肺がんの治療肺がんの治療法

治療方針を決める因子

治療方針を決めるうえで必要な4つの因子

「外科治療」「放射線療法」「薬物療法」のどの治療法が適しているかを決める因子は、大きく次の4点です。

  1. ① 病期(ステージ)
  2. ② 組織型
  3. ③ 患者さんの体の状態、合併症
  4. ④ 年齢

この4点に加え、遺伝子検査やPD-L1検査の結果を踏まえて、どのような治療法が良いかを、外科医や放射線治療医、内科医、緩和ケア医など複数の診療科の医師がチームを結成して検討します。

患者さんがどれくらい元気なのかを測る指標

病期(ステージ)や組織型に加えて、全身の状態、合併症、年齢などを考慮して、治療法を選択します。他の臓器の機能が低下している患者さんや、高齢の患者さんの場合は、外科治療や薬物療法を行うと身体的な負担が大きいため、放射線療法を選ぶこともあります。
患者さんの全身の状態(どのくらい元気か)を測る指標が、ECOGのパフォーマンスステータス(PS)です。

表:ECOGのパフォーマンスステータス(PS)
Score
まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。例:軽い家事、事務作業
歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。

Common Toxicity Criteria, Version2.0 Publish Date April 30, 1999
https://ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/electronic_applications/docs/ctcv20_4-30-992.pdf(PDFファイルで開きます)

JCOG ホームページ http://www.jcog.jp/(別ウィンドウで開きます)(閲覧日:2024年5月20日)

一般的に、がんの完治を目指して積極的な治療を行う場合には、ECOGのパフォーマンスステータスで0~2の範囲に入っている必要があるといわれています1)

  1. 1)NPO法人キャンサーネットジャパン:もっと知ってほしい肺がんのこと, 2017年6月

寝たきりの患者さんに対する治療方針

治療法を決める際には、治療によって期待できる効果と、治療に伴う副作用のバランスを考慮します。日常生活で、自分の力で歩き回ることができない、寝たきりの患者さんの場合には、たとえ手術ができる病期(ステージ)のがんであっても、体への負担を考え、手術が勧められないことがあります。
また、薬物療法が標準治療となる病期(ステージ)の患者さんの場合も、治療で1日でも長生きを目指すことよりも、治療の副作用で苦しみが増すことへの懸念から、薬物療法が勧められないこともあります。
こうした患者さんには、苦痛を取り除く治療(緩和ケア)が行われます。

図:治療で期待できる効果と治療に伴う副作用のバランスを考慮
副作用を心配する寝たきりの患者さんのイメージイラスト。苦痛を取り除く治療(緩和ケア)が優先されることもあります。
参考文献

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