おしえて白血病のコト

おしえて がんのコト

急性リンパ性白血病の治療法

監修:愛知医科大学 血液内科 教授 高見 昭良 先生

Q急性リンパ性白血病(ALL)の治療は、どのようなものですか?

A複数の抗がん剤分子標的薬による薬物療法などで白血病細胞を死滅させ、血液検査骨髄検査のレベルで異常を認めない「完全寛解」を目指す「寛解導入療法」を行い、正常な血液細胞が増えるようにします。その後、寛解導入療法で得られた効果に合わせて、寛解後療法として、薬物療法による「地固め療法」や維持療法、血液細胞のもととなる造血幹細胞の移植などを行います。治療法の選択は、フィラデルフィア染色体BCR-ABL融合遺伝子)の有無によって異なり、フィラデルフィア染色体BCR-ABL融合遺伝子が陽性の場合には、分子標的薬を使用します。その他にも白血病の種類、患者さんの年齢、全身状態などが考慮され、総合的に判断されます。
詳しい情報は国立がん研究センター がん情報サービスのサイト(別ウィンドウで開きます)もご覧ください([2020年9月15日閲覧])。

薬物療法は、白血病を含むがんを治す、進行を抑える、または、がんによる身体症状を緩和することを目的としています。がんの薬物治療に使われる薬剤には多くの種類がありますが、白血病治療では、主に抗がん剤分子標的薬といった種類の薬剤が使われます。薬剤の種類や組み合わせは白血病の種類によって異なりますが、急性白血病治療では、複数の抗がん剤を同時に使う多剤併用療法という強力な治療が行われたり、慢性白血病治療では、白血病の進行を確認しながら、症状があらわれないように抗がん剤分子標的薬を使ってコントロールしたりします。

放射線は細胞のDNAに傷をつけることから、がんの病巣にあてることで、がん細胞を死滅させる効果をもっています。放射線治療は、がんを治すことや症状を緩和することを目的に使われます。白血病治療では、造血幹細胞移植前に使用されることもあります。

造血幹細胞移植は、白血病を含む血液がんなどの治癒を目的として行われます。強い副作用や合併症があらわれる場合があるため、その実施に関しては、個々の患者さんの状況をよく確認し、慎重に検討します。
造血幹細胞移植では、強力な化学療法や全身への放射線照射などを移植前に行って白血病細胞を減らし、自分またはドナーの骨髄末梢血臍帯血から事前に採取した造血幹細胞を移植します。移植前の処置によって、患者さんの免疫の働きも抑えるため、移植された造血幹細胞が患者さんの骨髄で正常に働くことが期待できます。また、ドナーから提供された造血幹細胞を移植する同種造血幹細胞移植の場合は、移植されたドナーのリンパ球が患者さんの体内に残っている腫瘍細胞を攻撃する効果(移植片対白血病効果:GVL効果)も期待できます。患者さん自身の細胞を移植する場合を自家造血幹細胞 移植、他人の細胞を移植する場合を同種造血幹細胞移植といいます。急性リンパ性白血病の治療には、同種造血幹細胞移植が多く用いられています。

後述の自家造血幹細胞移植と同種造血幹細胞移植をイラストで解説
永井正. 図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫, 2016, p173 法研

自家造血幹細胞移植は、患者さんの末梢血から造血幹細胞を採取しておき、化学療法や放射線療法による強力な治療を行って白血病細胞を減らした後に体内に戻す方法です。白血病細胞と一緒に正常な血液産生も妨げられますが、患者さん自身の造血幹細胞を戻すことで血液産生の回復を促進します。
同種造血幹細胞移植は、強力な治療で白血病細胞を減らし、患者さんの免疫細胞を抑えた後、白血球の型であるHLAが患者さんと一致した他人(ドナー)から採取した造血幹細胞を患者さんの体内に移す方法です。血液産生の回復のほか、ドナーの細胞が患者さんの体内の白血病細胞を攻撃する作用が期待されます。

医師からのメッセージ

治療法の確認ポイント

医師から説明された治療法の情報は、効果だけではなく副作用などの欠点も含めて、整理しておきましょう。説明された内容を紙に書き出してみると、情報を整理しやすく、理解した内容と不明点が確認できます。不明な点は医師に確認し、十分に納得してから治療を始めるようにしましょう。

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詳しく知りたい!血液がん用語集

A

えーびーえるいでんしABL遺伝子
9番目の染色体に位置する遺伝子。

B

びーしーあーる-えーびーえるゆうごういでんしBCR-ABL融合遺伝子
第9染色体と第22染色体の組み換えによってフィラデルフィア染色体が生じ、本来離れているABL遺伝子とBCR遺伝子が隣り合わせになってできた遺伝子です。BCR-ABL融合遺伝子が作り出すタンパク質が増えることで、異常が起こります。
びーしーあーるいでんしBCR遺伝子
22番目の染色体に位置する遺伝子。
びねぶんるいBinet分類
Binet分類は、リンパ節腫張、肝脾腫の有無や貧血、血小板減少の程度を組み合わせた慢性リンパ性白血病の病期分類です。CTなどの画像所見は用いていません。主に欧州で使用されています。
びーゆーえぬ(けつえきにょうそちっそ)BUN(血液尿素窒素)
血中の尿素に含まれる窒素分を表すもので、本来は尿として排泄されます。腎臓の働きが低下すると血液中の濃度が上昇するため、腎機能の指標となります。多発性骨髄腫などの血液疾患では高値を示します。
びーさいぼうB細胞
リンパ球の一つで、体内に入ってきた細菌やウイルス、がん細胞のような異物を排除するために必要な「抗体」というタンパクを作り出すという重要なはたらきを担う細胞です。

C

しーでぃー20CD20
多くのB細胞の表面にみられるタンパク質です。がん化したB細胞にも発現しているため、治療の標的になります。
しーでぃー33CD33
急性骨髄性白血病の細胞表面にみられるタンパクです。細胞と基質、細胞と細胞をつなぐ働きを持つとされています。
しーてぃーけんさCT検査
CTはComputed Tomographyの略です。体の外側からX線を当てて、体の内部を撮影して画像で確認する検査のことです。血液がんでは、リンパ節や脾臓(ひぞう)の腫れなどの検査に使われます。

