乳がんと診断された乳がんと診断された

乳がんの手術療法乳がんの手術療法

~先生からのメッセージ~

乳がんで手術を受けることになったとき、無事にがんを摘出できるかどうかはもちろんのこと、手術後の乳房がどうなるのか気になる、という方は多いのではないでしょうか。
治療後も自分らしくおしゃれを楽しむために、乳がんの手術がどのように行われるのか、知っておきましょう。

なぜ手術をするの?

がんを乳房から取り除くこと、リンパ節に転移がある場合は転移の広がったリンパ節も含めて切除することが、手術の目的です。手術後は、再発予防のために体に残った見えないがん細胞を薬物療法や放射線治療で根絶することで、初期治療が完了します。
手術の方法には乳房温存手術と乳房全切除術があり、がんの広がり方で、どちらの方法をとるかが決定されます。

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乳房温存手術

ステージ0~II期のまだ小さいがんであれば、乳房温存手術が可能です1)
乳房温存手術と手術後の放射線療法を組み合わせることで、乳房全切除術と変わらない治療効果が得られることがわかっております。また診断時には乳房温存手術ができない大きさのがんであっても、術前薬物療法を行うことで腫瘤が十分に縮小すれば、乳房温存手術の適応となることもあります。

1)日本乳癌学会編: 患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版, 金原出版, 2019, p81

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乳房全切除術

乳房全切除術は、乳頭・乳輪・乳房のふくらみもふくめて乳房すべてを切除する手術です。がんの広がりが広範で温存手術が適応とならない場合は、乳房全切除術が行われることになります。
乳房全切除後には乳房のふくらみは失われてしまうのですが、乳房再建といって、失った乳房をシリコン製の人工物や自家組織(自分のお腹や太ももなどの脂肪組織や筋組織)を用いて形成外科的に再建することができます。方法や時期について検討する必要がありますので、再建を希望する場合は医師とよく相談しましょう。

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腋窩リンパ節郭清

腋窩リンパ節郭清とは、わきの下のリンパ節にがんが転移していた場合、リンパ節の取り残しがないように周囲の脂肪も含めて切除することです。乳がんの転移は腋窩(わきの下)に最も多いため、その部分の再発を防ぐには最も効果的な方法です。
乳がん検診の普及とともに、乳がんが早期で発見される機会が増えたため、腋窩リンパ節転移がない患者さんが増えてきました。そこで近年では、腋窩リンパ節郭清の前にセンチネルリンパ節生検という検査を乳房の手術と同時に行い、腋窩リンパ節郭清の必要性を手術中に判断する、という方法がとられています。

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このページの監修をしている先生

坂井 威彦 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺外科 副部長

原 文堅 先生

がん研究会有明病院
乳腺センター 乳腺内科 副部長