化学療法で用いられる薬剤
~先生からのメッセージ~
抗がん剤は、細胞の増殖機能をどう抑えるかによって、さまざまな種類に分類されます。がん細胞に対する効き方が異なるお薬を組み合わせることで、1剤を単独で使うよりも高い効果が期待されるため、根治を目指して術前・術後に実施する化学療法では、併用療法が行われています。
化学療法で用いられる主な薬剤とその作用機序
アンスラサイクリン系薬剤
土に住む細菌に由来する抗生物質で、細胞増殖に関わるDNAやRNAの合成を阻害してがん細胞の増殖を抑えるものです。
アルキル化剤
第一次世界大戦で化学兵器として使用されたマスタードガスに由来する抗がん剤です。DNAの複製を阻害することで、細胞を死滅させます。
タキサン系薬剤
植物由来の抗がん剤で、細胞分裂に関わる細胞内の構造である「微小管」に作用し、がん細胞の増殖を抑えるものです。
フッ化ピリミジン系薬剤
DNAを構成する成分に似た化学構造を持った抗がん剤です。DNA合成の過程で本来必要な成分に代わって取り込まれることで、がん細胞に対する効果を示します。