E

いーびーういるすEBウイルス
ヘルペスウイルスの一種で、感染によって、発熱、のどの痛み、だるさ、発疹、リンパ節の腫れなどの症状がみられる場合があります。成人になるまで、ほぼ全ての人が感染するウイルスで、いったん感染すると潜伏状態になります。通常は何の病気も起こしませんが、ごくまれにリンパ腫などの悪性腫瘍などを誘発することがあります。

F

えふえーびーぶんるい、ふぁぶぶんるいFAB分類
骨髄に針を刺して骨髄細胞を採取し、どの細胞が白血病細胞に変化したのか、どんな形をしているかを顕微鏡を使って観察して、細かく分類します。WHO分類に該当しない場合にも用いられます。
えふでぃーじーぺっとFDG-PET
ブドウ糖に似た薬剤であるFDG(フルオロデオキシグルコース)を注射して、取り込まれたところをPET(陽電子放出断層撮影)で撮影する方法のことです。腫瘍細胞は正常な細胞よりも糖分を多く使うことを利用し、腫瘍の位置や大きさなどを観察します。

H

えいち・てぃ・える・ぶい-わんHTLV-1(human T-lymphotropic virus type-Ⅰ)
HTLV-1(Human T-cell Leukemia Virus Type 1)は、ヒトT細胞白血病ウイルスというウイルスで、血液中のリンパ球に感染します。感染しても多くの場合は症状があらわれませんが、一部で成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)のほか、目や神経の病気を発症する場合があります。
えいちてぃーえるぶいわんういるすHTLV-1ウイルス
HTLV-1(Human T-cell Leukemia Virus Type 1:ヒトT細胞白血病ウイルス1型)は、成人T細胞性白血病などの病気を引き起こすウイルスです。HTLV-1ウイルスが体内に侵入すると免疫反応で抗体がつくられますが、HTLV-1ウイルスは排除されずにTリンパ球の中で生き延びます。病気が発症するのは感染者のごく一部で、多くの感染者では発症しないといわれています。また、日本での主な感染経路は母乳による母子感染と性交渉による感染です。

I

いんたーなしょなる わーくしょっぷ おん くろにっく りんほさいてぃっく りゅーけみあのちりょうかいしきじゅんInternational Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemiaの治療開始規準
慢性リンパ性白血病の治療開始基準です。リンパ節腫張、肝脾腫の有無や貧血、血小板減少などを評価します。

L

えるでぃーえいち(にゅうさんだっすいそこうそ)LDH(乳酸脱水素酵素)
ブドウ糖がエネルギーに変換されるときに働く酵素です。肝臓、心臓、腎臓、骨格筋、血球などに異常が生じると、組織や細胞の中から血液中に流れ出るため、高値を示します。

M

えむあーるあいけんさMRI検査
MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴像)検査は、強い磁石と電磁波によって体を傷つけずに、体内の様子を様々な方向の断面の画像として描き出し、腫瘍を確認する検査です。放射線の被ばくがないため、さまざまな方が検査を受けられますが、一方で、ペースメーカーを埋め込んでいる方で検査ができないなどの制限もあります。
めでぃかる・そーしゃる・わーかーMSW
病院・保健所で、患者さんやそのご家族の経済的・心理的・社会的問題の解決を目指し、社会復帰の後押しをします。社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有する方も多いです。
えむたんぱくMタンパク
骨髄腫細胞が無制限に産生する異常な免疫グロブリンのことで、異物を攻撃する能力を持っていません。

N

えぬけーさいぼうNK細胞
NK(Natural Killer:ナチュラルキラー)細胞は、免疫系で働く白血球のリンパ球の1つで、がん細胞やウイルスや細菌などに感染した細胞を攻撃します。NK細胞は常に標的となる細胞を攻撃できる状態(活性化した状態)で全身をめぐっています。また、NK細胞は抗体が結合した細胞を見つけ出して攻撃する働きも持っています。

P

ぺっとけんさPET検査
Positron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影)のことで、ごく微量の放射線を出す物質を結合させたお薬を体内に注射して、その物質の全身での分布を撮影します。がん細胞にはこのお薬が多く取り込まれるため、がん細胞の位置を調べることができます。また、がんの活動の状態も確認することができます。

T

てぃーえぬえむびーぶんるいTNMB分類
皮膚病変の広がりと性状(T)、リンパ節の病変(N)、内臓病変の有無(M)、血液中の異型リンパ球の割合(B)の4つの要素によって評価する分類方法です。
てぃーぴー53いでんしTP53遺伝子
p53遺伝子とも呼ばれます。細胞周期やDNA修復、アポトーシス(遺伝子によってあらかじめプログラムされて細胞が死滅すること)などに関わる遺伝子を活性化することにより、発がんを抑制しているp53という、遺伝子の活性を調節するタンパク質の遺伝情報を持つ遺伝子です。がんの場合、その多くで変異が認められる遺伝子です。
てぃーさいぼうT細胞
リンパ球の一つで、体内に侵入したウイルスや細菌、がん細胞を殺傷する働きを持ち、また、他の免疫細胞に指令を送ったり、B細胞の抗体産生を誘導したりするなど、免疫を調整する役割を担います。
てぃーさいぼうじゅようたい(てぃーしーあーる)T細胞受容体(TCR)
T細胞表面にある受容体で、樹状細胞などが提示する分解された異物とMHCの複合体を認識します。

W

だぶりゅーえいちおーぶんるいWHO分類
世界保健機関(WHO)の下部組織である国際がん研究機関が定める腫瘍分類の規約です。分子細胞生物学的研究の成果を反映し、遺伝子変異情報が組み込まれています。

Z

ざっぷ-70ZAP-70
T細胞とNK細胞にみられるタンパク質で、T細胞の活性化に重要な役割を担っています。ZAP-70の発現は慢性リンパ性白血病の予後不良因子の一つとされています。

1

じゅうななぴーけっしつ17p欠失
染色体異常の一つで、17番目の染色体の一部が欠損している状態です。慢性リンパ性白血病で治療が効きにくくなる場合があります。

あるぶみんアルブミン
血液を血管内に保持する(浸透圧を維持する)働きや、さまざまな物質と結合して運搬する働きがあるタンパク質です。

いしょくへんたいしゅくしゅびょう移植片対宿主病
GVHD(graft versus host disease)ともいいます。同種造血幹細胞移植のときに、ドナー由来のリンパ球が移植を受けた患者さんの臓器を異物と認識して攻撃する免疫学的反応の一つです。
いでんし・がんいでんし遺伝子・がん遺伝子
ヒトの体を構成している細胞の核の中にはDNAがあります。DNAの中には、遺伝情報を持つ部分があり、その部分を遺伝子と呼びます。がん遺伝子は、遺伝子に傷がついたときに、細胞が増殖し続ける状態になってしまう遺伝子で、がん細胞の増殖を促進させます。

