監修 愛知県がんセンター 病院長 山本 一仁 先生
公開日:2022年9月1日
更新日:2024年12月11日
リンパ腫というがんをご存知ですか?
年間で36,000人以上が発症する※1血液のがん。
白血病や多発性骨髄腫より罹患者数が多く、
じつは、日本でいちばん多い血液のがんです。まずは、知ることで、備えてください。
笠井 信輔さん
フリーアナウンサー。早稲田大学卒業後、1987年にフジテレビアナウンス部入社。2019年、フリーに転身。現在はテレビやラジオなどへの出演のほか、医療関連の講演会やイベントにも精力的に参加。
皆さんはリンパ腫について、どのくらい知っていますか?リンパ腫は、血液のがんの一つであり、リンパ腫と診断された時の衝撃は決して小さいものではないと思います。リンパ腫と診断されたことを受け入れられないなかで、病院や治療法を選択することは、誰にでも難しいことです。しかし、事前に病気に関する知識や情報を得ていれば、いざという時に自分にとって最善の方法を考え選択できると思うのです。
とはいえ、ネットにはさまざまな情報が溢れていて、間違った情報や不確かな情報が真実のように語られていたり、いたずらに不安をあおるような内容が書かれていたりすることも少なくありません。ネットで病気に関する情報を得る際には、情報源が信頼できるかどうかを確認しましょう。信用できる機関が発信している内容は信頼性が高い情報だと思います。どの情報が正確で自分のためになるか、慎重に見極めることが重要であると考えます。
リンパ腫とは、日本成人で最も多くみられる血液のがんで、50歳代くらいから患者さんの割合が増加しはじめます1)。
ご自身やご家族が50歳という年齢に近づいてきたら、こういう病気があるということを念頭において、体調や症状に注意をむけることが、早期発見に繋がるのではないかと思います。
リンパ腫とは「血液の悪性腫瘍」で、がんの仲間の一つです。細菌やウイルスから体を守る働きをしている白血球のうち、リンパ球というタイプの血球ががん化(悪性化)する病気です。リンパ組織は全身に存在しており、リンパ腫が進行すると、全身の臓器に広がるおそれがあります。
リンパ腫の年間の患者数は、2019年に新たに診断された患者さんは36,638例(男性19,311例、女性17,325例)1)でした。
リンパ腫は、一般的な健康診断や人間ドックなどでも見つかりにくい病気です。リンパ節の腫れや原因不明の発熱・体重減少・ひどい寝汗などの症状がみられる場合がありますが、その程度は人によってさまざまです。また、リンパ腫特有の症状はないため、リンパ腫とわかるまでに時間がかかるケースもあります。
リンパ腫にみられる症状として、どのようなものがあるのか日頃から知っていれば、より早いタイミングで必要な診療科を受診できる可能性が高まります。
リンパ腫にはたくさんの種類があり、種類や病期ごとに治療は異なります。現在、気になる症状がある方は、まずは病院を受診してみるという選択肢をとって頂きたいです。
リンパ腫の初期には、リンパ節の多い部分で、痛みのないしこりがみられます。このしこりが、数週から数ヵ月にわたって大きくなり続け、リンパ腫が広がって病状が進むと、さまざまな全身的な症状があらわれるようになります。また、リンパ腫がほかの臓器や器官に広がると、広がった先によって異なる、特有の症状がみられるようになります。
症状が悪化する前に治療が開始できるように、気になる症状がある方は、そのままにしないことが大切です。ぜひ、医療機関を受診しましょう。
治療は日々進歩しており、個々の患者さんに応じた治療法を選ぶことも可能になってきています。「これが自分にとって一番良い治療だ」と自身が納得して治療に向き合うためにも、積極的に情報を入手して選択肢を知ったうえで、自分の病状に一番詳しい主治医の先生を信じて、しっかりと相談することが大切です。
また、抗がん剤治療は副作用を伴うことがありますが、痛み止めや制吐剤のような、副作用の苦しみの軽減を目的とした薬剤も開発されています。がんの医療は、5~10年前と比べても、良い形で治療を受けられるようになってきています。
進歩し続ける医療の力を借りて、治療中の生活の質(QOL)も大事にしながら、ご自分にあった治療法を先生と一緒に探ることが重要です。
リンパ腫の治療は、薬物療法、放射線療法、造血幹細胞移植などが主な治療となります。これらの治療法の中から、リンパ腫の種類、病期、予後予測の結果、患者さんの希望やライフスタイルなどに合わせて、最も適切な治療を選びます。そのため、リンパ腫の種類によって、治療方針は異なります。場合によっては、経過観察を行うこともあります。
リンパ腫とはどのような病気で、どのような治療法があるのかを知ることは、万が一の備えに繋がります。
*外部サイト(朝日新聞Reライフ.net)
まずはリンパ腫がどのような病気で、
どのような治療があり、
どのようなゴールがあるのかを知っていただきたい。
髙折先生と笠井さんの対談記事は
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治療法は進歩しています。
いつも希望を胸に、医師と手を取り合って、
病状に応じた適切な治療に向かっていただきたい。
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