監修 広島大学病院 周産母子センター 准教授
阪埜 浩司 先生
子宮頸がんはなぜ起こるの?
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。
HPVは皮膚や粘膜に存在する、ありふれたウイルスです。性的接触により子宮頸部に感染し、性交経験のある女性の多くは、一生に一度はHPVに感染する機会があるといわれています1-3)。
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1)Brown DR, et al.:J Infect Dis 2005;191:182-192.
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2)Koutsky L.:Am J Med 1997;102:3-8.
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3)Bosch FX, et al.:J Natl Cancer Inst Monogr 2003;31:3-13.

子宮頸部の細胞がHPVに感染すると、そのうち5~10%は感染が持続します。
その感染が1年以上持続すると、一部の細胞が正常ではない形に変化して、前がん病変*細胞となります。子宮頸がん検診で発見できるのは、この前がん病変です。
前がん病変細胞のさらに一部が周囲に広がって、子宮頸がんとなります。
HPVに感染した細胞の一部ががんに進行するまでには、平均5年から10数年かかるとされています。
- *異形成とは、正常な細胞が感染によって変化し、異なった形の細胞ができること。異形成になったからといって、すべてががん細胞になるわけではありません。
性交によりHPVに感染したとしても、ほとんどの場合は免疫力によってウイルスは排除されます。しかし、何らかの原因で感染が持続してしまうことがあり、その場合は正常細胞とは異なった形の細胞(異形成細胞)が作られ、その一部ががんへと進行していきます。
子宮頸がんは予防が可能ながんです
子宮頸がんの予防法には、2種類の方法があります。
予防法①HPVワクチン
接種によって免疫をつくり、HPVへの感染を防ぐ方法です。
予防法②子宮頸がん検診
がんになる前に異常を発見することで、がんへの進行を防ぐ方法です。
検診またはワクチンのどちらかだけでは、子宮頸がんを予防できる可能性は低くなります。ワクチン接種は確実に受け、さらに定期的な検診を心掛けましょう。