かいていらいぶんるい改訂Rai分類
改訂Rai分類は、リンパ節腫張、肝脾腫の有無や貧血、血小板減少の程度を組み合わせた慢性リンパ性白血病の病期分類です。CTなどの画像所見は用いていません。主に米国で使用されています。
かがくりょうほう化学療法
抗がん剤を用いてがんを治療する方法です。その多くは、がんの種類や状態に合わせて複数の抗がん剤を組み合わせたり、手術や放射線治療と組み合わせて使うこともあります。手術や放射線治療ががんのある場所に限定した(局所的な)治療であるのに対し、化学療法は全身的な治療とされています。
がきゅう芽球
芽球は、血液細胞の分化の中で、もっとも分化していない未熟な細胞です。芽球ががん化したものが急性白血病です。芽球は盛んに細胞分裂を繰り返すため、急性白血病は一般的に進行が早いとされています。
かくていしんだん確定診断
患者さんの病気が何であるかを決定する診断のことです。病気を確定して、実際に治療を開始するという判断ができるような診断をいいます。
かねんちょうどしょうこうぐん過粘稠度症候群
Mタンパクの増加によって血液の粘度が高くなり、血液の流れが悪くなることによって、めまい、頭痛、目が見えにくいなどの症状がみられます。
かりゅうきゅう顆粒球
白血球のうち骨髄系の細胞であり、殺菌作用のある成分を含んだ「顆粒」を細胞内に有していることが特徴で、細菌を取り込んで分解する働きがあります。好中球、好酸球、好塩基球の3種類があります。
かるしうむカルシウム
カルシウムは、人体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯を形成しており、通常は全身の多くのカルシウムが骨に存在しています。多発性骨髄腫では、骨髄腫細胞が分泌する物質により骨を破壊する破骨細胞が活性化され、骨が壊されて血液中にカルシウムが放出されます。
かんかい寛解
一時的あるいは持続的にがんや腫瘍が縮小または消失している状態をいいます。血液がんでは、骨髄中のがん細胞の割合などで判断されます。
かんかいごりょうほう寛解後療法
血液がんの場合、寛解導入療法で完全寛解となっても、がん細胞が体内に残っているため、再発を防ぎ、治癒を目指すために治療を追加します。このときに追加する治療を、寛解後療法といいます。寛解後療法の内容は血液がんの種類に合わせて選択します。
かんかいどうにゅうりょうほう寛解導入療法 
血液がんの治療で、完全寛解を目指して、治療の初期に行う強力な化学療法を寛解導入療法といいます。がん細胞を急激に減らすために複数の抗がん剤を用い、入院して行います。強力な治療であるため、副作用や合併症がみられます。完全寛解が得られた場合は、続いて寛解後療法を行います。寛解が得られなかった場合は、再度、寛解導入療法を行い、その後も寛解が得られない場合には、救援療法を行います。
がんしんりょうれんけいきょてんびょういんがん診療連携拠点病院
専門的ながん医療の提供、地域のがん診療の連携協力体制の整備などの質の高いがん医療を担うとともに、地域がん診療連携拠点病院に対して情報提供や診療支援を行ったり、都道府県内でがん医療に携わっている医師や看護師らに対して研修を実施するなど、都道府県単位でのがん医療のリーダーとしての役割を果たしています。患者・住民への相談支援や情報提供などの役割も担います。各都道府県には中心的役割を果たす「都道府県がん診療連携拠点病院」と、都道府県内の各地域(2次医療圏)で中心的役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」が設置されています。
かんぜんかんかい完全寛解
すべてのがんが消失し、新たながんがあらわれない状態が続いていることです。血液がんでは、血球数が正常値になることや、骨髄中の芽球が決められた割合以下になることなどの条件があります。
かんせんせいしんないまくえん感染性心内膜炎
心臓の弁や、心膜の小さな傷に、細菌が入り込み、かたまりを作ってしまう病気です。長期間の発熱がみられたり、弁に障害があらわれたりすることがあります。弁の細菌感染は、弁の障害だけでなく、菌のかたまりの一部がはがれて血管に詰まったり、別の臓器にもかたまりをつくることで、重篤な病気を引き起こすことがあります。
かんぜんそうこう完全奏効
治療効果の評価において、がんが全て消失したことをあらわします。しかし、がんが完全に消滅しているかは確認できないため、がんの治癒とは異なります。
がんせんもんそうだんいんがん専門相談員
全国のがん相談支援センターやがん治療を行っている病院に配置されている相談員のことです。看護師、社会福祉士、臨床心理士等の医療・福祉の資格保持者が研修を受講し、「がん専門相談員」の認定を受けています。
がんそうだんしえんせんたーがん相談支援センター
がん相談支援センターは、患者さんや家族あるいは地域の方々からの相談に対応する窓口として、全国のがん診療連携拠点病院などに設置されています。対応するスタッフはがん専門相談員としての研修を受けており、がん治療や療養生活について、電話や面談により、質問や相談に応じることができます。病院によっては、がん専門相談員だけでなく、がんの専門医や専門看護師、薬剤師、栄養士といったスタッフと連携している場合もあります。
かんちゅうしんじょうみゃくへいそくしょう肝中心静脈閉塞症
同種造血幹細胞移植後に主に生じる重篤な合併症の一つで、肝臓の毛細血管に血栓ができ、血流障害が生じて、肝細胞が損傷を受けることで発症します。痛みを伴う肝臓のはれ、黄疸、むくみ、お腹に水がたまるなどの症状がみられます。

ぎゃくい逆位
逆位とは、1つの染色体の2か所が切断され、その断片が逆向きになって再度結合してしまうことをいいます。
きゅうえんりょうほう救援療法
初回治療で十分な効果が得られなかったり、がんが再発した場合に行われる治療のことです。救援化学療法、救済療法、サルベージ療法ともいいます。がんの種類によって治療内容は異なります。
きょうせん胸腺
胸骨の裏側、心臓の上前部に位置する臓器で、未熟なT細胞が分化していく場所です。

