乳がんと診断された乳がんと診断された

乳がんの薬物療法
①化学療法
乳がんの薬物療法
①化学療法

手術前に行う化学療法

~先生からのメッセージ~

手術の前に化学療法を行うことで、7割~9割の乳がんが小さくなるとされています1)。ただし手術後に化学療法を行った場合と比較して再発率や生存率は同等であることがわかっています1)
従来、術前化学療法は主に、乳房温存の可能性を高めたり、手術で切る範囲を少なく済むようにすることで、手術後の見た目をなるべく美しくするために行われるものでしたが、近年では手術後の経過を含めた乳がんの初期治療全体において重要なステップであるとされています。

1)参考:日本乳癌学会編:患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2019年版, 金原出版, 2019, p84

術前化学療法

再発リスクが高い場合や化学療法が効きやすいサブタイプであるなどの場合、再発・転移予防として術後に薬物療法を追加することがあります。この薬物療法は手術前に行ってもその後の経過に差がないことがわかっており1)、患者さんの状態によっては、手術前に実施する場合があります。術前の薬物療法によって、乳房温存手術やリンパ節転移の切除範囲の縮小が可能になるなど、手術の負担を軽減することが期待されます。
また一部のサブタイプでは、術前化学療法による効果の程度で、その後の経過をある程度予測することが可能であるとされています2)

どんなお薬を使う?
  • 作用の違う抗がん剤を複数組み合わせて投与します。
  • HER2陽性乳がんに対しては、抗HER2薬を併用します。
治療期間は? 一般に3~6か月
どんな効果がある?
  • 最初は乳房温存手術の適応にならなくても、腫瘍が小さくなることで温存が可能になる場合があります。
  • 腫瘍が縮小して切除範囲が小さくなることで、手術後の乳房の変形が少なく見た目が良くなる場合があります。
  • HER2陽性乳がん、トリプルネガティブ乳がんでは、術前化学療法によってがん細胞が消失すると、その後の経過も良好であることが示されています2)

参考:日本乳癌学会編:患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2019年版, 金原出版, 2019, P84-5より作成

2)Spring LM, et al.: Clin Cancer Res. 2020;26(12):2838-2848.

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