1;22)(p13.3;q13.1);RBM15-MKL1を有するAML(巨核芽球性) |
| 暫定分類:BCR-ABL1を有するAML |
| NPM1変異を有するAML |
| 両アレルのCEBPA変異を有するAML |
| 暫定分類:RUNX1変異を有するAML |
| 骨髄異形成関連の変化を有するAML |
| 治療に関連した骨髄性腫瘍 |
| 特定不能のAML |
| 最未分化型AML |
| 未分化型AML |
| 分化型AML |
| 急性骨髄単球性白血病 |
| 急性単芽球性・単球性白血病 |
| 純粋な赤白血病 |
| 急性巨核芽球性白血病 |
| 急性好塩基球性白血病 |
| 骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症 |
| 骨髄肉腫 |
| ダウン症候群関連骨髄増殖症 |
| 一過性異常骨髄症(TAM) |
| ダウン症候群関連骨髄性白血病 |
AML:急性骨髄性白血病、APL:急性前骨髄球性白血病
三谷 絹子. 日本内科学会雑誌 107(9), 1648-1659, 2018
Arber DA et al.WHO Press,Geneva 2017,129-172