くれあちにんクレアチニン
筋肉で生じる老廃物で、通常は腎臓の糸球体から排泄されます。腎機能が低下すると血液中のクレアチニンが増加します。筋肉が多い人は高めに、筋肉が少ない人は低めにあらわれるといわれています。腎機能の指標として使用されます。

けいかかんさつ経過観察
治療後の体調の変化やがんの再発などを確認するためや、進行が緩やかながんの様子を確認するために通院をすることをいいます。検査を行うこともあります。
けいしつさいぼう形質細胞
B細胞がヘルパーT細胞によって活性化されて分化した細胞です。体内に入った細菌やウイルスから身体を守るために抗体を作る働きを持ちます。
けつえきけんさ血液検査
血液を採取してさまざまな異常を調べる検査です。白血病やリンパ腫の検査では血球系検査で血液細胞の数を調べるほか、全身の状態の検査にも使用されます。
けつえきばいよう血液培養
採血した血液を培養することで、無菌であるはずの血液中に菌が存在するかどうかを確認する検査です。また、培養によって検出された菌に対して、どの薬剤が有効であるかの検査を行うことよって、適切な抗菌薬を選ぶことができます。
けっかく(ぞくりゅうけっかく)結核(粟粒結核)
結核菌に感染して起こる感染症です。結核菌が短期間で、または繰り返し血流に入って全身にひろがるものを粟粒結核といいます。発熱、全身の倦怠感、衰弱、咳、胸痛、息切れ、頭痛などの症状がみられます。多くの場合は胸部X線では直径1㎜前後の粟粒上の陰影が全肺野に均等にみられます。原因不明熱がみられた場合に疑われる病気の一つです。
けっかんつう血管痛
点滴の針や抗がん剤の刺激によって、血管の内側に炎症(静脈炎)が起きることで血管痛が生じます。炎症を起こしている血管を冷やしたり、ステロイド外用薬や消炎鎮痛作用のある冷湿布を用いて炎症を抑えます。
げっけいまえしょうこうぐん月経前症候群
月経前の3日から10日間程度続く精神的症状または身体的症状で、月経開始とともに症状が軽減したり消失します。女性ホルモンの変化が関わっていると考えられていますが、原因は明らかにはなっていません。具体的な症状として、情緒不安定、イライラ、抑うつ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹や乳房のはりなどがあらわれます。
けっしょうばん血小板
血液を固める作用があり、出血を止める働きをします。そのため、血小板が少なくなると、小さな傷などでも血が止まらなくなったり、あざができやすくなったり、鼻や歯茎からの出血がみられることもあります。
けっせいあるぶみんち血清アルブミン値
臨床的な指標として活用されており、アルブミン血中濃度が低下した場合には、低栄養状態や肝障害、ネフローゼ症候群などが疑われます。多発性骨髄腫では、病期を判断する指標の一つであり、血清アルブミン値が低い場合は、予後が不良になると考えられています。
けっせいべーたーつーみくろぐろぶりんち血清β2ミクログロブリン値
血清中のβ2ミクログロブリンの濃度を示す値です。多発性骨髄腫では、病期を判断する指標の一つであり、血清β2ミクログロブリン値が高い場合は、予後が不良になると考えられています。
けっせつせいたはつどうみゃくえん結節性多発動脈炎
動脈に炎症や壊死を来たす病気です。動脈は全身に分布しているため、いろいろな臓器に影響があらわれます。症状として38℃以上の高熱、体重減少、筋肉痛・関節痛、皮膚潰瘍、腎機能低下、腹痛・下血、脳出血・脳梗塞 、高血圧などのさまざまな症状がみられます。特に重篤な症状として、腎不全、腸出血、脳出血・脳梗塞、狭心症・心筋梗塞などがあらわれることがあります。肝炎ウイルスなどに感染した後に発症することもありますが、原因は明らかになっていません。
けっせつせいりんぱきゅうゆういがたほじきんりんぱしゅ結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫の分類の1つです。ホジキンリンパ腫の中でも、発生することが少ないタイプです。30~50歳の男性に比較的多く発症するといわれています。
けっせんせいびしょうけっかんしょうがい血栓性微小血管障害
溶血性貧血、血小板減少、臓器障害性の血栓症といった症状を特徴とする疾患群とされています。造血幹細胞移植後に発症する合併症として移植後血栓性微小血管障害(TMA)があります。
移植後TMAは、移植前処置、移植片対宿主病(GVHD)、免疫抑制剤などの移植に関するさまざまな要因による全身の血管の内皮細胞障害が原因と考えられていますが、まだ明らかにはなっていません。早期診断は容易ではなく、発症後は重症化を抑えることが重要となります。

こうえんききゅう好塩基球
白血球の顆粒球の1つですが、その割合は少なく末梢の白血球のうちの0.5%程度といわれています。アレルギーに関連するIgE抗体と抗原の刺激によってヒスタミンなどの物質を放出します。
こうがんざい抗がん剤
がんの治療に用いられるお薬のことで、注射薬もしくは内服薬がほとんどです。体の中のがん細胞の増殖を妨げたり、がん細胞を破壊することでがんの進行を抑える作用があります。作用の仕方には、さまざまな種類があり、異なる作用の仕方のお薬を組み合わせて使用することが多いですが、単独で使用されることもあります。
こうげんびょう膠原病
真皮・靱帯・腱・骨・軟骨などを構成するコラーゲンに障害・炎症を生じる病気全体を指します。膠原病やその類縁疾患として、多発筋炎、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、結節性多発動脈炎以外の血管炎症候群(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性肉芽腫性多発血管炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎など)、若年性特発性関節炎、成人発症スティル病、ベーチェット病、抗リン脂質抗体症候群などが分類されています。
こうさんきゅう好酸球
白血球の顆粒球の1つで、寄生虫駆除やI型アレルギーに関与します。
こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん・えいず後天性免疫不全症候群(エイズ)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染により、重篤な全身性の免疫不全が生じ、日和見感染症や悪性腫瘍を来たした状態のことをいいます。
こきゅうきのうけんさ呼吸機能検査
大きく呼吸をして呼気を測定し、肺の機能を評価する検査です。白血病、リンパ腫では、全身の状態の検査に使用されます。
こつずい・こつずいえき骨髄・骨髄液
骨の内部にあるゼリー状の組織で、白血球、赤血球、血小板といった血液細胞を作っています。骨髄中には、全ての血液細胞のもとになる造血幹細胞があり、いろいろな成長の段階の血液細胞が存在しています。骨髄で多くの血液細胞が成長していきますが、きちんと機能を持った血液細胞になるまでは、通常、骨髄から血液中に出ていくことはありません。
こつずいいけいせいしょうこうぐん骨髄異形成症候群(MDS)
骨髄異形成症候群は、造血幹細胞に異常が生じて、赤血球、血小板、白血球の3種類の血液細胞に、機能や形の異常(異形成)が認められる病気です。これらの細胞の中に芽球という未熟な細胞が一定数以上増加した場合に急性白血病に移行したとされます。白血病の前段階にある病気といえます。
こつずいえん骨髄炎
通常は細菌、抗酸菌、または真菌によって起こる、骨の感染症です。
細菌、抗酸菌、真菌が血液を介して、あるいは近くの感染組織や開いて汚染された傷から広がり(こちらの場合が多い)、骨に感染することがあります。
患者には骨の一部の痛み、発熱、体重減少がみられます。
こつずいがきゅう骨髄芽球
造血幹細胞から、白血球の1つである顆粒球に分化する過程にある未熟な細胞です。通常は、末梢血中には存在しませんが、白血病で陽性になります。
こつずいけんさ骨髄検査
主に腸骨に針を刺し、骨の中にある骨髄組織を直接採取する検査です。注射器で骨の中の骨髄組織を吸引する穿刺吸引法または骨髄穿刺と、腸骨に太めの針を刺し、骨髄組織を針の中に捉えて一部を採取する骨髄生検法があります。採取した骨髄を顕微鏡で観察して、血液がんの種類や状態を詳しく調べることができます。
こつずいせんし骨髄穿刺
→骨髄検査
こてんてきほじきんりんぱしゅ古典的ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫の分類の1つです。ホジキンリンパ腫の大部分を占めます。古典的ホジキンリンパ腫には、結節硬化型、混合細胞型、リンパ球豊富型、リンパ球減少型の4つのタイプがあり、約半数が結節硬化型です。若年患者さんでは結節硬化型が多く、中年患者さんでは混合細胞型が多いとされています。

さいかっせいか再活性化
がん治療において、免疫を抑制する治療を行うことによって、B型肝炎ウイルス(HBV)が増殖し、肝炎が起こることをいいます。 B 型慢性肝炎患者さんだけでなく、過去にB型肝炎にかかり、治癒した患者さんでも起こることがあります。また 再活性化による肝炎は、通常の急性肝炎に比べて劇症化することが多いため、治療前に HBV 感染の状況をきちんと確認します。B型肝炎ウイルス以外でも、潜伏感染しているウイルスは再活性化をおこし、それぞれに特異な症状を呈します。
さいたいけつ臍帯血
へその緒と胎盤に含まれている血液のことで、造血幹細胞が多く含まれています。出産時に採取されます。
さいはつ再発
治療でがん細胞が減り、完全寛解となった後も微小残存病変とよばれるがん細胞の残りが存在していて、再びがん細胞が増えることをいいます。再発した場合には、がんの種類や再発の時期に合わせて治療を行います。

しがいせんりょうほう紫外線療法
紫外線を照射して行う治療法です。内服薬や外用薬を使用した後に紫外線を照射するPUVA療法や、狭い範囲の波長の紫外線を使用したナローバンドUVB療法が使われます。
じがためりょうほう地固め療法
寛解導入療法に続いて行われる治療で、寛解導入療法後に検出できないレベルで残っているがん細胞を徹底的に排除して、より深い寛解をめざす治療です。寛解後療法のひとつです。
じゅうかく縦隔
左右の肺の間にある空間で、気管・大動脈・大静脈・食道・縦隔リンパ腺・胸腺などが入っています。
じゅじょうさいぼう樹状細胞
木の枝のような突起を持つ細胞で、異物を取り込んでその情報をT細胞に提示し、T細胞の活性化を促します。皮膚や消化管・気道の粘膜などに存在しています。
じゅせいらんとうけつほぞん受精卵凍結保存
体外受精や顕微授精による受精卵を凍らせて長期間保存しておく方法です。受精卵を特殊な溶液に浸した後、-196℃という超低温となる液体窒素に浸して凍結し、保存します。受精卵の保存期間は通常は1年ですが、保存期間内に手続きをすることで延長することができる場合があります。
しゅりゅう腫瘤
原因には関係なく、体表や体内で確認されたかたまりである「できもの」や「こぶ」「はれもの」などをまとめて腫瘤と呼びます。しこりと呼ぶこともあります。また、炎症性か腫瘍性かはっきりしない場合などに用います。
しゅようそしきてきごうこうげん(えむえいちしー)主要組織適合抗原(MHC)
樹状細胞やB細胞が取り込んだ異物を分解して、細胞表面に提示する際に利用される分子です。クラスIとクラスIIがあり、このうちクラスIIはヘルパーT細胞に向けて分解した異物を提示する場合に使われ、B細胞の抗体産生に関与していると考えられています。
しゅようほうかいしょうこうぐん腫瘍崩壊症候群
がん治療で大量の腫瘍細胞を短期間で攻撃した場合に、その際に壊れた腫瘍細胞の成分によって、高尿酸血症、高リン酸血症、低カルシウム血症、代謝性アシドーシス、高カリウム血症、腎不全、呼吸不全などのさまざまな症状があらわれることをいいます。
しょうかかんないしきょうけんさ消化管内視鏡検査
先端に小型カメラ (CCD) またはレンズを内蔵した太さ1cm程の細長い管を口あるいは肛門より挿入し、食道、胃、十二指腸や大腸の内部を観察する検査です。
しょうにがんきょてんびょういん小児がん拠点病院
小児がん患者さんと家族が安心して医療や支援を受けることができる環境を整備するため、小児がんの医療および支援を提供する地域(近隣都道府県を含む)の中心施設として、厚生労働大臣が指定した病院です。
しんきのうけんさ心機能検査
心電図や超音波検査などによって心臓の働きを検査します。白血病やリンパ腫の検査では、心臓の機能が化学療法に耐えられるかどうかを確認する場合があります。

ずいようがん髄様がん
甲状腺がんの分類の一つで、甲状腺でカルシトニンを分泌する細胞ががん化したものです。遺伝性(家族性)の場合もあります。比較的進行が速く、リンパ節、肺、肝臓への転移を起こしやすいとされています。
すてーじステージ
→ 病期(びょうき)

せいじんはっしょうすちる(すてぃる)びょう成人発症スチル(スティル)病
大人(通常16歳以上)において小児の「スチル病」に似た症状を発症する病気のことです。比較的新しい病気で、特徴的な症状として、リウマチ因子陰性(血清反応陰性)の慢性関節炎として、複数の関節が痛み、熱感のある腫れがみられます。また、かゆみのない移動性の淡いピンク色の皮疹が発熱とともにあらわれ、解熱すると消失します。発熱のタイプは、午前中は平熱で夕方から夜にかけて40℃に達する高熱があらわれる弛張熱とされています。
せいじんてぃーさいぼうはっけつびょう/りんぱしゅ成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
HTLV-1というウイルス感染が原因で、白血球の中のT細胞からがん化した細胞(ATL細胞)が無秩序に増殖することで発症します。
せかんどおぴにおんセカンドオピニオン
現在診療を受けている病院・医師とは別に、違う病院の医師に診断や治療選択などについて意見を求めることをいいます。転院とは異なり、現在の病院・医師に治療を受けることを前提に利用します。
せっけっきゅう赤血球
血流にのって全身をめぐって、酸素を運ぶ働きをしています。そのため、赤血球が少なくなると、体に必要な酸素が足りなくなり、だるさ、息切れ、動悸、めまいなどの貧血症状がみられるようになります。
ぜんこつずいきゅう前骨髄球
前骨髄球は、骨髄系幹細胞が好中球に分化する途中の未熟な細胞です。トロンボプラスチンという血液の凝固に関連する物質と似た性質を持っています。
せんしょくたい染色体
DNAが折りたたまれてできた構造体です。細胞の核の中にあり、ヒトのすべての細胞には23対(46本)の染色体が入っています。
ぜんしんせいえりてまとーです(えすえるいー)全身性エリテマトーデス(SLE)
発熱や全身の倦怠感などといった炎症によると思われる症状と、関節、皮膚、腎臓、肺、中枢神経などのさまざまな症状が同時に、または経過とともに生じます。原因は、まだ明らかになってはいませんが、免疫の異常が関連することが推測されています。

ぞうあく増悪
病気が良くならずに、さらに悪くなった場合や、一旦よくなった病気が悪化した場合をいいます。
ぞうけつかんさいぼう造血幹細胞
骨髄で産生され、盛んに細胞分裂を繰り返して、枝わかれしながらいろいろな血液細胞に成長(分化)したり、自分自身を複製したりしながら血液を作り続けている、血液細胞のおおもとの細胞のことです。自己複製能力をもつ細胞で、かつては、骨髄のみに存在すると考えられていましたが、末梢血液中や臍帯血中にも存在することがわかり、造血幹細胞移植で利用されています。
ぞうけつかんさいぼういしょく造血幹細胞移植
病気や治療によって、造血や免疫の機能が低下した場合に、骨髄、末梢血、臍帯血等から正常な造血幹細胞を移植する方法です。あらかじめ保存しておいた自分の造血幹細胞を移植する自家移植と、他人(ドナー)の造血幹細胞を移植する同種移植があります。
そうごてんざ相互転座
転座の中でも、とくに、2つの染色体が互いに入れ替わる場合を相互転座といいます。
そしきがくてきけいしつてんかん組織学的形質転換
腫瘍細胞が異なる腫瘍細胞に変化することをいいます。形質転換が起こるメカニズムはまだ明らかにはなっていません。濾胞性リンパ腫では、一定の割合で形質転換をすることが知られており、組織学的形質転換後の予後は不良とされています。

たいじょうほうしん帯状疱疹
帯状疱疹は、身体の中に存在するヘルペスウイルスの一種である水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。身体の左右のどちらかに、ピリピリとした痛みがあらわれた後、赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれます。
たんきゅう単球
白血球の1つであり、感染を防ぐために重要な働きをする細胞です。体内に侵入した細菌などの異物を取り込んで、その一部を細胞表面に提示します。提示された異物の一部をT細胞が認識して、感染に対する防御が開始されます。また、単球が血管外の組織に移動すると、マクロファージとよばれます。
たんどうけいかんせんしょう胆道系感染症
肝臓で作られた胆汁が十二指腸に流れるまでの道である胆道を感染部位とする感染症のことで、胆のう炎と胆管炎に分類されます。どちらも胆汁の流れが滞ることで細菌感染が起こります。胆のう炎の症状として、右上腹部の痛み、圧痛、発熱などがあらわれます。右側肋骨の下部を圧迫したまま深呼吸すると、痛みのために呼吸が止まる状態がみられることが特徴とされます。胆管炎の症状は、黄疸、腹痛、激しい悪寒を伴う発熱などがみられます。

ちいきがんしんりょうびょういん地域がん診療病院
厚生労働大臣が指定したがん診療連携拠点病院がない地域に、都道府県の推薦を基に厚生労働大臣が指定した病院のことです。基本的には、隣接する地域のがん診療連携拠点病院のグループとして指定され、拠点病院と連携しつつ、専門的ながん医療の提供、相談支援や情報提供などの役割を担っています。
ちゅうすうしんけいけい中枢神経系
神経系は中枢神経系と末梢神経系に分類され、このうち脳と脊髄にある神経を中枢神経系といいます。末梢の感覚器から送られてきた情報に応じて適切な指令を出す役割を担います。
ちょうおんぱけんさ超音波検査
エコー検査とも呼ばれます。体の外側から超音波を当てて、体の中で超音波が反射する様子によって、臓器の働きや病変の有無といった体の内部の状態を確認する検査です。
ちょうこつ腸骨
腸骨は、左右の恥骨、坐骨、真ん中の仙骨とともに骨盤を形成する骨の一つです。

てんざ転座
染色体が途中で切断され、ほかの染色体の一部と入れ替わることをいいます。

どんしょく貪食
異物の侵入があると、好中球、マクロファージ、樹状細胞といった白血球が異物を食べて死滅させる働きのことです。

なんぶそしき軟部組織
体の組織のうち、臓器と骨や皮膚を除いた部分で、筋肉、腱、脂肪、血管、リンパ管、関節、神経などが含まれます。

にくしゅ肉腫
全身の骨や脂肪、筋肉、神経などから発生する悪性腫瘍のことでサルコーマとも呼ばれます。臓器と骨や皮膚を除いた、筋肉、腱、脂肪、血管、リンパ管、関節、神経などの軟部組織にできる肉腫の多くは皮下や筋肉の中にしこりとしてあらわれます。骨に発生する肉腫には多くの種類がありますが、最も多いものが骨肉腫です。骨に肉腫ができた場合には、腫れの他に痛みも生じます。
にゅうとうがん乳頭がん
甲状腺がんの分類の一つです。甲状腺がんの中で最も多くみられます。リンパ節への転移が多くみられますが、進行は比較的遅く、生命を脅かすことは少ないとされます。ごく一部では再発を繰り返したり、悪性度の高い未分化がんへ変化したりすることがあります。
にょうろかんせん尿路感染
尿路感染とは、腎臓、膀胱、尿道などの尿が通過する部位に生じる感染です。尿の出口から細菌が入り込んで発症することが多いとされています。

のうせきずいえきけんさ脳脊髄液検査
脳と脊髄を包む膜の間にある脳脊髄液(髄液とも呼ばれます)を採取して、その中にある細胞の数や形態などを検査します。背骨の間から脊髄に針を刺して、脳脊髄液を採取します。なお、腰椎から採取する場合もあります。
のうよう膿瘍
組織のすきまにうみがたまった状態のことです。細菌に感染することで生じることが多いとされています。うみが溜まった場所で痛み、熱感、腫れなどがみられます。深い部分に生じた場合には全身症状などがあらわれることがあります。

ばいおまーかーバイオマーカー
病気の変化や治療に対する反応に関連して、その指標となるタンパク質や遺伝子などの生体内の物質をバイオマーカーといいます。がんに関連するバイオマーカーは腫瘍マーカーとよばれます。血液や尿などの体液や組織に含まれるバイオマーカーの量を測定することで、病気の存在や進行度、治療の効果を評価することができます。
はいけつしょう敗血症
感染症がきっかけとなって起きる症状で、感染症を起こしている細菌などが増殖して炎症が全身に広がって重大な臓器障害が起きている状態のことです。原因となる主な細菌として連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌などがあります。臓器障害の部位によって、さまざまな症状が生じます。
ばくろ曝露
細菌やウイルスといった病原微生物や薬物、化学物質にさらされることをさします。
はこつさいぼう破骨細胞
骨では古くなった骨を分解・吸収する骨吸収と新しく骨をつくる骨形成が繰り返されています。骨形成を担当する細胞が骨芽細胞で、骨吸収を担当する細胞が破骨細胞です。通常はこれらの2種類の細胞がバランスよく働いていますが、病気などにより破骨細胞が過剰に活性化すると、骨形成に対して骨吸収が上回り、骨が壊されていきます。
はっけっきゅう白血球
血液中の血液細胞の一つであり、細菌、ウイルス、真菌(カビ)といった異物やがん細胞などを攻撃して、排除したり、侵入してきた異物に対して抗体を作るといった働きをしています。顆粒球、単球、リンパ球などの種類があります。

ひぞう脾臓
胃のちょうど後ろ側にあり、血液中の古くなった赤血球などをこわす働きを持つ臓器です。また、体内に侵入した細菌などの異物に対する抗体を作ったり、新しい血液を溜める役割を担っています。
ひふせいけん皮膚生検
病変のある皮膚組織の一部を採取し、それをもとに病理標本を作製し顕微鏡で観察して、見た目だけでは確定診断できないものや似ている病気との鑑別を行う検査です。
ひふはっけっきゅうはさいせいけっかんえん(かびんせいけっかんえん)皮膚白血球破砕性血管炎(過敏性血管炎)
微小循環系とよばれる皮膚の細い血管に炎症が起こり、隆起した紫斑やじんま疹のような発疹などの皮膚症状がみられる病気です。血管炎の一つで、薬剤や細菌などに対するアレルギー反応が原因であることから、以前は「過敏性血管炎」と呼ばれていました。
びょうき病期
ステージ、病期分類ともいいます。がんの大きさや他の臓器への広がりなどを用いて、がんの進行の程度を判定したものです。
びょうきぶんるい病期分類
→病期
ひよりみかんせんしょう日和見感染症
通常では感染しても影響がないような細菌などにより、症状があらわれる感染症です。血液の病気の患者さんや、造血幹細胞移植をして免疫機能が低下している患者さんなどにみられることがあります。
ぴろりきんピロリ菌
正式にはヘリコバクター・ピロリといい、胃や小腸に炎症や潰瘍を引き起こす細菌です。リンパ腫の一部や胃がんの原因の一つと考えられています。

ふぃらでるふぃあせんしょくたいフィラデルフィア染色体
ヒト遺伝子において、9番目の染色体との組み換えが起こった22番目の染色体のことです。慢性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病の一部などで認められます。
ふくさよう副作用
副作用は、薬が必要なところ以外にも影響して生じた、治療の目的以外の好ましくない作用のことをいいます。
ぶぶんそうこう部分奏効
治療効果の評価において、全てのがんが消失したわけではありませんが、治療前に比べて腫瘍細胞が一定量に減った状態が一定の期間、持続することです。通常、部分奏効が得られた場合は治療効果があったと判定されます。
ぶるせらしょうブルセラ症
ブルセラ属菌の細菌による人獣共通感染症で、感染した家畜の加熱殺菌が不十分な乳・乳製品や肉を摂取することによる感染が一般的とされます。潜伏期間は通常1週間から3週間ですが、数カ月に及ぶ場合もあります。主な症状は不明熱です。主に午後から夕方にかけて発熱がみられ、40度以上となることもありますが、発汗とともに朝には熱が下がるという間欠熱が数週間続きます。その後、一時的に軽快しますが、再度、間欠熱を繰り返すという波状熱がみられます。
ぶんか分化
全ての血液細胞のもととなる造血細胞が変化しながら成熟して、異なる機能を持つさまざまな血球に分かれていく過程のことです。正常な細胞では、分化は一定の決まりに従って進み、増殖のスピードや量も決まっています。
ぶんかゆうどうりょうほう分化誘導療法
血液細胞の分化・成熟の障害が白血病の原因であると考え、白血病細胞に分化・成熟を誘導して、白血球の自然な成長を促し、細胞死させる治療です。急性前骨髄球性白血病に適用されています。
ぶんしひょうてきやく分子標的薬
がん細胞などに特有のたんぱく質や遺伝子といった、体内で病気に関わる特定の分子を標的として、その働きを抑えることによって、病気を治療するお薬です。抗体製剤も含まれます。

へいようりょうほう併用療法
複数の治療を同時に行ったり、順次行う場合や、薬物療法においては、1回の投与で複数の薬剤を投与する治療をいいます。
べーたーつーみくろぐろぶりんβ2ミクログロブリン
リンパ球などの細胞の表面に存在している小さなたんぱく質で、血液や尿にも含まれています。
へりこばくたー・ぴろりヘリコバクター・ピロリ
胃炎や消化性潰瘍の原因としてよくみられる細菌です。胃MALTリンパ腫では、高い割合で感染していることが知られています。
べんすじょーんずたんぱく(びーじぇいぴー)ベンスジョーンズタンパク(BJP)
骨髄腫細胞が作り出すMタンパクの一つで、免疫グロブリンの一部だけで構成されています。分子量が小さいため、尿中に排出されます。

ほうしゃせんりょうほう放射線療法
放射線をがんの病巣にあてることで、がん細胞のDNAに傷をつけ、がん細胞を死滅させる治療法です。がんを治すことや症状を緩和することを目的に使われます。
ぼうまんかん膨満感
胃腸が膨らんでお腹が張り、圧迫されているように感じることをいいます。
ほじきんさいぼうホジキン細胞
ホジキンリンパ腫に特徴的にみられる巨大な細胞です。

まっしょうけつ末梢血
骨髄の中の血液に対して、血管の中を流れる血液のことを指します。
まらりあマラリア
マラリア原虫をもった蚊に刺されて感染する病気です。世界中の熱帯・亜熱帯地域で流行しているとされています。潜伏期間は1週間から4週間程度で、症状としては発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などがみられます。

みぶんかがん未分化がん
甲状腺がんの分類の一つです。進行が速く、甲状腺の周囲の気管、食道などへの浸潤や、肺や骨などの遠くの臓器への転移を起こしやすく、悪性度が高いとされます。

めんえきぐろぶりん免疫グロブリン
B細胞によって作り出される抗体のことで、グロブリンというたんぱく質でできています。構造の違いによってIgM、IgG、IgA、IgD、IgEの5種類に分けられ、それぞれ違った働きをします。
めんえきぐろぶりんじゅうさいでんし免疫グロブリン重鎖(IgVH)遺伝子
リンパ球の一つであるB細胞が産生するタンパク質で、抗体として働く免疫グロブリンの、重鎖と呼ばれる部分を作り出すための遺伝子です。この遺伝子に変異が無い場合の慢性リンパ性白血病は、予後が悪いことが知られています。

ゆちゅうはんのう(とうよじはんのう)輸注反応(投与時反応)
とくに分子標的薬などのお薬を静脈内に投与した時に起こる免疫関連の反応のことです。お薬を初めて投与した時に起こることが多く、症状としては、顔が赤くなる、心拍数増加、呼吸困難、発熱、かゆみ、むくみ、吐き気等の全身反応があります。アナフィラキシーやアレルギー反応があらわれることもあります。

よご予後
予後は、病気の回復の見込みや、治療の医学的な経過の見通しを意味します。
よごよそく予後予測
検査で得られた結果から、病気の予後(医学的な見通し)を予測できる要素が明らかになってきています。これらの要素を組み合わせて、治療経過の見通しを考えることを予後予測といいます。

りーど・しゅてるんべるぐさいぼうリード・シュテルンベルグ細胞
ホジキンリンパ腫に特徴的にみられ、リンパ球の中でも大きな大リンパ球の2〜6倍の巨大な細胞です。
りうまちせいたはつきんつうしょう(きょさいぼうせいどうみゃくえん)リウマチ性多発筋痛症(巨細胞性動脈炎)
肩や腰の周辺に他に原因のない筋肉痛を起こす病気で、血液検査で炎症反応を認めます。また、進行すると大型・中型の動脈に巨細胞を伴う肉芽腫を形成する動脈炎である巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を生じる場合があります。巨細胞性動脈炎では、大動脈とその主要な分枝に障害が起きます。患者さんの約3分の2に側頭部の頭痛がみられ、全身症状として発熱(微熱、ときに弛張熱)、倦怠感などがみられます。
りんぱきゅうリンパ球
白血球のうちリンパ系の細胞であり、さらにB細胞、T細胞、NK細胞に分類されます。これらのリンパ球は、それぞれの働きを持っており、一緒になって細菌やウイルス、がん細胞などの異物を攻撃します(これを免疫といいます)。また、侵入した異物を記憶して、再度侵入した場合には、記憶に基づいて対応し、すばやく排除することができます。末梢血のほかに全身にあるリンパ組織に広く分布しています。
りんぱせつリンパ節
体全体に張りめぐらされたリンパ管の途中の、首の周りやわきの下、脚の付け根などのいろいろなところにあり、免疫の中心となるリンパ球が集まっています。リンパ節では、リンパ管の中を流れるリンパ液にがん細胞や細菌などの異物が含まれていないかどうかを確認し、異物があれば免疫によって攻撃して、排除しています。
りんぱせつせいけんリンパ節生検
リンパ節の腫れの原因を調べるためにリンパ節をぜんぶまたは一部を取り出して調べる検査です。リンパ節の腫れの原因はがん以外にも考えられるため、取り出した組織を観察して診断します。
りんぱそしきリンパ組織
リンパ球が増殖している骨髄や胸腺といった組織(一次リンパ組織)や、免疫反応が進行するリンパ節、扁桃腺、脾臓、腸管のパイエル板など(二次リンパ組織)が含まれます。

れじめんレジメン
レジメンは、がんの薬物療法において、抗がん剤、輸液、支持療法剤(吐き気止めなど)の投与量、投与時間、投与方法、投与順、投与日などが時系列的に記載された治療計画を指します。

ろほうがん濾胞がん
甲状腺がんの分類の一つです。良性の甲状腺腫瘍との区別が難しいことがあります。血液の流れにのり、肺や骨など遠くの臓器に転移(遠隔転移)しやすいとされますが、遠隔転移を生じない場合は、比較的予後は良好とされています。